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看護師転職サイトの闇

医療人材業界で働く中で、個人的に闇が深いなと感じたことをまとめてみます。すぐ消すかもしれません。


結論から先に言うと、看護師転職サイトは「悪質なサイトとそうでないサイトの差が激しい」という話です。個人的には「オリコン満足度ランキング」など客観的に評価されているサイトであれば、心配不要と考えています。

具体的なサイトは以下の記事で紹介。ネット上の口コミを集約して作成したランキングとしてまとめていますが、1位のサイトはオリコン満足度ランキング3部門1位の実績があるので、そちらがおすすめです。

【重要な大前提】転職サイトにとって看護師はお客さんではない

「看護師転職サイトは闇」と言われる理由は、転職サイトのお金の稼ぎ方が関係しています。転職サイトの負の側面を理解するには、まず「看護師転職サイトがどうやって稼いでいるのか」を正しく把握しておくところから始めましょう。

転職サイトは「登録している看護師」を「病院に紹介」することで、病院から手数料をもらう

最初に、転職サイト側の目線で解説します。転職サイトは「自社サイトに登録している看護師」を「人手不足に悩んでいる病院」に紹介するビジネスです。簡単に言えば仲介業者で、転職サイトは病院から受け取る仲介手数料を収益としています。


転職サイト経由で紹介された看護師を採用する場合、病院側は看護師の年収の20%ほどを紹介手数料(成果報酬)として支払います。

これが転職サイトの"利用料"であり、転職サイトの"収益源"です。(なので看護師は完全無料で使える)

例えば、年収500万円の看護師を採用したら紹介手数料は100万円+税です。


図解にすると以下の通り。

病院→転職サイトにお金が動いていますね

転職サイト側の目線で、時系列に沿って説明すると以下の通りです。

  1. 人材不足で悩んでいるA病院がある

  2. 転職サイトはA病院に「良い看護師を紹介するんで、採用が決まったらお金ください」と言う

  3. 契約成立

  4. 転職サイトは自社に登録している看護師さんに「A病院を受けてみませんか?」と言う

  5. 看護師さんはA病院に面接に行き、採用が決まる

  6. 転職サイトは病院から「仲介手数料」を受け取り、儲けが出る

転職サイトにとって、お金を払ってくれるお客さんは病院です。ということは…

転職サイトは看護師の内定をとらないとタダ働きになる

転職サイトは看護師の転職を成功させてはじめて儲けが出ます。転職サイトの利用者であっても、お客さんではありません。お客さんは病院です。

転職サイトは「登録している看護師」を「病院に紹介」することで、病院から手数料をもらう。言い換えると、転職サイトは「登録している看護師(商品)」を「病院(お客さん)に紹介」することで、病院から手数料をもらうということですね。

看護師転職サイトの闇「看護師と病院が損をして、転職サイトが一人勝ち」が起こり得る

ではここから、「転職サイトは、看護師の転職が決まればお金になる」という点を軸に、看護師転職サイトの闇に踏み込んでいきます。

一言でまとめると、目先の利益を追う悪質な転職サイトのせいで、看護師と病院のミスマッチが発生し(損をして)、転職サイトだけが得をするというものです。

そもそも登録時点で、看護師さんの多くは転職サイトの仕組みを知らない

看護師さんの視点で見ると、転職サイトは最初から最後まで無料で使えるので、お金の動きがどこでどうなっているか、というのを考える必要すらありません。

なので、多くの看護師さんは自分の採用に対して病院がお金を払っている、ということを知らない人も多いです。転職して看護師長から「あなたの採用には○○円かかっている」と言われ、そこで始めて仕組みを理解した、というケースもよくあります。

そして、転職サイト側もあえて説明することはありません。「聞かれたら答えるけど、何も言われなかったら特に何も説明しないよ」という感じですね。

悪質な転職サイトは、看護師のことよりも「儲けること」が優先

その情報格差を良いことに、悪質な転職サイトは「看護師さんのためですよ」という顔をして、「金儲け」のことばかり考えています。

転職サイトの儲けとは看護師の転職が決まった際の手数料であり、看護師さんも転職したいわけなので一見「利害の一致」に思えますが、そうとも限りません。なぜなら悪質なサイトだと、「看護師の転職が決まりさえすれば良い(あとはどうでもいい)」と考えていることもあるからです。

