見出し画像

[6分短編小説]OLD-青年と壮年と成長と新産業分野を巡るハードボイルド・ツアー-

あらすじ

2040年──国内最大手報道局、broadcastブロードキャスト社、ジャーナリストの、公正取引委員会の、潜入審議官、経済産業分野審議官トレードマスター、フォルティトゥドーが、帰国する。
2030年──18歳の、ウィースは、窃盗犯を、追いかける。
クレーメンスに、師事した、ウィースは、フォルティトゥドーと、新産業成長分野提携の、旅に出るが...

カバー写真

左から、カジノ・賭博分野審議官カードマスター、クレーメンス
カジノ・賭博分野審議官カードマスター、ウィース

OLD-青年と壮年と成長と新産業分野を巡るハードボイルド・トリップ-

2040年──40代半ばの、国内最大手報道局、broadcastブロードキャスト社、ジャーナリストの、潜入審議官、公正取引委員会の、経済産業分野審議官トレードマスター、フォルティトゥドーが、帰国する。フォルティトゥドーが、審議院仮庁舎で、師匠、クレーメンスに、出迎えられ、言葉を発する。
「クレーメンス師匠、10年ぶりの、帰国だ。」
クレーメンスが、返答する。
「フォルティトゥドー、生きていたか。」
2030年──18歳の、少年の、ウィースの前で、窃盗犯が、女性から、バックを奪い、逃走する。ウィースが、追いかける。窃盗犯が、ナイフを出し、ウィースが、右腕を、切られる。散歩中の、70代の、公正取引委員会の、カジノ・賭博分野審議官カードマスター、クレーメンスが、スマート弾拳銃、smart handgun®︎スマートハンドガンを構え、宣言する。
「武器を、置け。」
窃盗犯が、ナイフを置く。クレーメンスが、ウィースに、問いかける。
「少年よ、通報してくれないか?」
ウィースが、通報する。クレーメンスが、Tシャツを、脱ぎ破り、ウィースの腕に、巻き付ける。退院するウィースに、クレーメンスが、声をかける。
「公正取引委員会の、審議官にならないか?」
ウィースが、質問する。
「何故?」

クレーメンスが、回答する。
「素質が、ある。正義感が、強い。」
ウィースは「1週間、考えさせてくれ」と言い、4日後、熟慮の上、了承した。オンライン通信制大学アプリsmart university®︎スマートユニバーシティーで、ウィースは、クレーメンスより指示された、教養を学ぶ。
現代を、ピア・サポート論、ジェンダーとダイバーシティ、メディアと現代文化、市民と政治、ソル憲法、災害と安全、歴史観の形成、科学・技術と社会、実践データ、現代平和論、戦争の歴史と思想で学ぶ。
思想を、哲学と人間、人間性と倫理、心理学入門、論理と思考、社会思想史、科学技術と倫理、宗教と社会、メンタルヘルス、ソルの文化・地理・歴史で学ぶ。
文化を、メディアと図書館、社会学入門、文化人類学入門、文学と社会、現代の教育、世界の言語と文化、世界とソルの食文化、観光学、古都学、ソル語学で学ぶ。
芸術を、美と芸術の論理、音楽原論、映像と表現、映像メディア実践入門、文芸創作論で学ぶ。
社会経済を、国の行政組織、現代社会と法、経済と社会、企業と社会、現代ソルの政治、現代の国際関係とソル、ソル経済概説、現代の世界経済、現代の経営、社会と福祉、ソーシャルデザイン論で学ぶ。
科学を、科学的な見方・考え方、宇宙科学、地球科学、生命科学(分子と生命)、生命科学(生物と生態系)、材料と化学、現代環境論、科学と技術の歴史、生命科学と倫理、近現代の科学技術で学ぶ。
数理・情報を、数理の世界、情報の数理、情報科学、情報技術と社会、統計学で学ぶ。
スポーツを、スポーツの歴史と発展、スポーツと現代社会、スポーツのサイエンス、現代人とヘルスケア、スポーツ方法で学ぶ。
カジノゲームの、ルーレット、スロットマシン、バカラ、ブラックジャック、トラント・エ・カラント、ポーカー、クラップス、ルーレットを学ぶ。

