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100日後に退去する中銀カプセルタワーマンシオン(あと55日)眼前を走るコンテナ

「中銀カプセルタワーマンシオン」の前にある「海岸通り」は、住所こそ銀座ですが走る車両はコンテナを積んだ大型車が目立ちます。英語や中国語の表示が目立つ武骨なコンテナが、都心とは思えない猛スピードで通り抜けていきます。

黒川紀章氏が掲げるメタボリズムには、高度経済成長期の急速な産業化と、それに対する建築家としての問題意識が投影されていました。その結果、交換可能なカプセルという工業製品化した住居が生まれました。「中銀カプセルマンシオン」施行時に大成建設が撮影した映像には、まさにカプセルがコンテナのようにトラックに積まれ、輸送されるシーンがおさめられています。
規格品であるコンテナを、変化し続けるメタボリズムという新陳代謝の象徴として140個も積み上げてしまったのですから、その発想力には驚きます。

「海岸通り」の起点は、カプセルから徒歩3分のところにある「蓬萊橋」交差点です。そこを起点に、東京湾岸に沿って西へ平和島まで結ぶ「海岸通り」は、貨物輸送の大動脈ともいえる存在です。東側に目を移せば、汐留の高層ビル群が広がり、「御門通り」には銀座のネオン街御用達のハイヤー、そして「昭和通り」は流しと客待ちのタクシーが目立ちます。

過度な産業化へのアンチテーゼとして生まれ、土地バブルに翻弄され、不況で解体を免れた歴史を考えると、産業と商業の結節点とも言えるこの場所は、「中銀カプセルマンシオン」のために用意されていたのではないかと思えてきます。

※写真は、「海岸通り」の道路標識

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