旅ごはん・散歩ごはん  菜苑(東京・亀戸)

亀戸天神社のほど近くに菜苑というラーメン屋がある。最寄り駅はJR総武線の亀戸、あるいは錦糸町駅だが、どちらからも同じくらいの距離をちょっと歩くことになる。今回こちらで戴くのはラーメンではなく、このお店の人気メニューでもある「純レバ丼」なのである。余り耳にした事のない料理名であるが、どうやらこのお店のある江東区でちらほら観られるローカルメニューらしい。

店内に入ると厨房をL字形に囲む赤いカウンターがあり、いかにも街中華という感じ。店内のメニューは麺類、チャーハン類が並ぶが、ここで食べるべきメニューは先にも触れた「純レバ丼」である。


純レバ丼がどういう料理なのかというと、甘辛く煮付けた鶏のレバーと小口切りにされた大量のネギが深皿に盛られたライスの上に高く積みあがり、鶏レバーを似たタレがひたひた底に溜まっているというものである。最初に運ばれてきた時は、どうやって食べるのだろうかと思ったが、周りを見ると、まずレンゲで鶏レバー、ネギ、ご飯をしっかり混ぜてから食べるのが正解であるということが判った(客の多くはこの純レバ丼を注文する)。

さて、ご飯と具材をしっかり混ぜ終えたら、やにわにレンゲでこれを掬って口に運ぶ。すると、甘辛く味付けされたレバーの歯ごたえと、少しだけしゃきっとした感触を残したネギの風味が一体となって口中に広がる。この味のバランスが絶妙でレンゲを運ぶ手が止まらない。

ポイントはこのしっかり混ぜる事。これにより、甘辛のタレがライスに染み込み、ネギもしんなりと馴染んで鶏レバーと一体化するのだ。運ばれた時に多すぎると思ったネギも、しっかり混ぜる事でしんなりして味の角も取れ、鶏レバーの濃厚さを上手く調和させてくれる。食べ終わる頃には、この量が必要だという事に納得する。

ちなみに、中華スープが付いてくる辺りがいかにも町中華のお店っぽいが、箸休め的に餃子も頼むと、口の中の味のバラエティさが広がり、更に充実した食事時間となる。ただ、純レバ丼はしっかりボリュームがあるので、小食の人は気を付けよう。餃子で思い出したが、ここ、ラーメン屋と書いてあるが、この純レバ丼は果たして中華、なのであろうか?

このお店の更にうれしいところは、割と遅い時間まで開いていること。待ちの列が出来ている事も多いが、回転が速いのでさほど心配することもない。余り他では見かける事のない純レバ丼、駅からは遠いが、ちょっと足を運んでみる価値があるお店かもしれない。

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