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意外と知らない!保険の成り立ちや再保険 〜『ロイズ保険市場』現地視察の体験談〜

こんにちは。
キャリアと暮らし研究所®︎所長の金原です。

初回のテーマは、「意外と知らない!保険の成り立ちや再保険」について。2015年にイギリスの『ロイズ保険市場』を現地視察した体験談を盛り込んでいます。

1.はじめに
そもそも保険とは、リスクを複数で共有することで個々に生じる損失を軽減する仕組みです。
1人の人間が万全でも、数百人、数千人、数万人という多数のグループに拡大されると、統計的なリスクが生じます。そこで保険料を少しずつ出し合い、損害を被った者に保険金を支払うことによって経済的損失を軽減することができます。

2.世界で最初の保険契約
世界で最初の保険契約は、商人や船乗りのリスクに対する補償を提供したとされる「マリーン・インシュランス」、海上保険です。
14世紀に海上貿易を行っていたヨーロッパの商人たちが、海賊の被害や天候不良などによる船舶の損失に備えるために、共同で保険を組むようになりました。

3.イギリスの『ロイズ保険市場』
保険業界は、17世紀のイギリスで生まれました。当時、商船団が航海中に海賊に襲われ、船は沈没し、大量の貨物が失われるという損失が度々発生していました。まだ船舶保険を扱う業者は少なく、多くの商人が自分たちの貨物を保険する必要がありましたが、1社だけでは大きなリスクを負いすぎるという問題がありました。

そこで、ロンドンの船主や商人たちが集まって船舶保険を取り扱う市場として、ロイズ保険市場は始まりました。ロイズ保険市場は、現在でも世界中の多くの企業や個人から信頼を得て、様々な保険商品を扱っています。

4.ロイズ保険市場にある『ルーティン・ベル』
現地の方に教えてもらったのですが、ロイズ保険市場の風習として、世界で大きな事故などが起こると市場の中心にある大きな鐘、ルーティン・ベルを鳴らすそうです。2011年3月11日に日本で起きた東日本大震災でもその鐘が鳴らされたそうです。

(2015年当時)最近いつ鳴らされたのか聞いてみたら、「イギリス王室に赤ちゃんが生まれた時だよ。」と笑顔で答えてくれました。「悪い出来事が起きただけじゃないのか…粋だなぁ。」と感動したのを覚えています。

また、ルーティン・ベルの傍に透明なガラスケースが設置されており、そこには一冊の古びたノートと筆ペンが保管されていました。これは何かと尋ねると、「昔は世界中で起きた海難事故などをこのノートに記していたんだ。」と。なんとそこには、あの有名な「タイタニック号沈没」も記されていました。

5.再保険(Reinsurance)
再保険は、元受保険会社が引き受けた保険金支払責任の一部または全部を引受ける「保険の保険」です。
リスク分散・リスク転嫁の方法として、主に損害保険において行われます。国際的な再保険として有名なのがこのロイズ保険市場です。

過去には、2005年のハリケーンカトリーナや2011年の東日本大震災、タイ洪水などが再保険市場にも大きな影響を及ぼしました。
※ロイズは保険会社ではなく、保険市場です。ロイズ保険市場には、ネームと呼ばれるシンジケート(保険引受のための資金を供給するひとつまたは複数のメンバーで構成)が数多く存在し、保険引受の可否・条件を決めるアンダーライターが配置されています。ロイズブローカーが世界の保険会社と複数のシンジケートを仲介・引受手配することで、巨額の物件の引き受けが可能になっています。

また、再保険は大きく2種類あります。
一つは、元受保険と再保険とで決められた按分割合に比例して支払われる「比例再保険」。
もう一つは、あらかじめ定められた損害額(エクセスポイント:発動点)を超えた部分が支払われる「超過損害額再保険」があります。

6.さいごに
海上保険から始まった保険。これまで火災保険、自動車保険、医療保険など、様々な種類の保険が登場するようになりました。保険は、生活の安全と安心を提供する重要な社会制度として、今日も不可欠な存在です。

ただ、保険料は人生における3大支出の一つ(他2つは住宅と子どもの教育費)と言われるほど実は大きな買い物です。保険を正しく活用することはもちろん、なるべく賢く加入しましょう。

キャリアと暮らし研究所®︎ 所長
CFP®︎認定者・1級FP技能士・プライマリープライベートバンカー
金原 直輝

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