フォルティトゥドーが、西の、超大国、ベルルムから、帰国する。クレーメンスが、ウィースに、紹介する。
「1番弟子の、フォルティトゥドーだ。彼と、新産業成長分野提携の、旅に出ろ。新産業分野とは、我が島国、ソルの、未来を担う、16個の、新しい、産業分野だ。各分野と、有望先端技術は、次の通りだ。新産業分野①空間利用業界の空間音響space sound®︎スペースサウンド、空間共有コンテンツ視聴space entertainment®︎スペースエンターテイメント。新産業分野②ヘルスケア業界のmRNAワクチンgene vaccine®︎ジーンワクチン、AI医療virtual doctor®︎バーチャルドクター、ウェブ問診digital doctor®︎デジタルドクター、治療用アプリdigital care®デジタルケア、遠隔リハビリremote care®︎リモートケア、AI不妊治療支援baby®︎ベイビー。新産業分野③宇宙業界のH3ロケットspace rocket®︎スペースロケット、再利用型ロケットrecycle rocket®︎リサイクルロケット。新産業分野④量子技術業界の量子暗号通信quantum communication®︎クォンタムコミュニケーション、誤り耐性量子コンピューターcorrect quantum®︎コレクトクォンタム 。新産業分野⑤電池業界のペロブスカイト太陽電池solar®︎ソーラー、ダイヤモンド電池diamond®︎ダイヤモンド。新産業分野⑥金融・流通業界の非代替性トークンdigital material®︎デジタルマテリアル、デジタル証券digital stock®︎デジタルストック、チャットコマースchat®︎チャット。新産業分野⑦車・ドローン業界の自動運転automatic drive®︎オートマチックドライブ、水素エンジンhydrogen drive®︎ハイドロゲンドライブ。新産業分野⑧人工知能業界の自然言語処理content®︎コンテンツ、AI文字起こしdocument®︎ドキュメント、AI音声サービスguidance®︎ガイダンス。」
クレーメンスが、続ける
「新産業分野⑨カーボンニュートラル業界の二酸化炭素直接空気回収carbon air®︎カーボンエアー、水素タービンhydrogen roll®︎ハイドロゲンロール、水素大量輸送hydrogen transport®︎ハイドロゲントランスポート。新産業分野⑩仮想化業界のデジタルツインtwin®︎ツイン、3次元都市モデルvirtual city®︎バーチャルシティー。新産業分野⑪工事業界の太陽光自家発電歩道light road®︎ライトロード、二酸化炭素減少コンクリートecology®︎エコロジー、木材ペットボトルアスファルト舗装material road®︎マテリアルロード、非セメント砂接合sand connect®︎サンドコネクト。新産業分野⑫燃料・発電業界の代替燃料other®︎アザー、CO2フリー水素carbon free hydrogen®︎カーボンフリーハイドロゲン、エネルギーハーベスティングharvest®︎ハーベスト。新産業分野⑬予防業界のガンスクリーニングcancer®︎キャンサー、微小血液アレルギー検査blood®︎ブラッド、デジタル聴診デバイスsmart ear®︎スマートイヤー、VR認知症予防forget®フォルゲット。新産業分野⑭素材・食材業界のバイオプリンティングvaio print®︎バイオプリント、水素還元製鉄hydrogen iron®︎ハイドロゲンアイロン、バイオプラスチックvaio resin®バイオレシン、培養肉vaio meat®︎バイオミート。新産業分野⑮高速化業界のローカル5G通信local®︎ローカル、ウルトラワイドバンドsuper wide®︎スーパーワイド。新産業分野⑯セキュリティー業界の分散ID管理spread®︎スプレッド、脱サードパーティークッキーlog®︎ログ、挙動監視action®︎アクション、パスワードレス認証password®︎パスワード。」
フォルティトゥドーが、ウィースに、告げる。
「これから、4大文明の、諸外国、ドラコー、エレパース、ワスティタース、パンテーラを、訪ねる。厳しい旅に、なるぞ。覚悟しておけ。」
フォルティトゥドーと、ウィースは、首都空港ウェントゥスで、高速旅客機air speed®︎エアースピードに搭乗し、漢文明、東の、超大国、ドラコーの、デジタル都市、ノーティティアに、到着する。フォルティトゥドーが、ドラコー高官に、口を開く。
「貴国の文化から、ソルは、漢文字を始め、多くの事を、教えて貰った。交流史は、2,000年前に遡る。」
ドラコー高官が、微笑み、返答する。
「取引の、話をしよう。」
新産業分野車・ドローン業界の、協議をする。フォルティトゥドーが、お願いする。
「貴国は、自動運転で、世界をリードしている。レベル4のODD(運行設計領域)設定・手動運転両立で、ハードルが高かった、自動運転automatic drive®︎オートマチックドライブの低コスト化ノウハウを、教えて貰えないか?」

ドラコー高官が、問う。
「交換条件は?」
「水素技術は、ソルの、強みだ。水素エンジンhydrogen drive®︎ハイドロゲンドライブの高エネルギー密度・熱効率技術特許を、一部開示する。」
新産業分野燃料・発電業界の、協議をする。フォルティトゥドーが、回答する。
「ソルは、今新エネルギーを、開発している。代替燃料other®︎アザーは、高エネルギー密度・従来設備利用可能・非資源国製造可能で、反響負荷が低い。原材料製造・合成ガス製造・FT合成・製品化の各プロセスで、提携したい。」
ドラコー高官が、疑問を、投げかける。
「見返りは?」
フォルティトゥドーが、答える。
「ソルの、強みの、水素技術の、もう1分野、CO2フリー水素carbon free hydrogen®︎カーボンフリーハイドロゲンの、海外工場を、貴国に、誘致し、貴国内・ソル供給水素サプライチェーン構築実証事業で、CO2回収技術ノウハウを、提供する。」
ドラコー高官が、問う。
「エネルギー変換と、効率利用が、我が国の、課題だ。何故ならば、我が国は14億近い人口を、有する。光・熱・振動・電波での、エネルギー電力変換のエネルギーハーベスティングharvest®︎ハーベストも、提携できないか?」
フォルティトゥドーが、返す。

