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第100回全国高校サッカー選手権大会決勝を振り返って

早くも2022年の4分の1が終わろうとしている。大学キャリアセンターで学生の就活支援の仕事をしていると年明けから3月まではあっという間に過ぎてしまう。

繁忙期で置き去りにしていた、新国立競技場での100回大会決勝を振り返ろう。

わたしが初めてテレビで高校サッカーを見たのが第70回大会。松波選手(前ガンバ大阪監督)のいた帝京高校の試合。当時、プロリーグ(Jリーグ)が開幕する少し前。サッカー熱が徐々に高まりテレビで試合を観る機会が多かったように思う。当時は国立競技場が高校サッカーの聖地だった。

あれから30年。コロナ禍になる前から100回大会は観に行こうと固く決心していた。100回という節目に新国立競技場に高校サッカーの聖地が戻ってくる。その歴史的な瞬間を現地で味わいたいと思った。

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まずハコのスケールに圧倒される。普段サッカー専用スタジアムで観戦することが多いため、新国立のピッチがいつも観ているサイズより小さく見えた。

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青森山田は今回の決勝戦に先がけ応援サポーターを外部から公募していた。数を集めてスタジアムで自分たちのゲーム運びができる雰囲気を作ろうという意図が感じられた。さすが決勝常連校だけあって、場づくりにも余念がないなと思った。

実際はハコのスケールが大きすぎたのと陸上トラックでピッチとの距離が離れていたので、思ったほど応援人数での効果は出なかったように感じた。加えて声や鳴り物での応援がNGなのも大きな要因だろう。

大津は新国立で戦うはずだった準決勝が不戦勝。中5日で初めて国立のピッチに立つ。次元が違いすぎる話だが、わたしが職場を5日ぶりに出勤したら感覚が元に戻るまで少し時間がかかるだろうなと。ましてや全国大会決勝戦の大舞台で、予想外のことが起きた後、コンディションやモチベーション維持の難しさは想像に難くない。

前半30分近くまで攻守が目まぐるしく変わり、山田はセットプレーを8本もこなして徐々に感覚をつかみ始めていた。以降、山田が前半で2点決めるまで大津はよく凌いでいた。

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後半も山田は積み上げてきたフィジカル、粘り強い守備で大津の攻撃の芽を丁寧に摘み取っていく。大津は思うようにプレーできない時間が続く中で10番から起点を作ろうとするが、間を詰める、パスコースを消すなど山田の徹底したハードワークで最後までシュートすら撃たせてもらえなかった。

後半で3-0になり40分をすぎた頃、帰りの新幹線の時間となりわたしは国立競技場を後にした。

青森山田はシンプルに力強かった。鮮やかなパスワークも華やかなプレーもない。1対1で負けない、仲間のために走る、体を張る。そして相手の良さを消してチャンスを作る。セットプレーの緻密さ。サッカーの本質を突き詰めてきた凄みが感じられた。

様々な想定をして積んできた地道なトレーニング、プレミアリーグ、プリンスリーグなど高いレベルでの公式戦の豊富な経験も、大舞台での勝負強さに繋がっていたと思う。

高校サッカー選手、当事者にとってこの選手権大会に辿り着くまでの3年間はとてつもなく長いと感じているかもしれない。

観客のわたしにとっては、大会の中で1試合に全力を出し切る、終わってみれば「強烈な一瞬の煌めき」「爪痕」みたいなものが高校サッカー、選手権大会の魅力だと感じる。

100回の歴史的瞬間を見たくて高校スポーツに4万人以上の観客が詰めかける。改めてサッカー、スポーツがたくさんの人の原動力なのだと思い知らされた。

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歴代の高校サッカー選手、指導者、スタッフが繋いでくれた100回大会。Jリーグより歴史めっちゃ長いやんと思いながら。この舞台からまた新たなJリーガー、日本代表、世界で活躍する選手が生まれることを楽しみにしている。

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追記:最大の誤算は大会応援ソングを座席で聴けなかったこと。テレビだとあたかもハーフタイムにライブしているようだが。あれは編集のなせるわざ。実際は選手入場よりさらに前にライブが行われていた。これも行ってみたからこそ気づけたこと。上白石萌音さん観たかったです(泣)

(おしまい)



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