見出し画像

SFシティの情景描写(ドバイ)


空港のホテル、ドバイの夜。
一晩だけ過ごした日の話。

ドバイっていうのは度を超えて人工的なシティだなと、空港のホテルで考えていた。

飛行機から見えた目下の街は、どこよりも機械的な模様で住宅を並べていた。
放射状に、等間隔に、同じような四角が羅列されている。そうかと思えば砂漠に囲まれたSFっぽい建築物、尖ったビル群、また住宅街。

朝靄は紫色に煙って、大きな男たちが大きめの声で話しながらわたしを通り越す。

(ドバイのことは今も詳しくないままなので、これらの情景描写はわたしの勘違いや、すべてが幻である可能性も多少はあるのだが。)

赤色や黄緑色のジュースを、空港内のショップで買った。
それで謎レベルの安さで売っていたウィスキーを割って飲んだ。

飲んだことのない、重たくて機械っぽい味のするウィスキー。
これ本当にウィスキーなの?と思うくらいスモーキーさがない。キンと冷えるようなアルコール感もない。モヤっとしていて、ひたすら鈍い。

カラフルなジュースで割って飲むと、そんな不足もよくわからなくなってくるのだが、身体が不安だ。
なんだか怖いので二杯ほどでやめてシャワーを浴びに行くと、案の定、割れるように頭が痛くなる。

シャワーから出る水はバキバキするほどの硬水。髪を洗うととても硬く湿る。

ドバイの設備はすべて、背が高い。
シャワーを引っ掛けるところも、便座も、位置が全体的に高くついている。頭は痛いし背伸びは必要だしなんか色々嫌になってくる。

ホテルの壁紙はブルー寄りのエメラルドグリーンで、浴室だけ真っ白。
これまたやけに長いバスローブ。

全く疲れが取れないな、と思いながら横たわっていると時間が止まったように感じる、が、電話はやっぱり鳴る。フロントから。


「あと15分で君のチェックアウトの時間だよ」


割高だ、飛行場のホテルは。

カラフルなジュースと酒はすべて捨てて、ラクダの柄のチョコだけをトランクケースに詰め込んだ。

これから17時間のフライト、日本に帰る。


<冒頭の画像はフライト中、上空からドバイの街を撮影したもの。俯瞰図。>

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?