「勿論だ。それだけではなく、応用展開の、自動車安全性・燃費向上タイヤ空気圧センサー用電源・ウェアラブル機器電源・医療用途機器・コンタクトレンズ型センサー電源でも、資本提携したい。」
新産業分野セキュリティー業界の、協議をする。フォルティトゥドーが説明する。
「セキュリティーは、両国の、経済安全保障に関わる、重要な、ビジネスだ。世界各国情報漏洩事件・巨大IT企業ユーザー情報一極集中化を、解決出来る、分散ID管理spread®︎スプレッドの分散化識別子(DIDs)、検証可能資格情報(VC)技術を、一部公開する。」
ドラコー高官が、回答する。
「我々も、高いセキュリティー技術を、有している。脱サードパーティークッキーlog®︎ログのデバイスフィンガープリンティング・OS独自広告識別子 (AAID)・Topics APIの合弁企業を、設立しても良い。」
フォルティトゥドーが、依頼する。
「スマートフォン・サーバーの、デバイス状況監視、不審動作検知・対処の挙動監視action®︎ アクションの特許を、一部開示する。何か対価を、貰えないか?」
ドラコー高官が、返答する。
「それならば、パスワードレス認証password®パスワードの、生体情報・PINコード認証技術と、交換しても良い。」
新産業分野金融・流通業界の、協議をする。フォルティトゥドーが、話を進める。
「金融業界の、両国の統合も、進めたい。非代替性トークンdigital material®︎デジタルマテリアルの規制・システム統合を、申し入れたい。」
ドラコー高官が「それは...」と前置きし、回答する。

「貴国は、金融規制が、強すぎる。デジタル証券digital stock®︎デジタルストックも、規制・システム一体化するならば良い。」
「分かった。チャットコマースchat®︎チャットの、会話AI技術提携も、加えても良い。」
フォルティトゥドーは、ドラコー高官と、握手し、ウィースに、告げる。
「此処から、プリームス山脈を超え、多神文明エレパースまで、歩きで行く。」
プリームス山脈を、2人は歩く。標高8,000mを、超える、低酸素エリアは、生命の、危険に、瀕し、デスゾーンと、称される。 
プリームス山脈には、無数の、登山者の、亡骸が、転がっている。超低気温の末、凍りついているのだ。
プリームス山脈の、全貌を、把握するのは、難しい。あまりの、大きさ故、近くから、その全貌を、把握する事は、人間には、出来ない。
頂上へ、アタックする日になっても、プリームス山脈は、圧倒的な姿で、寒さと、氷と、共に、立ちはだかる。常識を、超えた、スケール感は、登山の、心を、砕く、大きな、脅威になる。
ウィースが、頭痛・疲労・吐き気・食欲不振を、訴える。フォルティトゥドーが、解説する。
「高山病だ。休息を取り、少しずつ、高度を上げる。体を、適応させろ。」
気温10℃以下・降雪・10m/秒以上強風になる。ウィースに、筋肉硬直・脈拍と、呼吸減少・血圧低下が起こる。フォルティトゥドーが、質問する。
「低体温症だ。帰国するか?」
ウィースが、首を、横に振る。2人は、テントを張る。フォルティトゥドーが、アザラシに似た、ポキダエの肉を、熱して、話しかける。

「ポキダエの肉を、ボイルした。この中に、両手を、差し込め。このままでは、凍傷になる。ポキダエの肉は、とても温まる性質を、持っている。凍えた両手を、温めろ。」
ウィースが、両手を差し込み、問いかける。
「何故、徒歩で?」
フォルティトゥドーが、返答する。
「クレーメンス師匠が、タフさを、教えろと言った。人生とは、辛い事の連続だ。タフでなければ、生きていけない。考えてみろ。初めて、経験した痛みは、何だ?子供の時、転んだ事か?幼少期、怪我をした事か?だが、その痛みは、生きている証だ。痛みがあるから、人は、強くなる。お前の、凍りそうな手足も、同じだ。必死に、生きようとしている。体を、思え。そして、魂を、思え。魂は、凍らすな。心の火を、燃えたぎらせ続けろ。その先に、真の、喜びと、栄光がある。誰かと、戦うのではない。自分自身と、戦う事だ。痛みを、忘れるな。痛みが、お前を、強くする。痛みが、お前に、教えてくれる。生きている、という事を。生き続ける、という事を。今は、その痛みを、噛み締めろ。天候回復迄、ここで、待機する。ゆっくり、休め。」
2人は、クレパスを越え、下山する。フォルティトゥドーが、山村集落、アルウェウスで、チョコレートコーヒーを渡し、問う。
「死を、感じたか?」
ウィースが、コーヒーを飲み、口を開く。
「ああ。」
フォルティトゥドーが、返す。
「無事に、乾杯だ。」
2人は、コーヒーで、乾杯する。ウィースの、目は、以前よりも、強さを増していた。そして、フォルティトゥドーの、優しさが、ウィースには、骨に染みて、分かった。生きている事、呼吸をしている事の、有り難さを、ウィースは、実感していた。「生きているって良いな」とウィースは、呟いた。フォルティトゥドーは、返事をする代わりに、ウィースの、肩を、ポンと、優しく、叩いた。

