沈黙も雄弁も

季節はまためぐり来る
お茶を温めて飲む季節になった

込み入ったことを喋れば喋るほど
本当のことからは遠ざかる
BARでも カフェでも 

最近の僕が楽しんでいる
取るに足りないけれど、大きなダイナミズムに繋がっている
そう信じている微細な探索、小さな扉を次々と開いていく冒険が
口にした途端、鮮やかな色彩を失って
つまらないものとして相手に伝わる感触だけが
じっとりと僕の脳髄にこびりつくのだ

そしてまた思う
こういうことは人に話すべきじゃなかった
実を結んでからでないと、他人にとってはいたく陳腐なのだと

それは実際、世界にとって陳腐なもので
僕の内的体験などは石ころのようなもので
そのことを分かっていて何度も忘れてしまう

だけども、だけども
1年の内、360日ぐらい口をつぐんでいても
5日ぐらいは誰かに密やかな楽しみを話したい時がある
そして喋り過ぎたことを後悔したり
まあいいかと独りごちたり

そうやって、いろいろと間違いながら
僕は歌を編み上げていく

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