初心者ルキナ問題について思うこと

はじめに

かつて初心者にオススメという謳い文句で紹介されがちだったファイター、ルキナ。
現代スマブラではもはや「ねーよ」の一言で済まされる言葉だが、是正されたのもそこまで昔の話ではなく、DLC2が出始めるあたりまではまだまだ言われていた話だったと記憶している。
この初心者ルキナ問題について少し考えをまとめてみた。

初心者ルキナ問題とは

さて、初心者ルキナ問題とは何かを軽く述べておくと、
「万能でスタンダードな性能を持っているルキナはスマブラの基礎を学ぶ上でうってつけであり初心者向けのキャラクターである」
という理論の元、初心者にルキナを勧めてしまい、それを真に受けた初心者が最初の一勝をもぎ取る事にも多大な苦労を掛けなければならず心が折れてしまって引退していく現象を問題視したものだ。
初心者にはまず勝つためのプロセスが分かりやすいものを勧めるべきで、「今日勝てる」が無いものを始めたばかりの初心者に勧めてしまうと全く勝てずにモチベーションを消失させてしまう可能性が高い。
このワード自体は某有名スネーク使いが最近述べていたものだが、この内容は特にスマブラ初期~中期にかけて少なくない数のスマブラーが通ってきてしまった道だ。

現代のルキナはそもそもスタンダードと言い難い

スマブラSPはアップデートにより、様々なファイターの性能が変わったり、新しいファイターが追加されたりした。
ルキナは一部性能が弱体化されたし、当時の弱キャラ~中堅の多くが強化を受けているし、DLCの追加によって環境に大きな影響を与えるキャラクターが増えまくった。
その結果、ルキナは万能型と言うには厳しい性能になってしまったといえる。周りのキャラのインフレのせいで火力はやや低い部類になってしまったし、リーチもDLC2のせいで物足りなくなった。立ち回りや不利展開のごまかしなんかもフリーダムな奴が増えた結果、ルキナの性能では対応が難しいケースが増えてしまった。要するに万能ではなくなってしまったのだ。
インフレしまくった現代で当初のルキナの評価である「スタンダードな性能を持っていて、スマブラの基礎を学ぶにはうってつけのキャラ」に該当するキャラはホムラ/ヒカリやクラウドあたりにシフトしているだろう。
ホムヒカ、クラウドは現代で初心者に勧めてしまうと勝ちづらくモチベーションを保てないキャラだろう(ホムラはブレイズエンドのおかげで多少は軽減されているが)。オンラインでの勝率が発表されているサイトでは、ホムラ/ヒカリやクラウドは勝率がかなり低いケースが多い。初心者クラウドや初心者ホムヒカがガノンやドンキーなどに負けまくっているからだろう。
「初心者ルキナ問題」のルキナの部分は今は多分クラウドとかホムヒカとかに変えた方がいいんじゃないかなーと思う。

じゃあ過去のルキナはスタンダードだったのか?

ここで一つ疑問を抱いたことがある。
「そもそもルキナは元から大してスタンダードとは言えないんじゃないか?」
ということだ。いくつか理由がある。ここからそれを述べる。

ダッシュ攻撃が弱すぎる
このゲームはダッシュ攻撃が強く設計されているファイターが多い。
ホムヒカ、クラウドのようなハイスタンダードキャラはもちろん、ドンキーやガノンなどの重量級、フォックスやファルコンのようなスピードキャラ、はたまたミェンミェンやサムスのような遠距離キャラクターですらDAが強い。
そんな中、ルキナのDAは踏み込みが遅い、DAとしては届く距離が短い、その割にそれほどパワーが無いと散々である。多分ほとんどのルキナ使いが封印してしまっている死に技だろう。
つまり、ルキナを使う限りDAの使い方はほぼ学べないのである。これだけDAが強いゲーム性であるにもかかわらずだ。

これがスタンダードキャラの姿か?という話である。
これを言うと「滑り横強で良い」なんて話が出るが、立ち状態やステップから出せない時点で補い切れていない。

差し合い性能に歪みがある
このゲームの差し込みの最初の選択肢としてDAが挙げられるキャラクターは多い。結果的にDAの頻度が落ちるファイターも、DAがあるからこそ成り立つケースがほとんどだ。DAがあるからこそ相手に引き行動や長めのガードなどを強要出来るし、ラインを上げやすいわけである。
これは大半のキャラクターの見えない攻撃の最大距離はDAによってもたらされるからだ。
そんな中DAが死んでいるルキナは、基礎的な横の攻撃範囲が普通のファイターよりも狭いと言え、他のファイターよりも中距離で圧をかけることが難しい。他のファイター以上に近づいてはじめて圧となる。
この差し込み性能の低さは、とてもスタンダードキャラの姿とは言えない。
差し込みに関しても一般的なやり方を流用出来ない点は問題だと言える。差し込みが弱いから差し返しばかりを狙いたがる哀れな初心者ルキナが完成してしまう。差し合いの3要素に歪みがあるのに差し合いの基礎を学べるというのはあまりにも欺瞞ではないだろうか。

飛び道具が無い
そもそもスタンダードなキャラクターという謳い文句で飛び道具がないのはどうなんだという話になる。この点は「○○初心者向け」の中でも大チョンボだろう。飛び道具の使い方、飛び道具の対処の仕方を学びにくいスタンダードキャラ……。
せめて飛び道具くらいは備えてから初心者向けと言うべきだろう(仮にあったとしても初心者向きのキャラになるとは思えないが)。

以上3つの理由から、そもそもルキナは元々スタンダードキャラではなかったというのが真相ではないかと考える。
「初心者ルキナ問題」が良くないことだったのはもちろんのこと、ルキナはそもそもそれ以前の問題だった可能性があるということだ。
もしそうなら、スマブラSP発売初期の「ルキナはスマブラを学べる初心者向けのキャラ!」はとてつもない大罪を犯した文言であると言える。

勝ちにくいキャラクターだからモチベーションは保てないし、スタンダードキャラじゃないからモチベーションを保てたとしてもスマブラの基礎をちゃんと学べる可能性は低い。最悪だ。
なお初心者ルキナ問題はウルフと抱き合わせで語られることもあったが、ウルフは弾もDAもある分ルキナと同列に語ることは出来ない(だからといってウルフが初心者向けとはならないが)。

終わりに

まとめると、
「現代スマブラではルキナは万能キャラに届かない性能である」
「そもそもルキナは元々''基礎を学びやすいスタンダードキャラ''じゃなかった」
「勝ちやすくないし学びやすくもないルキナを勧めていた過去のスマブラーの罪は重い」
の3点が自分の意見である。ルキナを選んでしまい引退を余儀なくされたプレイヤーはお気の毒という他ない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?