          ◇

2030年──フォルティトゥドーと、ウィースは、多神文明、エレパースに、到着する。エレパースは、カースト制度で、身分が、固定されており、強みは、低カーストでも、自由に、就業出来る、IT分野だ。世界的な、起業都市、オルトゥスで、2人は、エレパース高官と、話す。フォルティトゥドーが、話し出す。
「貴国は、ドラコーと並び、悠久の、歴史・文化を持ち、ソルとの、関係も、長い。ソルの、神社道は、貴国の、アエストゥス教と、関係し、ドラコーを通じ流入した仏陀教も、貴国で、生まれた。」
エレパース高官が、応答する。
「古き、友よ。」
新産業分野予防業界の、協議をする 。フォルティトゥドーが、提案する。
「予防と、健康は、世界一の、16億人の人口を有する、貴国でも、喫緊の課題だ。ワイヤレス自由聴診・内蔵デジタルシグナルプロセッサ心音・呼吸音最適化デジタル聴診デバイスsmart ear®︎スマートイヤーを、地域医療センターで、提供する。」
エレパース高官が、返す。
「認知症と、ガンは、貴国の2大国民病だ。VR認知症予防forget®︎フォルゲットの認知症患者年齢・性別別映像投入・体験技術も提携出来る。ガンスクリーニングcancer®︎キャンサーの癌研究組織・政府・民間機関研究プロジェクトに、参画可能だ。」
エレパース高官が、続ける。
「我が国は、検査ツールでも、世界最先端をだ。マイクロアレイ技術・タンパクチップ活用の、微小血液アレルギー検査blood®︎ブラッドも、提携しても良い。」
新産業分野宇宙業界の、協議をする。エレパース高官が、回答する。
「宇宙も、貴国と、共に、開発していきたい。垂直打ち上げ後高度100mから着陸の再利用型ロケットrecycle rocket®︎リサイクルロケットの短時間・高頻度技術を、提携しても良い。」

フォルティトゥドーが、返す。
「水素ロケットが、ソルの、強みだ。H3ロケットspace rocket®︎スペースロケットのコンステレーション衛星打上げ・余剰能力活用小型衛星技術を、一部公開する。」
新産業分野量子技術業界の、協議をする。フォルティトゥドーが、案を投げる。
「量子コンピューター技術も、提供出来る。誤り耐性量子コンピューターcorrect quantum®︎コレクトクォンタムの、抑制法・要素技術を、資本提携したい。」
エレパース高官が「それならば...」と、少し、考え、口を開く。
「我が国は、広大な、国土を持ち、全土を覆う、量子通信技術に、強みを持つ。データ通信用光ファイバー共用多重化・鍵配送速度距離最大化長距離型量子暗号通信quantum communication®︎クォンタムコミュニケーションの提携と、交換しよう。」
新産業分野電池業界の、協議をする。フォルティトゥドーが、解説する。
「電池も、ここ数年で、革新的な、イノベーションが起こった。電池寿命数1,000年・充電交換不要のダイヤモンド電池diamond®︎ダイヤモンドの、貴国内生産拠点開設をしたい。」
エレパース高官が、返答する。
「太陽光発電は、とても魅力的な、グリーンエネルギーだ。結晶構造材料活用のペロブスカイト太陽電solar®︎ソーラーの、低温製膜積層技術と、交換なら良い。」
ウィースと、フォルティトゥドーは、エレパース高官と、握手し、微笑む。
エレパースを出た、2人は、砂漠で、ラクダに似た、カメールスに乗る。半乾燥地域だ。他に、類を見ない、過酷な、気候を、有するこの土地では、極めて、極端な、乾燥と、高温が、旅行者の、心を、削いでいく。

フォルティトゥドーの、取った方法は、カメールスでの、砂漠横断だった。現地民も、使う、この生き物で、実際に、移動しなければ、肌感覚で、分からない事があると、考えていた。高気温・高湿度・弱風が、続く。フォルティトゥドーが、質問する。
「暑いか?」
ウィースが、答える。
「目眩・倦怠感・吐き気がする。」
フォルティトゥドーが、推測する。
「熱中症だ。水を、大切に使え。」
2人の、乗っている、カメールスが、歩みを、止める。2人は、カメールスを置き、オアシスを探す。50℃を超え、砂嵐が、吹き荒れる。ウィースが、戸惑い、口を開く。
「前が、見えない。」
ウィースが、気付き、声を出す。
「何か、来る!!」
熊に似た、ウルススが、近付いていた。砂漠地帯では、極めて、珍しい、大型の、肉食動物だ。ウルススが、咆哮する。フォルティトゥドーが、スマート弾拳銃、smart handgun®︎スマートハンドガンを、撃つ。ウルススの、体表で、止まる。分厚い、筋肉と、脂肪の、前では、スマート弾は、無力だ。フォルティトゥドーが、再び、撃つ。
《干渉》

弾が逸れ、ホーミングし、ウルススの、左目を、貫く。ウルススが、去る。フォルティトゥドーが、告げる。
「猛獣相手は、背中を、見せてはいけない。」
ウィースが、問う。
「弾が、ホーミングしたのは、何故だ?」
フォルティトゥドーが、回答する。
「ナノマシンだ。ベルルムで、ナノマシン注射を、受けた。今の時代、一部の人間は、ナノマシン注射を、受ける事で、特殊能力を、発揮出来る。俺の、特殊能力は、干渉。スマート弾や、あらゆるインターネット接続されている機器を、操作する事が出来る。スマート弾を、操れば、弾道を、幾らでも、望む様に、可変する事が可能だ。」
ウィースが、質問する。
「貴方は、何故、潜入審議官になったんだ?」
フォルティトゥドーが、説明する。
「それは、ジャーナリストならば、世界の事が、よく知れるからさ。自己紹介が、遅れたね。俺は、表向き、ジャーナリストなんだ。世界の真実を、伝えるのが、俺の、仕事だ。地球の、裏側まで、行くと、ソルとは、何もかも、違う場所も、多く、世界の、広さを、実感する。それが、この仕事が、好きな、最大の理由だ。行く先々で、色々な人や、文化との、出会いがあってな。様々な、場所で、取材をするが、歴史の1ページ、一つ一つに、人類の、凄惨さ、悲しさ、そして、美しさを、感じるんだ。」
2人は、限界だった。ウィースが、弱音を吐く。
「死ぬのか?」

