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応援という余計なお世話

なんでそこでイケると思ったん?という場所でセミが羽化しようとしてました。

風は強く、ちぎれかけの葉っぱは揺れ、羽化した足を踏ん張る足場もない。
他の葉に比べ大きく揺れているのでなんだろうと気になり近寄ってみたらこの状況。
ねえ、なんでそこでイケると思ったんよ。
風で葉は揺れるがセミはピクリとも動かない。力尽きた?力尽きてるの?
ど、どうしよう。
助ける?手伝う?余計なお世話?
数分間、悩みに悩んで、柿の葉に触れると簡単に枝から葉が取れました。
ちぎれかけの葉と抜け殻になっていない殻とそこから羽化中のセミ、が私の手に。
どうしようどうしよう。
触っていいのかコレ?いやダメでしょ。素手で触っちゃダメでしょ。そのせいで羽化したてのやわらかい身体がどうにかなったらどうするよ。
しゃがんで石の上に葉を置こうとしたら今度は葉と殻がハラりと分離。
げっ。
今度は抜け殻になっていない殻の抜けたあたりの先っぽの方をもってどうしようどうしよう。
どこまでが手助けで、どこからが余計なお世話!?
だれか、だれか教えてー!!!
私の騒動で気づいたのか、それまでまったく動く気配もなかった抜けかけのセミがそこでいきなりもがき始めた。
え!?今、今なん!?ちょ、ちょっと待ってー!!!
いい足場を探すから!ちょっと、お願い、ちょっと待って!!!
そんな私の叫びはまったく届かず、セミはもがいて殻からポロリと落ちる。
といってもしゃがいんでいたので落ちた距離は2,3㎝。
げっ。
ただちゃんと抜けてないらしく、細い足?触手?なんか2本くらい線がつながってて殻とちゃんと外れない。
ど、どうしよう。待って、待って。と、とにかくこの石の上に!
あ、熱い!!
日中の暑さで石が温石になってる。羽化したばかりのセミをこんなもんに置いて大丈夫なのか?しかもまだめっちゃ日が当たってる。
誰か正解を教えてー!!!
焦っても答えはない。
石の上の羽化したてのセミ(殻付き)の横に足場の枝や小石を置いて一旦その場を離れた。
その前にちょっと葉っぱで日陰を作ってみたりはする。
これはどこまで人が関与して良いものなのか。
人の関与の正解、線引きはどこなのか・・・。

庭の水撒きの続きをし(水撒きをしている最中に見つけた)、ホースを片づけて石の上の羽化したてのセミ(殻付き)のところへ戻る。
!!ひっくり返ってる!!
っていうか、アリがたかってる!!!
や、やめてー!!!まだ、まだ、エサじゃないー!!!
人の関与、余計なお世話について葛藤していたはずなのに、たかっていたアリを息を吹いて吹き飛ばす。
猛烈な関与だ。ごめん!!ごめん!
転がって起き上がれずにもがいているセミの手に枝を持たせようと大わらわ。
なんで私も杉の枯れ枝を差し出すかな(トゲトゲトゲ)。
トゲが嫌なのかそもそも余計なお世話が嫌なのか縋りつく元気がないのかセミはもがくばかりで枝はつかめずひっくり返ったまま。
ああああどうしよー!!
セミの背中半分に小石を差し込んだらどうにか表がえった。
もう余計なお世話の大嵐。

余計なお世話ついでになかなか取れないでどこか引っかかっている殻をちょっと引っ張る。なんかもげたりしないようにそっとそっと。
あ、とれた。・・・たぶんもげてない。よかったー。ここはアリもいるし、日も当たるし、とりあえず木へ、木へ行かれませんか。
聞いているようでセミの意見など聞いていない。
人の関与とか余計お世話の葛藤どこいった。
表返したセミを小石に乗せ、木の幹へ連れて行く。


こ、ここで、ここでどうにか生き延びてください。
って、あんたまたひっくり返るんか!!
がんばれ、がんばれー!!
石から木に移動しなって。足場が安定するから。
・・・分かってるのです。めっちゃ余計なお世話だって。
母がこんなことを言って手を出して来たら娘は猛烈な反抗期まっしぐらです。

追加した足場の石をキッカケにどうにか表がえり、これ以上の過干渉はごめんだと思ったのかいきなり活発に動き始めるセミ(羽化したて)。
ごめんて。悪かったって。
もうこれ以上関与しないから。
がんばって生きてください。

・・・翌朝大丈夫だったよね、と見に行きました。
過干渉の上級って過過干渉、ですかね。

反省の夏。





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