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かぴばら書店 店主の奮闘日記(2024年7月25日)

今日の奮闘日記では、店主が読んで個人的に面白かった本について書いてみます。書籍はこの後にご紹介しますが、今日のテーマは、「世界一を目指すクリエイターが頭の中で考えていること」です。

コーエーテクモグループの経営トップ(2024年7月時点)でありクリエイターであるシブサワ・コウ(本名:恵理川陽一)さんは『信長の野望』などのゲームソフトを制作した人物です。彼の著書『0から1を創造する力』を読んで非常に感銘を受けたので、今回はその内容を紹介したいと思います。


シブサワさんは、書籍の中で「私には野望があります。それは世界一になることです。」と述べています。彼は学生時代にはゲーム業界に進むことを全く考えておらず、26歳で運命に変化が生じ、30歳の時にゲーム業界で生きることを決意しました。その数年後、彼は世界一になるという野望を抱くようになったのです。

『0から1を創造する力』には、ヒット作を出し続けるために創造性や独創性が求められることが述べられており、シブサワさんはこれをどうやって生み出すかについて考えています。彼が元々ゲーム業界にいたわけではなく、会社の経営を効率化するためにソフトを作り始め、その過程でゲームを作るようになったことが書かれています。

彼は、奥様が誕生日プレゼントに買ってくれたパソコンで財務管理や在庫管理ソフトを作ろうとしていましたが、仕事が終わった後に遊びでゲームを作り始めました。これが『川中島の合戦』というゲームで、これが後に『信長の野望』という大ヒットソフトの原型となったのです。

シブサワさんは、『信長の野望』が世界的にヒットした理由として、今までのゲームにはなかった二つのシステムを導入したことを挙げています。

一つ目は、「もし自分が信長だったら」という疑問から始まる"IF"の体験です。彼は、織田信長の生き方にドラマ性を感じ、信長が天下統一を果たせなかったことに対して歯がゆい思いを抱いていました。このような思いから、信長になりきって戦いや国づくりを体験するゲームを作ろうと考えたのです。

二つ目のポイントは、経営という要素です。戦国武将が国をマネジメントすることに注力していたことに着目し、それをゲームに取り入れました。シブサワさん自身も、ゲーム開発前に経営者として財務、人事、在庫管理など様々な業務を経験しており、その経験がゲーム制作に生かされたのです。

シブサワさんは、信長がしていたことをノートに書き出し、ゲームのコマンドとしてシステムに落とし込んでいきました。こうして完成した『信長の野望』は、歴史シミュレーションゲームであると同時に、マネジメントゲームでもあるのです。

このように、シブサワさんの創造性と独創性、そして経営の経験が、『信長の野望』の成功に大きく寄与したのです。彼の考え方やアプローチは、世界一を目指すクリエイターとして非常に参考になるものでしょう。

これは本当にすごいことです。シブサワさんの発想が、単純にゲーム好きな人だけのものではなく、非常に鋭い着眼点を持っていることがわかります。また、彼が素人から独学でプログラミングを学び、ゲームを作り上げたという点も驚異的です。

この本には他にも多くの興味深いポイントがあり、ぜひ読んでいただきたいと思いますが、僕が感じたことについて書いてみます。

0から1を作り出す人たちが頭の中で何を考えているのかというのは、僕自身の大きな関心事でもありますが、シブサワ・コウさんの本を読んで感じたのは、三つの要素、すなわち好奇心、知性、行動力が非常にバランスよく、かつ常に回転しているという点です。

まず、好奇心についてですが、好奇心が旺盛な人は世の中に多いと思います。例えば、本をたくさん読んだり、いろんなことに関心が向いたりしますが、それを素人の状態からプログラミングを学び、さらにそのプログラミングでゲームを作り、世に出そうとする行動力は別格です。この行動力とは、フットワークの軽さだけでなく、やり切るという意味での行動力です。

次に、知性についてです。シブサワさんの着眼点は歴史にIfの要素を持ち込むという点で、非常に独創的です。さらに、経営やマネジメントの要素をゲームに取り入れるという発想もあります。このようなアイデアを思いつくこと自体がすごいことで、それをしっかりと組み立てて実現するというのは非常に高いレベルの知性を要します。

世の中には、好奇心旺盛な人や多くのことに触れる人がいますが、深く考える知性と両立させるのは難しいです。多くのことに触れながらも、一つ一つを深く考え抜き、それをロジックに落とし込むことができるというのは素晴らしいことです。また、考えることに没頭すると行動が止まってしまうこともありますが、シブサワさんは独学でプログラミングを学び、ゲームとして完成させるまでやり切る行動力を持っています。

好奇心、知性、行動力のどれか一つが膨らむと、他のものがしぼみがちですが、シブサワさんはこれら三つを高い次元でバランスさせ、常に回転させています。これは本当にすごいことであり、彼が還暦近くなっても第一線でゲームを作り続けているという事実も、その凄さを物語っています。

……ということで、本をご紹介してみましたが、かぴばら書店には、他にも「人生のヒントになる本」を揃えております。ぜひ気軽にお越しください。

かぴばら書店の営業日は
●火曜日の17:30-19:00
●木曜日の17:30-19:00
●土曜日の9:00-11:00
です。(祝日はお休みとなります。また、非定期に休業日もあるので、詳細はお店のHPをご確認ください)

あなたの素敵な読書ライフが深まりますように。
人生のヒントが見つかる「かぴばら書店」 店主 高橋浩一


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