フォルティトゥドーが、励ます。
「諦めるな。死は、受け入れると、迫ってくる。死を、受け入れた時、心は、死に始めているんだ。死を、拒絶しろ。生に、しがみつけ。それが、生きる為の、秘訣だ。死んでも良いと、思った時、本当に、死ぬ、危険が、迫ってくる。死を、受け入れるな。最後の、一瞬まで、生きろ。それが、生きている者に、課せられている、使命だ。ジャーナリストをしていると、色々な、凄惨な、場面に、出くわす。ほんの、数秒前まで、元気に、生きていたのに、事件や、事故で、死んでしまった命、死と、隣り合わせの、病院、死が、溢れている、戦場、死の、オンパレードだ。だがな、忘れるな。生きたくても、生きれなかった人たちが、沢山、いるんだ。俺たちの、生は、無数の、死の上に、ある。死にたい人間は、いない。誰もが、生きたかったんだ。その生を、噛み締めろ。生を、最後まで、味わえ。死ぬのは、命が、尽きた時だけで良い。自分の、魂を、殺すな。屈するな。くそったれな、運命に、抗え。突破口は、必ず、ある。」
ウィースが、フォルティトゥドーの、話を、聞きながら、必死に、生きようとする。重要なのは、オアシスだ。オアシスさえあれば、水が、補給出来る。途切れゆく、意識の中、ウィースは、遠方に、木を見付け、歓喜の、声を出す。
「オアシスだ。」
「よく見つけた。それで良いんだ」とフォルティトゥドーが、讃え、オアシスで、水を、水嚢袋に、補充し、乗って来た、カメールスにも飲ませる。2人は、砂漠の国、ワスティタースに、到着する。フォルティトゥドーが、ワスティタース高官に、話しかける。
「一神教は、この地に、ルーツを持つ。貴国の、巻物は、ソルの、国宝だ。」
新産業分野空間利用業界の空間音響の、協議をする。フォルティトゥドーが、提案する。
「我が国の、企業は、空間音響にも、秀でている。空間共有コンテンツ視聴space entertainment®︎スペースエンターテイメントのヘッドマウントディスプレイ視聴VR映像遠隔地3次元映像合成技術を、提携したい。」
ワスティタース高官が、回答する。
「貴国企業の、強みの、1つは、センサー技術だ。空間音響space sound®︎スペースサウンドのコンテンツ特化・HRTF計測・最適化モーションセンサー技術特許を、一部開示するなら、良い。」
新産業分野仮想化業界の、協議をする。フォルティトゥドーが、口を開く。
「我が国が、開発している、3次元都市モデルvirtual city®︎バーチャルシティーの整備・活用・オープンデータ化エコシステム構築ノウハウを、公開する。」

ワスティタース高官が、返答する。
「砂漠に、囲まれた、我が国では、天候などの、未来予測に、力を入れて来た。現実世界コンピューター再現のデジタルツインtwin®︎ツインの、未来予測特許を、一部開示しても良い。」
新産業分野人工知能業界の、協議をする。フォルティトゥドーが説明する。
「人工知能でも、多くの、世界的研究開発拠点が、我が国にはある。AI音声サービスguidance®︎ガイダンスのAI活用音声認識・書き起こし・音声テキスト変換技術を、提携したい。」
ワスティタース高官が、讃える。
「貴国の、AIは、進んでいる。高精度音声認識・AI要約のAI文字起こしdocument®︎ドキュメントの大量音声・テキストデータ処理特許と、交換なら良い。」
フォルティトゥドーが、追加で、提案する。
「追加して、自然言語処理content®︎コネクトの形態素・構文・意味・文脈解析も、提携したい。」
新産業分野工事業界の、協議をする。フォルティトゥドーが、解説する。
「高度建築技術は、我が国の、誇りの、1つだ。二酸化炭素吸収カーボンリサイクル製品コンクリート内部固定二酸化炭素排出量マイナス化の、二酸化炭素減少コンクリートecology®︎エコロジーのカーボンネガティブ技術を、提携したい。」
ワスティタース高官が、返す。
「ガラスで、出来た、都市を、砂漠に、作りたいと思っている。珪砂・ガラス・砂漠の砂非セメント砂接合sand connect®︎サンドコネクトの加熱・冷却結合式技術を、一部公開するなら、良い。」

ワスティタース高官が、続ける。
「更に、木材ペットボトルアスファルト舗装material road®︎マテリアルロードの分別・破砕・撹拌技術も、提供しても良い。」
フォルティトゥドーが、応答する。
「それならば、ソーラーパネル内蔵型の太陽光自家発電歩道light road®︎ライトロードのガラス導光板・ノンスリップ強化ガラス特許を、一部開示する。」
2人は、ワスティタース高官と、握手する。
2040年──フォルティトゥドーが、クレーメンスと、ウィースを、夜の、廃墟に、呼び出す。クレーメンスが、問いかける
「こんな場所で、何用だ?」
フォルティトゥドーは、返答しない。ウィースが、通常の銃を、構える。フォルティトゥドーが、スマート弾突撃銃smart assault rifle®︎スマートアサルトライフルを、上空に、発砲する。ウィースが、撃ち、フォルティトゥドーが、回避する。
《干渉》
フォルティトゥドーの、放った、スマートアサルトライフル弾が、ホーミングして、ウィースに、向かって来る。
クレーメンスが、ウィースの、前に、出る。ウィースを、庇い、クレーメンスが、被弾する。クレーメンスを、抱えて、ウィースが、逃げる。フォルティトゥドーが、声を出す。
「何処までも、逃げろ。師匠と、2番弟子よ。まるで、自らの、運命から、逃げ回る様に。」

