鹿野志穂の寺は何宗？
1. CUE!のアニメが始まりました！
みなさま、新年あけまして、また卒論だしましておめでとうございます。たいちょーです。次は口述諮問に備えなくては……。ひえ〜〜〜。
それはさておき、CUE!のアニメ、とうとう放送開始しましたね！！彼女たちの成長がどのように描かれるのか、今から展開が楽しみです。
さて、今回は常々気になっていた、「鹿野志穂の実家の寺院は何宗なのか」について考察したいと思います。なお、私は仏教に関しては浅学非才の凡夫です。また、卒論の合間に執筆した記事ですので、誤謬に関してはどうかみ仏の広大な慈悲のごとくお許しください。
あと、こちらの記事は仏教への帰依を推奨する意図はまったくありません！！！
2. 木魚
第1話の冒頭で、ご住職（鹿野志穂の父と思われる）が木魚を叩いているシーンがありました。
『寺院用仏具事典』（p.88）によると、木魚を用いる宗派は、天台宗・浄土宗・禅宗が主であり、特に浄土宗において念仏を多く唱えるために重用されているとのですので、鹿野志穂のお家はこの中のいずれかに属する寺院だと思われます。
これは余談ですが、小鏧（お仏壇に置いてあるお椀みたいなやつ）を打つシーンもありました。
寺院で大鏧（打つと鈍い音が鳴るデカイお椀みたいなやつ）ちゃうのは珍しいなあと思いました。小鏧のほうがメジャーやからですかね？
3. ご本尊
同じく第1話の冒頭に、本堂が映るシーンがあります。ご本尊と脇侍が在していることから、三尊像であると思われます。
「宮殿」という仏・菩薩を祀るための厨子の中に、仏像が安置されていることがわかります。禅宗は「天蓋」という天井から吊り下げる荘厳具を用いることの方が多いらしいので、鹿野志穂のお家は禅宗の寺院ではないっぽいです。
また、常花が邪魔でご本尊の印相や体勢まではわかりませんが、蓮台が大きいので坐像かと思われます。
なお、天台宗の場合、両端に天台大師と伝教大師の掛軸をかけるらしいのですが、このシーンではそれっぽいものがないので、鹿野志穂のお家は天台宗の寺院でもないと思われます。
4.内陣
『寺院用仏具事典』に浄土宗一般寺院の仏具配置が掲載されてあったので、以下に付します。
完全に一緒というわけではありませんが、配置や仏具はかなり共通しています。
この点から、鹿野志穂のお家は浄土宗の寺院やと思われます。
5. ストーリーとの整合性
ゲームのストーリー「ベイビー・クロケット -3-」で鹿野志穂が鷹取舞花に対して「諸行無常」を説くシーンがありました。
「諸行無常」は、『大般涅槃経』に登場する以下の偈から来ています。
諸行無常 是生滅法 生滅滅已 寂滅為楽
※ 太字は筆者が付した。
『大般涅槃経』は天台宗で『妙法蓮華経』と並んで重視される経典です。高麗沙門は『天台四教儀』で、『法華経』と『涅槃経』が5段階のうちの最上位の教えであると説いています。
天台智者大師。以五時八教。判釋東流一代聖教。罄無不盡。言五時者。一華嚴時。二鹿苑時。三方等時。四般若時。五法華涅槃時。是爲五時。亦名五味。
※1 割注は割愛した。 ※2 太字は筆者が付した。
『涅槃経』は天台宗で重視されている経典ではあるものの、「諸行無常」は仏教共通の思想（三法印）ですので、浄土宗であろうが天台宗であろうが禅宗であろうが、教義は諸行無常であることが前提で説かれています。
圓光大師は著作が少ない（し詳しくもない）ので、浄土真宗の慧燈大師の例にはなるのですが、『御文章』に次のような記述があります。
朝には紅顔ありて、夕には白骨となれる身なり。
※ ふりがなは本書のとおりに付した。
したがって、仮に鹿野志穂の実家が浄土宗の寺院であったとしても、キャラクターの設定や教理に矛盾した部分はないといえます。
ちなみに、浄土宗で重視される経典は、『無量寿経(大経)』・『阿弥陀経(小経)』・『観無量寿経(観経)』の「浄土三部経」です。岩波文庫に中村元・早島鏡正・紀野一義の3名が訳注を付したものがありますので是非ご一読ください。
6. おわりに
鹿野志穂は千葉県出身ですので、千葉中の浄土宗寺院を回れば聖地に辿り着けるかも……？僕は関西在住ですのでフィールドワークは関東にお住まいのみなさまにお任せします。僕は卒論続きで疲れているので今日はこの辺で。あとはシクヨロ〜。
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