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ステーブルコインとDjed

2022/05/17 – ステーブルコインのリスクについて、Djedの強みについて追記
* この記事は投資をお勧めするものではございません。

ステーブルコイン

2021年9月のCardanoサミットで、COTIによりステーブルコインのDjed(ジェッド)が発行されることが公式にアナウンスされました。

ステーブル(安定)コインの役割とは?価格が安定であると何が良いのか?

暗号資産には価格変動が激しく日常使いを妨げているという問題があります。手数料の支払いは、安定した通貨で行い、ユーザーが支払う金額を予測できる必要があります。ビジネスにおいても価格変動のリスクが高い暗号資産は嫌厭されがちです。また、資産の保全や、法定通貨として使われるためには価格の安定性が欠かせません。

ステーブルコインは、激しい価格変動の問題を解決するために、安定性を提供するコインです。代表的なものにTether(USDT)、USD Coin(USDC)、Binance USD(BUSD)などがあげられます。

安定性を確保するために、例えば、暗号資産と同等価値の法定通貨を保有し価値を担保します。これを「ペッグする」と呼ばれます。仕組みによっては金やシルバーなどの商品、株式、または他の暗号資産にペッグします。暗号資産の発行自体は担保がなくても可能なので、ペッグが正当に行われているか、透明性もしばしば問題となります。

COTI

COTI Group: https://coti.io/

COTIはシンプルで早く、透過的、信頼性、拡張性がある決済プラットフォームを目指しています。
トラストチェーン(Trustchain)の信頼スコアにより処理速度を高めています。COTI Payは従来の第三者に管理され、時間とコストのかかる送金、決済の問題を解決しマイクロトランザクションを可能にします。ステーブルコイン、クレジットカード、 デビットカード、銀行口座、暗号資産などの決済を処理できます。

Ada Payが開始され、これに慈善団体のSave the Childrenが最初に加盟しました。

COTIはcFundによる最初の投資を受けています。cFundは、カリフォルニア州の規制下にあるWave Financialが運営し、IOHKがアンカー投資家となっています。 cFundはCardanoのプラットフォームと相乗効果のある開発、組織へ戦略的な投資をしています。

ステーブルコイン Djed

スマートコントラクトがDjedの市場売買を担当し、安定した価値を維持します。このステーブルコインは、ブロックチェーン上で透明性のある形で運営されており、誰でも何が起きているのかを確認することができます。

https://adapulse.io/djed-an-algorithmic-stablecoin-on-cardano/

Tether(USDT)はドルと1対1で保有、担保されることで価格の安定を図っているとされます。それに対して、Djedは先進的なアルゴリズム設計となっており、スマートコントラクトを使うことで価格の安定性を確保し自律型銀行として機能します。「ベースコインのリザーブを保有し、ステーブルコインとリザーブコインのミント(発行)とバーン(焼却)を行」います。

DjedはCardano上に立ち上げられています。数学的な理論に基づき、検証可能なプロセスを経ています。

Djedを裏付けている暗号資産はADAとなります。ADAをスマートコントラクトにロックさせ、同価値のDjedをミントすることができます。逆にDjedをバーンすることで、ADAを再取得することができます。その際、ADAの価格変動により、同価値のADAがスマートコントラクトに足りないことが考えられます。ここでリザーブコインが必要となってきます。

リザーブコイン Shen

リザーブコインはステーブルコインのアルゴリズムペッグを維持する重要なデジタルトークンです。役割は価格変動への対応、安定性の確保、担保設定率の保証です。このペッグ機構に使われるリザーブコインはShen(シェン)と呼ばれます。Shen自体はどのアセットにもペッグされず、価格は変動します。

保有、取引することで、ユーザーは十分なペッグ比率を維持するために適切な流動性を提供し、安定したコインのメカニズムに貢献することができます。リザーブコインを利用することで、ベースとなるステーブルコインが行う取引に対して基本手数料を課金、徴収し、プールすることができます。リザーブコイン保有者は、 ステーブルコインのペッグ比率の維持に参加するインセンティブとして、この取引プールの一部を得ることができます。リザーブコインは取引可能な資産であり、保有者は短期・中期の価格変動から利益を得ることができます。

ShenホルダーはShenをミントすることで、Djedユーザにサービスの安定性を提供します。機構の中で、リザーブ比率がスマートコントラクト上で定義された最小値より低い場合は、ShenからADAを得ることはできません。DjedからADAを買い戻す(スマートコントラクト上の処理としてredeemと言われます)ことが優先されるためです。また、Shenのリザーブ比率が最大になった状況下では、Shenホルダーへの報酬を希薄化させないために、Shenはそれ以上発行することができなくなります。

DjedとShenのミントとバーンに使われる手数料は、集められADAプールへプールされます。Shenのホルダーはペッグ比率の維持に対する報酬として、このプールからシェアを得ることができます。ユーザのトランザクションが増え、ADAプールが大きくなるとリザーブも増え、リザーブコインの価格が上がり、流動性が高まります。

全ての取引にオペレーション手数料がかかり、ADAで支払われ、初期のデポジットから差し引かれます。このオペレーション手数料はCOTIへ変換されトレジャリーへ入り、ユーザへ報酬として分配されます。

Djedの由来は、古代エジプトで安定を意味する言葉として使われていました。Shenも古代エジプト語に由来しており、王権と対称性のシンボルです。無限、永遠、保護、円形から転じた完全性と深くつながり、繁栄を意味します。