          ◇

2030年──フォルティトゥドーと、ウィースは、ジャングルを、歩く。フォルティトゥドーが、呟く。
「原生植物の、宝庫だ。」
ウィースが、愚痴を、こぼす。
「腹が、減った。」
フォルティトゥドーが、忠告する。
「色が、強烈な、植物は、避けろ。舌上30分置き、痺れ・痛み無しなら、繰り返し、少しずつ、食え。食事とは、戦いだ。本来、飯を食うとは、命懸けだったんだ。今日では、忘れられてしまったが、食事は、何時も、命懸けだ。食べられるものと、食べられないものを、分別しろ。食べられるものが、ある事に、感謝して、食え。俺も、若い頃、ろくに、食事が、取れなった時がある。1人で、何もない部屋で、食事を、我慢して、過ごした夜がある。本当に、辛かった。飲み物しか、買えなかったんだ。腹が、減って、腹が、減って、眠れなかった。そして、腹一杯、食事を取れる事が、当たり前じゃないと、気付いた。本当に、有難い事なんだ。それから、食事が、何でも、美味しく思えた。食事は、日常の糧、そして、人生の喜びだ。こんな、葉っぱ1枚でも、よく味わって、噛み締めて、食え。お前の、体を作り、お前の、命を、繋いでくれるものだ。」
木の上に、枝を組み、簡易ハンモックを作り、1人が仮眠、1人が、警戒し、再び歩き出す。ウィースが、何か、踏む。大蛇に似た、10mは有る、セルペンスだ。セルペンスが、ウィースの、片足に、巻き付き、引き摺られる。フォルティトゥドーが、セルペンスの、鼻先を、smart knife®︎スマートナイフで刺す。セルペンスが、逃げる。
ジャングルを、抜け、2人は、草原を、歩く。ジャガーに似た、フェリス・オンカが、駆け抜ける。フォルティトゥドーが、警告する。
smart handgun®︎スマートハンドガンで、撃つなよ。フェイス・オンカは、パンテーラの、神聖な獣だ。そして、此処は、弱肉強食の、世界だ。」
フォルティトゥドーが、続ける。
「ルールで生きる、世界を、作ったのは、人間、だけだ。」
ウィースが、問いかける。

「ルールとは?」
フォルティトゥドーが、返答する。
「日の下に、いる事だ。」
ウィースが、続けて、質問する。
「日の外は?」
フォルティトゥドーが、返す。
「闇だ。光の、外に出れば、それは、闇の、世界だ。平穏や、安住がない、世界だ。無法者の、世界だ。その世界には、足を、踏み入れるな。光の、世界に、いろ。馬鹿にされても、情けなくても、光の、世界から、出てはならない。その先に、未来は、ない。」
2人は、人類発祥の大陸にある国、パンテーラに、到着する。フォルティトゥドーが、パンテーラ高官に、言葉を、投げかける。
「貴国で、人類は生まれた。始まりの地だ。」
新産業分野高速化業界の、協議をする。フォルティトゥドーが、説明する。
「我が国は、6Gを、世界に先駆けて、実装した。ToF法距離推定・三点支持計算高精度位置特定のウルトラワイドバンドsuper wide®︎スーパーワイドの高精度位置測位技術特許を、一部開示する。」
パンテーラ高官が、返答する。

「我が国は、5G網も、未だ、未熟だ。ローカル5G通信local®︎ローカルの企業・自治・通信キャリア非依存独自構築・運用可能の高速大容量通信安定・速度比率カスタマイズ・SIM認証セキュリティを、提携しても良い。」
新産業分野カーボンニュートラル業界の、協議をする。パンテーラ高官が、問いかける。
「水素技術を、世界に、広めたいと、思っている。水素トルエン結合MCH変換常温・常圧液体化の水素大量輸送hydrogen transportハイドロゲントランスポートの水素エネルギーチェーン輸送組合に、参画出来ないか?」
フォルティトゥドーが、答える。
「我が国の、技術も、取り入れてくれるなら、良い。各キャリア水素輸送水素燃料化の水素タービンhydrogen roll®︎ハイドロゲンロールの貴国発電所開設と、交換でどうだ?」
パンテーラ高官が、回答する。
「SDGsは、先進国だけではなく、我が国でも、最近、意識され始めている。再生可能・廃棄物エネルギーや、地中貯留大気中CO2濃度削減利用の二酸化炭素直接空気回収carbon air®︎カーボンエアーの二酸化炭素回収・貯留技術も、提携したい。」
新産業分野ヘルスケア業界の、協議をする。フォルティトゥドーが、依頼する。
「貴国は、新生児が多い。データベース高同質性治療のAI不妊治療支援baby®︎ベイビーのデータ収集を、資本提携したい。」
パンテーラ高官が、返す。
「医療の、発展は、我が国の、生命線だ。治験済・薬事承認済プログラム医療機器の治療用アプリdigital care®デジタルケアの非営利業界団体参画と、交換なら良い。」
フォルティトゥドーが、質問する。

