猫本のおと 1 「猫語の教科書」

ー猫による、猫のために書かれた、人間の籠絡の仕方ー

「猫語の教科書」
作者:ポール・ギャリコ
訳者:灰島かり (翻訳、素晴らしい!)

一言で言うと、素晴らしく頭のいい牝猫がタイプライターを使って、猫がどのように人間をその支配下におくか、人間がいかに自ら喜んで身を捧げ、猫に支配されるようになるかを語っている本。作者の猫はおそらく、写真家ご夫婦、ショア夫妻の飼い猫ツィツァと思われる。タイプライターを打っている猫が写っている白黒写真の表紙や、猫の魅力が余すところなく表現されている写真の数々、ショア夫妻がツィツァにメロメロになってしまっているのが伝わってくる。「今すぐ、読みたい」と切実な思いで買い求めた私もすでに猫の術中だ。

読み進めていくと、これって、女性が男性を思い通りにしようとする戦略と同じでは?と急に猫の話でなくなってしまった。「人間の家を支配するためには、自分の魅力をどうアピールすべきか、知っていなくてはなりません」と、第7章は始まる。「人間が間違った思い込みに取りつかれている限り、猫の秘密をかぎつけたり、猫の実体にせまったりする危険はありませんから」・・・この「人間」を「恋に落ちた男性」と置き換えて、「猫」を「女性」としたら・・・。

そして、猫が守るべき10ヵ条を抜き出してみれば、恋の勝者になる10ヵ条みたいなものが出来上がる。



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