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【GRヤリス・RS レンタルレポート】思わぬ伏兵っ!とにかく、運転が楽しくなるクルマ

「日常の中に、+αの刺激を与えてくれる1台」

トヨタ自動車(株)が展開している「トヨタシェア」をご存じだろうか??
レンタル予約、当日の車両操作、料金の精算までがスマホ1台で完結できるカーシェアサービスだ。

この度、トヨタシェアを初利用して、かねてより気になっていたGRヤリス・RSグレードを半日レンタルする事が出来た。

RZハイパフォーマンス/RZ(以下:上位グレード)の影に隠れて目立たない存在だが、その扱いやすいスペック&軽快な乗り味から、各モータージャーナリスト達からも高評価を得ているRSグレード。

意外な伏兵、隠れた名車となるのか。試乗レビューをお届けする。

試乗協力店
トヨタカローラ栃木株式会社 宇都宮上横田
https://www.corolla-tochigi.co.jp/store/utsunomiyakamiyokota

トヨタシェア
https://mobility.toyota.jp/toyotashare/

■トヨタシェア、始めました。

6月のとある日。何気なく見ていたSNSで、気になる記事が流れ込んできた。

それはトヨタカローラ栃木さんが、トヨタシェアを始めた事。そしてレンタル車両としてGRヤリス・RSグレードを2台配備したという内容だった。

トヨタシェアは以前から知っていたが、マイカーを持っている為、利用する機会は無いと思っていた。

しかし、ご近所の店舗且つ”かなり気になる車”が配備されたとなると、話は別だ。

かつて試乗し、本メディアでも記事を書いたGRヤリス・RZハイパフォーマンスは、かなり刺激的な1台だった。コンパクトな車体にハイパワー+4WD、ドライビングが楽しい生粋のスポーツカーだった。しかし日常使いを考慮してみると「正直、オーバースペック」なのも否めないところ。(かなり控えめな表現)

しかし私の尊敬するモータージャーナリストさんや各種自動車メディアが、エントリーモデルとなるRSグレードを高く評価していた事により、機会があれば乗ってみたいと思っていたのだ。

「これは、乗るしかない!」と思い立って、急遽トヨタシェアのアプリをダウンロードし、登録&レンタル予約をしたのだった。

■見た目は瓜二つ。2ペダルCVT&FFの”GRヤリス”

そして迎えたレンタル当日。レンタル開始10分前に店舗に到着し、約半年ぶりにGRヤリスと対面する。(グレードは違うが)

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開始5分前になると、トヨタシェアアプリに新規画面が立ち上がり、車とスマホをBluetoothで接続する。そして、スマホがキー代わりとなってレンタルスタートとなる。

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ここで、GRヤリス・RSグレードの特徴を先に述べておこう。
・外観は上位グレードと瓜二つ。
・エンジンは1.5リッター直列3気筒・NA(120ps/145N・m)
・ミッションは1速のみが機械式のダイナミックCVT(10段速)
・駆動方式はFF
・サスペンションは、フロント・ストラット/リア・ダブルウィッシュボーンの本格的な足回り

上位グレードとの決定的違いは、パワートレーン関係だ。
ハイパワー/マニュアルミッション/4WDの3段構えだった上位グレードに対して、ローパワー/CVT/FFと、明らかな差別化が図られている内容だ。

しかし、それでも「GRヤリス」を名乗るからには、ユーザーを納得させる”何か”があるのではないか?と思ってしまう。それ確かめるのが、今回の試乗目的でもある。

次に、外観&内装を見てみよう。

ワイドフェンダーやカーボンルーフ、外観からも明らかに只者ではない印象を受けるGRヤリス。遠目で見る限り、外観からグレード違いを判別するのは難しい仕様となっている。
しかし、RSには唯一の判別ポイントが存在する。それがリア回り。
FFである為、テールゲートに「GR-FOUR」のバッジが存在しないのである。
それ以外では、かなり細かく見ないと上位グレードとの判別は難しい。

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リアバッジ以外は、RZグレードと同様

内装では、これも上位グレードと同様に黒基調でマッシブながら、スポーティーな演出がなされている。しかし、外観よりは差別化が分かりやすい。

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RSグレードは前述の通り、CVTしか用意されていないので2ペダルである。
その為、乗り込んでみると一目瞭然。ハンドルについているパドルシフト&マニュアルモード付のセレクトレバーでRSである事が分かる。

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また前席はスポーツシートが備わっており、ドライバーのアイポイントが高いのは上位グレード(以前試乗したのはRZハイパフォーマンス)と同様だった。

■市街地もスイスイ走れる優等生

GRヤリス・RSグレードの乗り味は、全ての操作においてスムーズさが感じられる乗り味だった。まず驚いたのは、加速のスムーズさだ。
走り出しこそスペック通りのかったるさはあるものの。速度を上げていき、40km/h~80km/h(環状線走行時)近くまでの加速感は中々のものだった。
空力を取り込んだコンパクトな車体が効いているのだろう。トルク感というより、滑らかな加速フィールだ。

