真・結論くんや剣術Miiについての考察


はじめに

剣術Miiの技構成のうち
「光手裏剣・疾風突き・回転斬り・ジェットスタッブ」
の4つを採用した型、真・結論くん。
この型を使用したプレイヤーが剣術Mii使いの中で最も高いレートを記録しており、名実ともに真の結論とするプレイヤーは多いことだろう。
筆者も剣術Miiの中では最もキャラパワーの高い型であると考えている。
この型の強みと弱み、そもそもの剣術Miiの基礎性能の強みと弱み、トルネードショット型が衰退した理由などを考察していこう。

剣術Miiの基礎的な長所/短所

剣術Miiは言葉を選ばずに言うと素の性能に問題がありまくりで、カスタムワザを考慮しなかった場合短所が多すぎるファイターということになる。
実際、主流だったトルネード型はその短所を補いきれなかったから「剣術Miiは弱キャラ」という評価で固まっていたわけだ。
そんな剣術Miiの基礎的な部分を見ていこう。
長所
・序盤のコンボ火力が高い
実はこいつは序盤のコンボ火力が高く、例えばガードされても反撃のない下強や最低空空後から20~50稼ぐことは難しくないし、投げでも最低限コンボで20%稼いだ後に読み合いでもう一発入るかどうかということが可能。
B技を使わずにこれなので、どんな型であっても序盤はまとまったダメージを出せる。
・体重が平均以上ある
こいつの体重は100。あの強キャラ、クラウドと同値だ。これは強いと言わざるを得ない。
短所
・運動性能が悪い
歩き初速と歩き速度、空中最大横移動速度以外は悪い。
ダッシュは遅いし空中制動がきかないし、空中抵抗も低いのでとにかく歩き以外の動きが重い。大ジャンプが低いのも攻撃面・防御面の両面で欠点としてのしかかる。走行移行のフレームが悪い組なのも地味にストレス。
・寿命撃墜の質が劣悪
最も弱い部分がここで、まず投げでの直接撃墜が存在しない。せいぜい崖際180%の後ろ投げくらい。上投げ180%ならともかく、崖背負いで180%必要は流石に厳しい。ちなみに上投げは300%あっても撃墜出来ない。リンクみたいな上投げしてるのに……。下投げ空上コンボ撃墜も、外ベク変に対応出来る撃墜択が無いので投げは外ベクトル変更安定になってしまう。
シールドに強いワザも多くはないので、ガード+外ベク変を徹底されるだけで撃墜困難になってしまいやすい。
・ガケ(防御面)に欠陥多数
まずMii共通の弱点でガケつかまり姿勢が悪い。さらにガケ離し空中ジャンプが低く、回避上がりも弱く、空中制動力が低くて着地も弱いので全体的に基礎的なガケ上がり性能が低い。
・ガケ(攻撃面)に欠陥多数
ガケに当てるワザが乏しい上、ジャンプ力が低く機動力も低い関係で着地狩りも強いとは言えない。復帰阻止展開も自身のガケ上がりの弱さからハイリスクになりがちで、常に命がけになってしまう。
一つ上の項目と合わせ、剣術Miiは基礎的なガケ性能がかなり低いファイターだと言える。ただしここはカスタムで補う部分ではある。
・基礎的なシールドキャンセル性能が低く、ジャストシールド依存になりがち
短い掴みと発生11Fで後隙でかくて威力の低い上スマ、全体的に発生の遅い空中技……と基礎的なシールドキャンセル性能が低い。
空対空がそこまで強くないのもあり、ジャストシールドに対する依存性が高い。
・全体的に判定が弱いワザが多い

横強
横スマッシュ

斜め上から振り下ろす系のワザは真横に細長い判定が出るだけで、対空性能がほぼ皆無。これは他の剣士には無い弱点だ。突き技と大差ない太さなのだ。これが例えばロイの横スマッシュであれば、攻撃判定が頭をすっぽり覆うような形になっている。

ロイ横スマ

全方位攻撃の空Nは発生10Fと全方位系の中ではまあまあではあるのだが、その出始めの判定は次の画像の通り。

空N出始め

こいつ本当に剣の振り方わかってんのか?
他の全方位系と比較してみよう。

ジョーカー空N

ジョーカー空Nは発生こそ劣るが出始めからしっかり身体の外に判定が出ているので、画像の印象よりは判定が強い。
なお、剣術Miiは他の技も大概対空性能に問題を抱えているため、あんなんでも反転空Nとかで対空を狙う場面があったりする。あのさぁ……

