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水みたいな人って

「かれんは着実に水に近づいてるよ」と彼は言った。彼の言葉に悪気はないし、褒められたこともわかっていたけど、その時は噛み付いてしまった。でも噛み付いたことで、また新しいことに気づけたので、書きたい。

数年前、こんなツイートを見た。

「同じ彼女と6年付き合ってるって人がいて、『飽きないの?』って下らない質問をしたら、『水の味に飽きた事ある?そういう存在かな。確かにジュースはおいしいけど、毎日それだと飽きるよね。』って言われて、素敵なカップルだな、って思った。そーいうカップルを目指したい。」

元々のSourceはわからないくらい色んな人が同じツイートしているから、とても有名なツイートだと思う。

これを見てから、わたしも水のように自然に、毎日一緒にいるのが当たり前になれる人ってどんな人なんだろうと考えていた。人と一緒に住むだけではこうはなれないことは経験からよくわかっているから、なかなか巡り会えないのだろうなあと思っていた。

彼は週末の数日ずっと一緒にいる(遠距離恋愛では会うとなるとどうしても大掛かりな移動になるので、意図して他の予定をぶっこまないとこうなりがち)と、すっとひとりの世界に入っていくことがあって、最初はそこに落ち込んだりもしていた、ふたりでいるの楽しくない?って。2人でいっしょに居すぎたことが原因で過去に数回パンクした彼を見たことがあって、その姿を見るたびに、自分を責めたし落ち込んだ。ひとりになりたい空気を感じ取った瞬間に家の外に出て、「こんなことなんでもないよ」という空気を醸し出し、気の利く女性を演じながら、アパートの前の道で泣いていた。

でも、そんな彼が、最近は週末ずっと電話をつないでくれている。あの頃と違ってフルタイムで、互いに異なる生活リズムで仕事をしているのに、平日もわたしに合わせた時間に電話もしてくれる。ずっと電話をつなぎすぎて、互いが空気のように感じられ、互いに他の作業に集中しすぎる。そんな時はいつも先に集中が切れたわたしが「寂しい!!」と言ってしまうのだけど。

時々早くに寝てしまったり、どうしても疲れているときがあるようで、その時は「話せない」と言ってきてくれる。そう言われた時は「わたしとは話さないだけで、彼には他に話す人がいるんでしょお〜」(いやいや、文字にしてみたらまじでかまちょのうざい女じゃん)と思っていたのだが、どうも違うらしい。「かれんと話せない時は誰とも話せないとき。かれんは水で、水も飲めない時は何も食べられないし飲めないでしょ?」と言ってくれた。

わたし、水になれてるやん〜〜〜〜〜!!水彼女!!!!
超超超超テンション上がった瞬間だった。

正直、少しさみしいときも、ある。会ってみたら違うのだろうか。
だけど、こうやって「ふたりの空気感」を作っていくのだろうか。


ここまで書いてみてわかった。彼が以前書いていた、スポーツをしたあとの水の話。

水って、良いポジションだ。いつも自然に身の回りにあって、あるのが当たり前で必要不可欠なのだけど、「空気」とは違って、意図的に必然的に摂取しなければならない物質。(意図的に摂取しなきゃならないのに、摂らないと死んでしまう。)そして、摂取する場面が違えば、味も美味しさも変わってくる。また、ケアをすれば(磨かれれば)それ自体の味も良くなっていく(完全に奥大山の天然水を思い浮かべながら言ってる)。

彼がどこまでのことを言っているのかはわからないけれど、水は火を消せるし、嫌なことも流せるし、デトックス効果もあって、お通じもよくなるという。水は透明。色はその場に順応、固体、液体、気体と温度で姿を変えることだって。光合成で必要ということは植物にも動物にも必要で。人にとっても、環境が合っているかどうかを判断する大きな基準になったりもする。(水が硬すぎて、そして何度かお腹を壊して英国から逃げ帰った女)

水になるのは難しい。「水では物足りない!」と、ジュースに、ビールに、コーヒーに、カクテルに、赤ワインに、子どものビールになりたくなるときもあるだろう。「噛んで食べてほしい!」と、唐揚げや、ケーキや、そうめんになりたくなるときもあるかもしれない。そんなときは、それに乗じて、いろいろ試してみたい。舌にまとわりつくほど甘いわたしも、キリッと辛口のわたしも、シュワッとした爽快感のあるわたしも、じゅわっと肉汁が溢れ出すわたしも、味わえば良いのだ。(最後だけリアルだな)

自身の考えを深めるのが好きな彼と話すのが大好きなわたし。考えるのが苦にならず、話すのもまとめるのも上手で、関係性や考えのチューニングを快くしてくれる人。「水以外のわたし」も受け入れてくれる彼でよかった。

毎日、ありがとう。


P.S. はるちゃんの水の話も聞いた。vol.2で書きたいと思う。


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