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エンジン自体はノーマルヤリスと同様


また2ペダル・CVTの為、渋滞時のストップ&ゴーも問題なく扱えるのが嬉しいところ。

そして市街地走行において気になる点と言えば、やはり乗り心地だろう。
下位グレードとは言えスポーツカーである以上、多少のゴツゴツ感&足回りの固さを感じられるのは確かだ。
しかし、それを考慮した上でも全体的にしなやかな仕上がりであった。
段差の上を通過しても、入力をしっかり緩和してくれているのが分かる為、強烈な突き上げや大きなバイブレーションを感じる事も少ない。
走行路面にはよるものの、一般的な市街地のシーンにおいても、平然と乗っていられると筆者は思っている。

また、このRSグレードにも車の出力特性を変えるモードセレクトが付いている。内容は、ノーマルのヤリスについている内容と同様だ。省燃費走行に適したECO、通常モードの位置づけであるノーマル、トルクのある加速フィールへと変わるPWR(パワー)だ。

筆者は街中試乗においてノーマルモードで走行していたが、市街地でも不満なく普通に運転出来た。
むしろ、ワイルドな外観も相まって「スポーツカー・GRヤリス乗っている」という優越感すら感じていたのが本音だ。 

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理由は次項のワインディング編で解説するが、運転好きな方には、強くオススメしたい1台とも思えた。

■「走りの楽しさを、全てのドライバーに」

ついに念願のっ!!GRヤリスでワインディングをドライブ出来る。
2ペダルCVT・FFのRSグレードとはいえ、WRCをバックボーンに持つGRヤリスを名乗るからには、ワインディングでぜひ運転してみたいと思っていたのだ。

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結論を先に述べると”十分に走りの楽しさを感じられる”1台だった。
理由としては、扱いやすいスペックと完成度の高い足回りだ。

まずこのRSグレードの売りは、プラットフォームなのを先に述べておこう。

エンジンの数値的にも、ドライブトレーンは一般的なコンパクトカーと何ら変わらない。
その為、上り勾配での加速はPWRモードを選択した上でも「あと一押し」欲しいところだ。

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トルクのある加速感のPWRモード

しかし、コーナーではがっちりとしたシャシーがしっかりと路面を捉えて、サスペンションが粘り、かなりダイレクトなハンドリングを楽しめる。
おまけに、振り回せるコンパクトな車体サイズなので、連続コーナーの区間での切替しスムーズにこなせる。

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また筆者が特に気に入ったのは、フロアシフトだ。
CVTの為「グワーン」とした回転フィールはあるものの、「スコッスコッ」とレスポンスよくギアが切り替わるのは、パドルシフトとはまた違う操作感覚を味わえる良かった。

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CVTながらフロアシフトがあるのは嬉しい

今回ワインディングを走ってみて、この車の良さをさらに実感した気がした。

確かにローパワー+FFで、上位グレードと比べて秀でた点が少ないRSグレードだが。
扱いやすいスペックなのが”人馬一体感”を生み出すのだろう。

おまけに2ペダルCVTなのでクラッチ操作も不要。免許さえあれば誰でも運転する事が出来る。
まさに「運転が楽しくなる車」だった!!

いいクルマを作る為に、逆転の発想で開発されたGRヤリス。

「WRCという極限の世界で生み出されたレーシングカーを、一般ユーザーに届ける」

一般ユーザーとは、もちろん車好きを指している様に考えてしまうが。

「車に乗る全ての人に、この性能=走りの楽しさを実感してほしい」

その様なトヨタの意図によって、このRSグレードが開発されたのではないか?
と、筆者は実際に乗ってみて強く感じたのだった。

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■最高の通勤車orスポーツ走行の新たな入門車

今回試乗したGRヤリス・RSグレード。走り終えて真っ先に感じたのは「普段使いの範囲に、強い刺激を与えてくれる車」だった。
ここでの”普段使い”とは、日常生活(通勤や買い物、近場のドライブなど)を指す。

なぜスポーツカーながら”普段使い”なのか?

それは、このRSグレードの特性から思い浮かんだ感想だった。
まず、搭載エンジンがレギュラー仕様で経済性が良い。
市街地走行が大半を占めた今回の試乗でも、平均燃費は13.9km/Lと悪くない。また、ミッションがCVTの為、街中試乗でも記載したが渋滞も楽々である。

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そして、この車は”ただのヤリス”ではない。

スポーティーなワイドボディに、引き締まった足回り&ダイレクトなハンドリング、常用域のスピードレンジでも本格的な走りを楽しむことが出来る。
経済性の良さ&走りの楽しさ、この車は「走り好きにとって、最高の通勤車」になるのではないかとも考えてしまった。

そして、もう一つ感じたのは「新たなスポーツ走行の入門車」にも成りえるという事だ。

駆動方式はFFで小回りも効き、ローパワーの扱いやすいスペックながら本格的なプラットフォームを持つことにより、サーキットに持っていっても腕を磨くのに打ってつけの1台と言えるだろう。(値段については、ここでは言及はしないが)

とは言えRSグレードを購入するには、明確な購入理由が必須だろう。

一般的に認知されているGRヤリスのイメージは、上位グレードを思い浮かべてしまうからだ。
つまり、”1.6リッター・直3ターボエンジン(272ps)+アクティブトルクスプリット4WD”というWRC譲りの技術が搭載されている車両を思い浮かべてしまうのだ。


その装備が付いていないという事実をしっかり受け止め、割り切って考えられるか?
それが大きな決め手にはなるだろう。

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