総じて上方向の判定が弱いワザが多く、ジャンプ力の低さもあって大ジャンプを打ち落としにくく、ガーキャンも弱くて地上で待ち構えるのも難しく、かといって直接ワザで撃ち落とすのも判定と発生の関係で難しい。
斜め上から攻められた時に厳しくなりがちである。
空上は対空としてまともだが、流石に他に問題がありすぎてこれ一本だけで対空を任せるのは色々と荷が重い。撃墜技ということも考えると温存したい場面もあるし……。

真・結論くんの長所/短所

ここまでは剣術Miiのネガキャンである。そもそも、こいつは他のMii以上に味変出来るキャラであり、カスタムを考えなければ論外というキャラなのだ。
長所
・横軸が強い
光手裏剣の全体Fは37F、これはシャドーボールとか炎の弓矢レベルの回転率である。これに関してはガチで強い飛び道具と言って差し支えない。中距離ならコンボもあるし、反射されてもローリスクだし、ガードさせて掴むといった使い道もあり。強キャラが持ってたら暴動が起こってるガチ技。密着は弱いが密着で手裏剣撃つ方が悪い。
更に疾風突きというスピードが速くめくりも確認しづらい突進ワザも存在し、真横は侮れない性能となる。運動性能の低さも補われる形となる。
対空そのものは強くないが、横軸の強さによって飛びを促して対空の展開に持ち込みやすくなっている。
・ぶっ壊し択がある
なんといっても回転斬り。剣術Miiは撃墜困難になりやすいキャラであり、そこを改善する回転斬りは非常にマッチしたカスタムであると言える。
2桁%台から下強or下投げ回転斬りコンボでいきなり撃墜といった動きが可能になる。低%で50%くらいのダメージを稼ぐのは剣術Miiの十八番であり、とんでもない速度でストックを溶かしに行くことも夢ではない。
・シールド関連が強化される
単純に発生8Fのガーキャン技を得ることで平凡なガーキャン手段を得られること、ジャストシールドのリターンで回転斬りコンボを選択出来たりしてリターンが高くなることなどが利点。ガードから撃墜しやすくなるわけだ。
寿命撃墜の弱さもガーキャン上Bで多少はマシになる……かも。
・ガケが攻防両面で強くなっている
今一つ通常技だけでは攻めが足りないのが、下強回転斬り・下投げ回転斬り・ガーキャン回転斬りなど撃墜手段が追加されることでとどめを刺しやすくなる。
防御面は疾風突きでラインを返しやすくなり、生存力が向上。回転斬りのせいで復帰力が低くなっているのを疾風突きで補うのもそうだが、ガケ展開の強引な脱出手段を得てそもそもの復帰阻止展開を受ける回数を減らすことで生存力が上がる。
剣術Miiは基礎性能的には「死ぬほどガケが弱い」のだが、それが大幅に改善される形となる。
短所
・やっぱり復帰は弱い
疾風突きで生存力を高めているとはいえ、やっぱり回転斬りは復帰が弱い。ここに関しては仕方がない。撃墜出来ないようなキャラであるよりはマシである。
・復帰阻止力が落ちる
縦復帰力が落ちるので空下復帰阻止はしにくくなる。
空中だと当てて不利な空下は、しっかり相手の高度をさげてやらないと復帰技で帰ってこられて阻止しきれない。しかし回転斬り型は道連れ覚悟でもない限り空下で阻止出来ない場合ができてしまう。
もっとも、剣術Miiはホカホカで序盤のコンボ火力が下がりがちではあるので道連れで撃墜するのは悪くはないかもしれない。
・剣術Miiの中では難易度が高い
単純に回転斬りコンボによる撃墜力の向上によってさまざまな問題を解決しているため、そこが出来ないようでは真・結論くんの意味はなくなる。
剣術Miiは難易度の低いファイターとされがちだが、その中では難しい構成と言えるだろう。

注意点
この型が発掘されるまでに時間がかかった理由のひとつとして、「疾風突きが後期にアップデートで強化されるまでは復帰技として使えたものではなかった」という点があることは忘れないようにしておきたい。
このワザは突進中に敵を感知すると攻撃モーションに移行するというワザなのだが、初期は攻撃モーション中はガケに掴まることが出来ないという欠陥があり、12.0.0でそれが修正された。(なおこんな重大な修正がサイレント修正である。あのさぁ……)
12.0.0はカズヤ追加のバージョンなので、結論くんや真・結論くんを作ることが出来るようになったのは結構後期の話ということになる。
この他、ロケット下突きやジェットスタッブもこのバージョンで強化されている(こちらはパッチノートに記載されている)。
疾風突き・ジェットスタッブの強化幅は結構大きく、実質カズヤとは別に新キャラが追加されたアップデートであるといっても過言ではない……かもしれない。