「貴国では、病院不足も、問題になっている。電子カルテ連携のウェブ問診digital doctor®︎デジタルドクターの問診業務効率化・回答精度向上・患者関係性強化で、提携出来ないか?」
パンテーラ高官が「その通りだ」と答え、返事をする。
「AI医療に、興味を持っている。ゲノム医療・診断・治療・医薬品開発・介護のAI医療virtual doctor®︎バーチャルドクターの医療ミス防止技術を、一部公開するなら良い。」
フォルティトゥドーが、話を進める。
「新型感染症も、両国共通の課題だ。タンパク質利用のmRNAワクチンgene vaccine®︎ジーンワクチンの分子末端・塩基修飾・安定化で、提携したい。」
パンテーラ高官が、案を投げる。
「ロボット技術は、貴国の強みだ。非場所依存・継続性の遠隔リハビリremote care®︎リモートケアのロボットアーム・3次元モーショントラッキング技術特許を、一部開示するなら良い。」
新産業分野素材・食材業界の、協議をする。フォルティトゥドーが、伺う。
「バイオ食材は、世界の、食糧危機を、救う。動物細胞体外組織培養の培養肉vaio meat®︎バイオミートの筋組織立体構造増加・成熟技術特許を、一部開示して欲しい。」
パンテーラ高官が、回答する。
「我が国では、再生可能プラスチックの、需要が、増している。バイオマスプラスチック・生分解性プラスチックのバイオプラスチックvaio resin®の発酵・化学合成技術と、交換なら良い。」
フォルティトゥドーが、答える。

「環境に、配慮した、クリーンな、鉄も、我が国の、強みの、1つだ。水素鉄鉱石還元の水素還元製鉄hydrogen iron®︎ハイドロゲンアイロンの外部水素投入増加技術で、提携したい。」
パンテーラ高官が、話し出す。
「そうだな。立体モデル積層造形のバイオプリンティングvaio print®︎バイオプリントの細胞・バイオマテリアル技術と、交換なら良い。」
2人は、パンテーラ高官と、握手し、微笑し、フォルティトゥドーが、ウィースに、宣言する。
「長旅は、終わりだ。ソルへの、帰りは、高速旅客機air speed®︎エアースピードで、スピーディに、帰国する。」
高速旅客機air speed®︎エアースピード内で、事件が、起きる。air speed®︎エアースピードを、スマート弾マシンガン、smart machine gun®︎スマートマシンガン携帯の、テロリスト数名が、ハイジャックする。ウィースは、テロリストの、通過迄、席で、待つ。通過直後、飛び出し、背後から、2人目テロリストの、両腕を、掴み、前方の、1人目テロリストに、向ける。前方の1人目テロリストが、ウィースの、前の、2人目テロリストを、撃つ。フォルティトゥドーが、ウィースに、スマート弾拳銃、smart handgun®︎スマートハンドガンを向ける。ウィースは、一瞬、動きが止まるが、フォルティトゥドーが、ウィースの、背後から、飛び出た、3人目テロリストを、撃つ。1人目テロリストが、通路に、乱射する。ウィースが、席に、飛び込み、回避する。フォルティトゥドーが、負傷する。1人目テロリストが、前方座席の、乗客を、人質に、取る。
ウィースが、フォルティトゥドーの、smart handgun®︎スマートハンドガンを、撃ちながら、前進する。1人目テロリストが、乗客1人の、足を、撃つ。ウィースが、1人目テロリストに、飛び掛かり、片耳に、押し付け、撃ち、テロリスト胸部の、肩ベルトを、外し、smart machine gun®︎スマートマシンガンを、取り上げる。air speed®︎エアースピードが、レース・プブリカエに、不時着する。フォルティトゥドーが、声を出す。
「俺を置いて、帰国しろ。」
ウィースが、返す。
「そんな事は、出来ない。」
フォルティトゥドーが「良いんだ」と告げ、返答する。
「行け。」

2040年──ウィースと、クレーメンスは、フォルティトゥドーに、銃撃され、廃墟から、逃げる。クレーメンスが、言葉を漏らす。
「わしを置いて、逃げろ。」
ウィースは「貴方は置いていく」と言うと、逃げるのではなく、クレーメンスを置いて、逆に、フォルティトゥドーの所に、戻る。フォルティトゥドーが、告げる。
「自己紹介が、遅れたな。俺は、カードジョーカー♠︎だ。」
ウィースが、問いかける。
「貴方が、『絵柄スート』の組織の、最高幹部の、1人、カードジョーカーだったのか?同時多発複合災害・同時多発核攻撃の時、カードジョーカーは、全員、迎撃されたと聞いている。生き残っていたのか。」
フォルティトゥドーが、返答する。
「10年前、お前との旅は、楽しかったよ。ハードだが、生きている、実感が、あった。だが、帰国の途での、ハイジャック計画は、お前の、邪魔で、失敗した。俺たち、『絵柄スート』の組織は、脱出後、無人運航にした、air speed®︎を、ソルの政治街セナートゥスに、墜落させる筈だった。お前が、邪魔したんだ。」
ウィースが、質問する。
「いつ『絵柄スート』の組織の、メンバーに、なった?」
フォルティトゥドーが、答える。
「超大国、ベルルムでスカウトされた。」

