王様達のヴァイキング:自分の価値が分からず、生きていくのが苦しい時はコレ
【王様達のヴァイキング:さだやす(漫画)・深見真(ストーリー協力)】
「お前のその手は本当は何をしたいんだ?」
人と会話がうまくできない。何を話していいのか分からない。同じ速度で会話できない。
コミュニケーションに関する悩みはなかなか尽きない。自分が「その場にいる価値」を感じられず、自分はもしかして宇宙人なんじゃないかと不安になったりもする。
「人に適当に合わせる」とか「空気を読む」が当たり前の常識のように語られるけど、子供のころに長縄跳びへ入るタイミングが分からない人間は永遠に「適当に合わせる」と「空気を読む」が下手な気がする。
下手で、何が悪いの? 背が高いとか声が高いと同じ、ただの特徴なのに。
そう振り切れるまで何度も痛い目にあう。
これは、そんな男の子の物語。
物語の筋立てだけで言えば、ジョーゼフ・キャンベルのヒーローズ・ジャーニー(神話の法則)の構造そのまま。
ロード・オブ・ザ・リング、スターウォーズなどハリウッド映画も、ドラゴンボール、ワンピースなど少年マンガも、多くはこの構造にのっとっている。
ヒーローズ・ジャーニーはフレームの数は細かく言われることもあるけど、要は
日常生活からの離脱
旅の始まり(好むと好まざると)
賢者(師)との出会い
試練・仲間との出会い・ライバルとの出会い
大きな試練
勝利
帰還
という構成で成り立っている。この物語もまた同様。
なんだけど。まったく、ちんぷさを感じさせない。
それは、非常に緻密な人物設定・描写のおかげだと思う。
なんでもできるこの時代。こんな時代だからこそ、多くの選択肢の中から「本当にやりたいこと」を見つけるのはとても難しい。好きなことを仕事に!っていうけど、どうやって?自分の好きなことの何がこの世の誰かの役に立つのか、ちっとも思いつかない。っていうか、そんなタマシイ込めるほどの好きでめりこんでいるものなんて、そもそもない。
王様達のヴァイキングの主人公是枝君はとっても不器用で、高校中退の18歳。コンビニのアルバイトを3度も首になるほどコミュニケーションが下手で、人に合わせることも空気を読むこともできない。相手の質問に対して返答をするのにも、なかなか答えられないから会話が成り立たない。日常生活においては本当にポンコツで、家族も友達もいない。そんな彼が唯一会話できるのがコンピュータ。唯一コンピュータの中でだけ、彼は自由でいられる。これだけが彼の全て。これしかないから、もし失敗したら、もし嫌いになったら、他に何もない。唯一持っているのがハッキングの腕。
そんな彼が唯一持っている「ハッキング」で、人と関わり、仲間を見つけ、人を信じ、成長していく、そんな物語。
「仲間なら、僕に背中を預けてほしい」
この世のすべての人に読んでほしい。
自分の存在価値を感じられない人にも
近くに空気読まない人がいて、イラっと感じたことがある人にも
自分の子供や生徒や部下に自分の言葉が届いていないように感じる人にも
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