トルネードショット型はなぜ淘汰されたか

「トルネードショット/チャクラム/回転斬りorソードダッシュ/リバーススラッシュorジェットスタッブ」
これが初期の剣術Miiの基本型だ。現在はマイナー型とされる。
(マイナーになったとは書いたものの、使用者が減ったというよりは真・結論くんや結論くんや論外くんが増えた結果元々の使用者が少なかったこともあって少数派になってしまっただけな気はする)

トルネードショットはヒット時に相手を長時間硬直させ、回転斬りや空上が確定するコンボ始動の飛び道具。蓄積ダメージでふっとび距離が変わらないため、高%でもコンボが可能。重量級は浮きが低くなるので特にワザが確定しやすくなる。
相手や食らい判定のある飛び道具を貫通する特性、相殺判定を持たない特性、ガケ下に判定が出るという特性を持ち、仕様を知らないプレイヤーには非常に刺さる。
この初見殺し性能とコンボ性能、回転斬りによる壊し性能が評価され、初期はトルネードショット型が剣術Miiの基本型として定着していた。

しかし、トルネードショットは非常に欠陥の多いワザであり、現在ではすっかり評価を落とされ「甘え技」として認識されている。光手裏剣の評価が上がったこともあり、光手裏剣とトルネードショットの評価は完全に逆転した形となる。トルネードショットの何が弱いかを説明しよう。
1.弾速・発生ともに遅く、飛び道具として有効な距離から撃つと見てから避けられる
この技の発生は20Fで、DAくらいの距離まで届かせるのに30F程度はかかる。30F、これはオンの遅延と内部遅延を込みで考えても見てから避けられるレベルだ。つまり、ちゃんと知っているプレイヤーはミスして硬直を晒すか寝てない限り直接当たることはない。
20Fはオンなら見てから避けられないがほぼ密着部分。後述するがろくな追撃もなくなるのでそんなところを当てるくらいならスマッシュパなす方がマシ。
2.全体Fが非常に長く、その上全体Fが終了してから4Fしか弾が残らない
設置技や遅い飛び道具は本体と弾の両方で圧をかけられる点が利点となりがち。しかし、このワザは67Fも硬直した上でモーション終了後に弾が残る時間がたったの4F。舐めてるのか?
見てから避けられる発生と合わせ、この技で相手を動かすことが出来ない。
ガードさせて何かする、ジャンプさせて何かするということは出来ず、ジャストシールドを決められると反撃が確定したりする。ガード削り値が高いみたいな救済措置もない。
3.ちょうどいいタイミングで当てないと追撃が確定しない
密着や遠すぎる位置で当てた場合、追撃のための有利Fが足りなくなり追撃が確定しない。当てるの大変なのに……
4.軽量級すぎるとステージ上で当てても追撃が確定しない
ピチューやプリンなどには低い位置で当てない限り追撃が確定しない。当てるの大変なのに……
5.ガケつかまり状態の相手に当てると受け身可能
ニュートラルで狙うのは無謀ということで、ガケつかまり状態の相手などに当てるのが基本となる……と思っていたら、なんとこの技、ガケつかまり状態の相手にヒットさせた場合は受け身可能という欠陥がある。知名度が低すぎるので実践では気になることはないかもしれないが。
これだけ当てるのに苦労させた挙句、まともな使い所になりそうなガケ展開でも割と致命的な欠陥を抱えている。そもそもガケで当てるのもそんなに簡単じゃないのに……
6.回転斬りが無いとリスクに対してリターン不足
空上を上空でヒットさせれば100%程度で撃墜を狙える。それ自体は強力と言える。しかし、こんなニュートラルで当たらないようなワザのまともな狙いどころはガケ展開だろう。当てるのが難しいワザをガケで当てて100%程度で撃墜……。さて、本当に強力だろうか?多分違うと思う。
当てるのが難しいワザをガケで当てたのなら50%とかで撃墜して貰わないと令和のスマブラなんぞ生き残れるはずがない。ガケで100%程度で当てにくい技からの追撃で空上当ててガケ強い!は欺瞞と言わざるを得ない。絵面に騙されてはいけない。
なお、回転斬り型であれば50%程度で撃墜を狙える。ここまですれば確かに強力だ。しかし、せっかくのカスタム技なのに単体では満足にリターンを出せず、他のカスタム技との組み合わせ前提というのがそもそも寒くないか?という話になる。
7.チャクラムが無いと当て辛い
さまざまな理由で当てづらいトルネードショットだが、弱チャクラムがあれば現実的に当てやすくなる。逆に言えば対策されてもまともに当てられる場面はチャクラムヒット時、ダウンに対する追撃、2F狙いくらいしかない。
しかし、せっかくのカスタム技なのに……以下略。
8.回転斬りとチャクラムとの両立が前提になっており拡張性が低い
三種のMiiのワザのうち、「この技は特定の技と組むこと前提」といったワザは少なくない。例えばロケット下突きなんかはほぼ疾風突きとニコイチである。しかし、「○○と××と組むことが前提」とまでいくとこのトルネードショット以外にはあまりない。
まともに使おうとした場合、非常に拡張性が低いワザであるといえる。