このような考え方の転職サイトに当たってしまうと、以下のような事態に陥る可能性があります。

  • 転職を急かしてくる

  • 紹介される求人が、ブラック病院として有名なところばかり

  • 待遇が微妙で、なかなか応募が来ない病院しか紹介されない

売上目標に追われているアドバイザーほど、看護師の都合を無視(希望に沿わない病院も無理やり勧めてくる)

営利企業であれば当然「売り上げ目標」というものが存在します。看護師転職サイトの場合、部署ごとに「何人の転職をあっせんする(成功させる)」という数値目標があります。

キャリアアドバイザー個人にノルマが課せられることはあまりありませんが、たいていの場合、事業部単位で期ごとの売り上げ目標があり、そこに向けて運営が行われています。

売上目標に追われている事業部のアドバイザーほど、看護師の都合を無視しがちになります。例えば、次の通り。

  • 「情報収集だけ」のつもりなのに、「とりあえず選考を受けてみましょうよ」と半ば強引に転職活動を進めてくる

  • 都合の悪い情報は伝えず、求人を紹介してくる(例:短期離職が続いている職場であると知っているのに、それを隠している)

  • 隙あらば電話をかけてきて「紹介した求人はどうですか?応募してみませんか?」としつこく迫る

  • 内定が出たものの承諾するか迷っていると、「せっかく内定出たのにもったいない」と強気のクロージングをかけてくる

かなり強気なアドバイザーの例ですが、押しに弱い人ほど「サポートしてもらったし、断るのは申し訳ない」のような明らかに冷静さを欠いた判断をしてしまいがちです。

今より良い職場に転職するつもりで登録したのに、相手のペースに巻き込まれて正しい判断ができず、転職に失敗してしまっては元も子もありません。

「今すぐ辞めたい」のような状況の看護師も、足元を見られやすいので注意してください。「忙しくて、誰でもいいから来てほしい」と考えているような、いわゆる「面接に行けば受かる病院」を紹介されることもあります。そういった職場はたとえ転職できたとしてもその後が大変です。

一度登録したら、しつこい電話がかかってくる

一部の転職サイトでは、一度登録しただけで、「獲物がかかってきた」と言わんばかりにしつこい電話をかけてくるところがあります。

しつこい電話の内容は「この病院に転職しませんか???どうですか????」というものです。「情報収集のために登録しただけなので、今すぐ転職はしないです」と伝えても、しばらくするとまた電話がきます。「この間は転職しないって言ってましたが、気が変わりましたか?」という感じです。

こういったサイトは、一見良心的な雰囲気の広告を出していたりするので、なかなか見分けがつきません。

看護師がすぐ辞めれば、病院は紹介手数料を払い損

看護師の転職が決まれば、転職サイトは病院から手数料を受け取ります。転職サイトの目的は、そこで達成です。

言葉を選ばずに言うなら、その後看護師がどうなろうと関係ありません。だからこそ、悪質な転職サイトの場合、ブラック病院を紹介したり、本来伝えるべき情報を言わなかったりするわけです。転職をさせられれば、勝ちですからね。

そんなサイト経由で転職した看護師と病院は、いわばミスマッチの状態なので、看護師さんは遅かれ早かれ再度転職することになるでしょう。そうなれば、病院は紹介手数料を払い損です。

それに看護師にとってみても、早期退職の経歴が付いてしまい、その後の転職難易度が上がるので損です。

こういった背景から、看護師転職サイトを使うことで、看護師と病院だけが損をして、転職サイトが一人勝ち(得をする)という状況が発生します。まさに「闇」と言うよりほかありません。

とはいえ転職サイトを使わないわけにもいかない。じゃあどうする?

粗悪な転職サイトが存在するからといって、全てがそうというわけではありません。転職サイトを使わないわけにもいけないですし。(転職サイトを使わないと、求人を探せないですからね。)

ではどういったサイトを使えば、前述した「金のことしか考えない転職サイト」を避けられるのでしょうか。

結論から言うと、第三者から正当に評価されている転職サイトの利用をおすすめします。個人的に信憑性が高いと考えているのが、オリコン満足度調査です。オリコン満足度は、アーティストやタレントの知名度調査などでよく耳にしますが、それ以外にも企業のサービスを調査し、中立的な立場で評価しています。悪質な転職サイトは、悪い口コミがすぐ回るので、こういったランキングに入ることはまずありません。

オリコン調査の内容をベースにネット上の口コミを集約して作成したランキング表を以下の記事にまとめておきます。転職サイトを探している看護師さんはぜひ参考にしてください。


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