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10.がん治療でお悩みの方へ綴る《化学療法プロローグ》

日本の三大療法の中でも化学療法は言いたいことがたくさんありまして、しばらく続きます。なぜかというと、三大療法の中で最もややこしく、最もヤバいからです。ヤバイ意味は生死を賭けた問題なので、しつこく書きます。しつこく書いても伝えきれません。

多くの方は「夢の新薬」を期待しています。それは当然で、三大療法ではいかんともし難いので新薬を夢見ます。過去を振り返りますと、どんなに新薬が登場しても根本治癒に至る薬剤は存在していません。

病気の方の夢を打ち砕く文章になってしまうかもしれないのですが、現時点ではその事実をきちんと受け止めておく必要がある、ということです。もちろん、テクノロジーの進歩は目覚ましいので、いつかは多くの方を完全寛解に導く薬剤が登場するかもしれませんので、期待感は残しておきましょう。

で、今ですが、何度でも書きますが、がんの「治癒率」という数字は医学界にはなく、そもそも治癒という概念が存在していません。そんなことは全ての医師免許保有者が知っています。治癒が存在しない中で主治医は何を目指すのか。それは延命であり、これまた延命という言葉は人々に妙な期待を抱かせます。

その延命という意味は「心臓が動いている」という事実のみを医学界では指しています。元気溌剌で人生を謳歌できる延命であると忖度してしまいます。そして、やらなければならないものだと思い込まされます。断ると主治医に縁を切らてしまうと思ってしまう人も少なくはありません。

日本は特に「お医者様」感が強く、絶対君主というか、自分の意見を述べることは失礼だと思っている方はまだまだ多いなと思います。そして、実際に質問すると怒られたり、診療拒否の姿勢を示したりする主治医もいるものですから困った問題です。強い立場を利用して言葉巧みに三大療法へ追い込む医者もいます。

また、自分としては納得していない治療法であったとしても、主治医に押し切られる人もたくさんいらっしゃいます。最初から丸投げでまな板の鯉の方もいらっしゃいます。家族も「お医者様が言うんだから正しい」と思い込んでいる場合が多く、患者さん本人も違和感を持ったとしても医学知識が無いので押し切られてしまうのです。

それにまつわる想い出深いお話です。西の方の30歳代で三児の母が大腸癌となり、三大療法の末に再発してステージ4へ。大病院の主治医は抗がん剤の変更を2度繰り返し、効果が得られないために3度目を提案しました。

余りの辛さに本人がもう止めたいという決心を主治医に伝えたところ、主治医は家族を呼び出して抗がん剤を受けるように説得せよと依頼し、家族はそれに従い説得を行い、変更3回目の抗がん剤を受け、数回で抗がん剤投与不能の全身状態となり、主治医は言いました。

「もうこれ以上抗がん剤を使うことができない状態です。あとは自宅に戻って免疫を高める生活をしてお子さんと過ごして下さい」と。

私は思うわけです。その免疫を落としたのは主治医のあなただ! と。

ま、1人の患者さんのエピソードです。抗がん剤を中止して自然療法を行っていたときの体調は上向いていただけに、抗がん剤で一気に死の世界へ転がり落ちてしまった事が、ついつい悔やまれてしまうのです。心身が弱っている場合、主治医と家族へ拒否を貫くのはたいへんな精神力だと思いますし、最終的には本人の決めたことですから、とやかく言うのも、、なんですが、とやかく言いたくなります。

何が正解かは本人しか分かりませんが、幼子を残してこの世を去る母の気持ちを想うと、、ね。病院でのたうち回る期間が長かっただけに、家で子供達と過ごす時間が短くなりすぎたなあと、、悪い書き方にはなっていますが、、、偏見です。偏見。どこから景色を観るかで印象は変わりますからね。

注意)抗がん剤をやめるべきだとか、意味がないことだ。ということではありません。そう聞こえがち だったりしますが、違います。抗がん剤が良いか悪いかではなく、自分の人生に意味があるのか無いのかであり、やるならば撤退時期が重要になるということです。その判断を主治医に任せると遅すぎますし、それなりの知識がないと判断は難しいので、ご相談をと思うのです。

一方的な意見ではなく、違う考えに触れる機会を持って欲しい。そんな思いでこのブログを書き綴っています。何かの助けになれば幸いです。
https://capybara-tanaka.com/consultation/

つづく…

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