おまけ.スティーブのガケ採掘にリスクを付けられない
そんな欠陥まみれなこのワザが今でもたまに使われる理由は、ほぼ対スティーブに集約されるといってもいい(対ピクオリとか対ダックハントなんかもあるが、使用者の数的にほぼスティーブだろう)。トロッコに勝てたり、ブロック破壊に使えたりするところが強みとなる。
しかし、最近ガケ採掘の動画を見たところトルネードショットがスティーブの頭上を素通りしていて非常に悲しい気分になった。対スティーブの技なのにその対スティーブも満足に遂行できないって君ね……

……以上がざっと思いつくトルネードショットのダメな点である。もしかしたら他にもダメな部分があるかもしれない。
他の技と組み合わせることでなんとか実用性を保っているものの、なにかとネタにされがちなラピッドスラッシュを馬鹿にできない程度にはトルネードショットも大概な技なのだ。
実際こんな調子な上にベースとなる剣術Miiのスペックも低いため、長いことこのファイターは最弱扱いを受けてきた訳である。

その点光手裏剣は単体でも強く、ローリスクで使い道も豊富。カスタム技との組み合わせも「これと組み合わせないと使い物にならない!」はそこまでなく、強いて挙げるなら突進ワザはどちらかつけた方が便利といった程度。
突進技が強化されたこともあり、これでは光手裏剣の方が主流になるよねという話だ。

結局真・結論くんは強いの?

パワーを上げつつ短所もそれなりにカバーしているので、剣術Mii界ではハイスタンダードな型と言えるだろう。高火力と早期撃墜の組み合わせによる爆発力の高さと横軸の強さは中々に魅力的だ。しかし、寿命撃墜に関しては多少改善はされたが微妙なまま。この点は中々残念。
総じて、昔の最弱ポジくらいは脱却してそうだが、中の下くらいなんじゃないかなーと感じる。
元々の評価が低すぎるので、これでも昔と比べて評価が爆上がりしているとは思うが。

寿命撃墜は馬鹿にされがちだが、これがあるからこそダメージレースで負けないように気を使って立ち回るようになる。
撃墜%において最も拒否が難しい撃墜は基本的に寿命撃墜なので、寿命撃墜の質が低いとダメージレースの重要性が下がって被弾上等の立ち回りを通されやすくなる。それでも例えばフォックスやシークのように相手に触りに行く力が高すぎるファイターならまだいいが、剣術Miiは相手に触りに行く力が高い訳ではない。
剣術Mii対策を積んできたプレイヤーには寿命撃墜の質の低さから細かいダメージを気にされにくく、リスクリターンからくる読み合いの難易度が上がってしまう。

ここで300でも撃墜せず投げコンボもなく威力も低くてほぼ死に技と化している剣術Miiの上投げをマルスの上投げ程度(180%程度)の撃墜力にしてくれれば普通にキャラランク2段くらいは駆け上がって中の上くらいには入れるのでは?と思う。ワンタッチの火力自体は悪くないので、ダメージレースにおいて緊張感を出しやすくなるはず。

終わりに

個人的には寿命上投げ撃墜が可能なら本格的にメインにしていたかもしれないと思う程度には惜しいファイターだなあと思う。
なお、これを言うと「こんなキャラ弱くていい」「Miiなんだから弱くていいだろ」と言われることが多い。まあ、Miiうんぬんはともかくとして真結論くんの主力技は硬派と見せかけて中々見栄えの悪い使い方になりがちで強化されたらかなり不愉快なキャラになりそうなので、実際今のポジションくらいがちょうどいいのかも。

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