ウィースが、問う。
「何故、日の下を出た?貴方は、俺に、タフさを、教えてくれた。山での、痛みの話、砂漠での、死の話、ジャングルでの、食の話、どれも、今の、俺を、形作っている、重要な、教訓だ。」
フォルティトゥドーが、返事する。
「ベルルムで、俺が、逮捕された時、ソルは、俺を、見捨てた。拷問され、俺は、気付いた。ソルに、命を賭す、価値があるか? 俺は、この島国、ソルに、絶望した。この島国が、俺に、何をしてくれた?利用するだけ、利用して、立場が悪くなれば、ポイ捨てした。まるで、道具を、捨てる様に。まるで、道端のごみを、捨てる様に。俺の、体を、見ろ。」
フォルティトゥドーは、ポロシャツを、脱ぎ捨てた。体中、拷問された跡の、傷だらけだった。フォルティトゥドーが、smart assault rifle®︎スマートアサルトライフルを構える。ウィースが、廃墟に、飛び込む。フォルティトゥドーが、撃つ。
《干渉》
弾が、ウィースを、追尾し、壁に当たる。クレーメンスが「もうそこまでだ。愛弟子よ」と、告げる。
クレーメンスが、フォルティトゥドーに、立ち塞がり、通常の銃を、構える。フォルティトゥドーが「あんたには無理だ」と、言葉を添え、宣言する。
「スマートアサルトライフル弾で、撃たれたんだ。あんたは、動けない筈だ。それに、あんたは、俺を、撃てない。」
クレーメンスが、撃つ。クレーメンスは、カーボンナノチューブ防弾ベスト、smart body armor®︎スマートボディーアーマーを着ていた。それが、フォルティトゥドーの、スマートアサルトライフル弾から、クレーメンスを、助けてくれていた。smart body armor®︎スマートボディーアーマーを着ていなければ、クレーメンスは、フォルティトゥドーの、言う通り、動ける体ではなかった。クレーメンスが、崩れ落ちた、フォルティトゥドーを、抱き起こし、問う。
「躱わせた筈だ。何故、道を誤った?」
フォルティトゥドーは「それが、師の決断なら、逃げたくはなかった」と回答し、立ちあがり、足を、引き摺りながら、去る。

オーケアヌスの、朝の、海辺に、クレーメンスと、ウィースが、立ち、目を閉じ、ウィースが話しかける。
「フォルティトゥドーに、歯が立たなかった。俺の、完敗だ。俺は、逃げ惑う事しか、出来なかった。」
クレーメンスが、問いかける。
「それは、違うな。ウィース。強さとは、頭脳や、力だけか?違う。お前は、正しさを、実行する術を、身に付けた。相応しい心も。お前は、道を、誤ってしまったフォルティトゥドーと違い、常に、自らに、問いかけて来た。これが、正しい道かと。それが、成長というものだ。お前は、負けていない。勝っている。フォルティトゥドーの、堕ちてしまった、魂に、お前の、魂は、確かに、勝っていたんだ。」
ウィースの、頬を、一筋の、涙が、伝う。クレーメンスが、続ける。
「強くなったな。ウィース。」
ウィースが、返答する。
「貴方の、おかげだ。」
クレーメンスが、ウィースの、肩に、手を置く。クレーメンスが、続ける。
「お前は、お前のままで、良いんだ。時に、道に、迷う事も、あるかも知れない。時に、道を、見失う事も、あるかも知れない。フォルティトゥドーの様に。だが、そんな時は、立ち止まり、そっと、自分の、内なる声に、耳を、傾けてみるんだ。答えは、お前の、心にある。魂が、望む方へ、歩いていくんだ。その道は、険しいかも知れない。しかし、確かに、お前が、選んだ道だ。その道は、わしでは、到達出来なかった場所に、続いているだろう。ウィースよ。自信を、持て。悩み、葛藤しながら、歩いて来た、お前の、道は、お前にしか、歩けない。正しさを、必死に、守ろうとして来た、自分を、誇ってやれ。それは、誰が見ても、偉大な事だ。決して、自分を、卑下するな。お前は、ありのままで、良いんだ。」
ウィースが「有難う。クレーメンス。感謝している」と呟き、涙を、拭う。
朝風が、2人の、頬を、撫で、日が、射す。今日も、世界に、日が、昇る。フォルティトゥドーも、何処かで、この朝焼けを、見ている。光の、世界に、生きる者と、闇に、生きる者、同じ、クレーメンスの、弟子でも、対照的な、ウィースと、フォルティトゥドーに、同様に、朝を、告げる日が、射し込む。フォルティトゥドーは、今、何を、思っているのだろうか?自分の、道を、後悔しているのだろうか?ウィースは、クレーメンスの、励ましを、受け、恥ずかしい事はないと、思っていた。その顔は、何も知らない、18歳の、少年の頃とは、違っていた。10年の、月日を経て、彼は、強くなった。そして、フォルティトゥドーが、言っていた様に、世界中の、悲惨な場所にも、同じ、朝日が、昇る。今日は、どんな出来事が、起こるのだろうか?其処に、悲劇と、人々の涙が、あるのだろうか?それとも、大円団と、人々の喜びが、あるのだろうか?ウィースとクレーメンス、フォルティトゥドー、そして、無数の、世界中の人々を、乗せて、今日も、この星で、新しい、1日が、始まる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?