パートナーシップ

SundaeSwap, AdaSwap, ErgoDEX, OEX, NeoSwap, Indigo, World Mobile, Addax, Occum, Minswap DEXなどと提携し使用される予定です。提携先は続々とアナウンスされています。

COTIのmediumで随時発表されておりますので情報源としてお勧めです。

用語や仕組み

ペッグの上限および下限の維持:価格は設定価格を上回ったり下回ったりすることはありません。通常のリザーブ率の範囲内では、売買は制限されません。また、ユーザーには、流通市場でペッグ範囲外のステーブルコインを取り引きするインセンティブがありません。

市場混乱時のペッグの堅牢性:リザーブ率に応じて設定された限度まで、ベースコイン価格が暴落してもペッグは維持されます。

破綻なし:銀行が関与しないため、破産に至る銀行契約は存在しません。

取り付け騒動なし:すべてのユーザーは、公正に扱われ適切に支払いを受けるため、先を争ってステーブルコインを還元するインセンティブはないことは明白です。

リザーブコインごとのエクイティは単調増加:条件によっては、ユーザーがコントラクトを操作するにつれて、リザーブコインごとのリザーブ余剰が増加することが保証されます。こうした条件下では、リザーブコイン保有者は利益を得ることが保証されます。

リザーブの流出なし:条件によって、悪質なユーザーが銀行からリザーブを盗む一連のアクションを実行することが不可能となります。

有界の希薄化:リザーブコインの保有者数、および、リザーブコインの発行追加によるその利益の希薄化には、限度が設けられています。

https://iohk.io/jp/blog/posts/2021/08/18/djed-implementing-algorithmic-stablecoins-for-proven-price-stability/

ここで大事なのは、市場が破綻した場合についてです。その際、仕組み上価格は0以下にならないため、スマートコントラクトにより公正に人々へ支払いが行われます。しかし、返却される資産を部的に失う可能性はあります。ATMへ駆けつけても預け入れていたお金を引き出せなくなるという事態になりません。

Mint(ミント): (通貨、トークン等の)発行
Burn(バーン): (通貨、トークン等の)焼却
Djed(ジェッド): ステーブルコイン
Shen(シェン):リザーブコイン
COTI(コティ):トレジャリーへ蓄えられるコイン

ステーブルコインのリスク

CoinMarketCapより

テラブロックチェーンのステーブルコインTerraUSD(UST)もアルゴリズム型です。USTを高い年利でレンディングできるAnchor Protocolが注目を集め資金が投入されました。もともと法定通貨やビットコインを担保としているわけではなく、暗号資産のテラ(LUNA)トークンにより、供給をコントロールし価格の維持をしています。しかし、USTの時価総額がLUNAの時価総額を上回り、価格を支えることができていないことがありました。2022年5月、USTが大量に売却されたきっかけもあり、LUNAの価格が暴落しました。ドルに対するペッグを失い約99%も価格が下がりました。

Djedの強み

What Gives Djed Its Strong Stability?: https://medium.com/cotinetwork/what-gives-djed-its-strong-stability-5adfd74b724b

Djedの安定性について書かれた記事です。担保比率が400-800%の間で調整されるということが分かります。比率が400%とは担保されるShenの価値がDjedに比べて4倍ある状態です。そのため、大きな暴落でも緩衝材となります。

リザーブ比率が400%以下の場合、400%以上を保つため、Djedを新たにミントできなくなり、Shenをバーンできなくなります。その他、下記が可能です。

  1. ホルダーはDjedをバーンしADAを買い戻すことができます。そうすることでリザーブ比率が上がります。

  2. Shenをミントすることが可能となり、これによりリザーブ比率が上がります。

リザーブ比率が800%以上の場合はShenをバーンすることができますが、新たにミントはできません。このようにスマートコントラクトによりリザーブ比率を守ることで、Djedの価格安定を図ります。

ただ、この比率の決定方法に説明が見当たらなく、過去のADAの暴落比率を鑑みると影響を受ける可能性があるとの見方もあるようです。今後引き続き情報を確認していきたいと思います。

日本の動き

法定通貨などに連動するステーブルコインを規制する改正資金決済法が6月3日、成立した。1年以内に施行される。発行者は、銀行や資金移動業者、信託会社と定められた。

https://www.coindeskjapan.com/150771/

2022年6月4日付のこの記事によると、日本国内ではステーブルコインを発行できる機関が定められました。Djedの場合は、鋳造(ミント)や焼却(バーン)が分散化されたネットワーク上でスマートコントラクトによって実行されます。Djed含め、今後の動向は確認してきたいと思います。

まとめ

2022年のキラーアプリということでDjedについてまとめてみました。今後も注目すべきアップデートがあれば追記してきたいと思います。

Djedはスマートコントラクトを使うことで価格の安定性を確保し自律型銀行として機能します。

誰でもリザーブコインを購入することで流動性を提供することができます。ユーザは、DjedのUSD通貨ペッグを維持しながら、リザーブプールの取引手数料の一部を得ることができます。

COTIは流動性を提供するエコシステムの多くの流動性プロバイダーと連携しています。

また、昨今のハッキング等を受け、COTIはセキュリティ強化にリソースを投入し、外部のセキュリティ監査を受けています。Djedはカルダノ・エコシステムで最大のコインになることを目指しています。分散型金融業務や、その他安定したコインを必要とするあらゆる業務に非常に役立つでしょう。

その反面、アルゴリズム型ステーブルコインは新しい技術のため、経験したことのないような価格変動が起こることがあります。年利が高く設定されているためリスクをとる投資家も多いようです。自己の責任において、充分なリサーチと余剰金で投資をするのが良いと思われます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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参考資料


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