イェーイめっちゃ^_^何が?


 ウォー。


 俺、俺、心が空洞。何がダメなのか分からないヨ!



 ウォー!!!

 好きな文書く。


 カップラーメンチュルン。
「あー美味かった」
 監禁生活8日目。今日も晩飯の配給はカップ麺だ。いい加減飽きるわなー。
 食後ウトウトしてたら小窓からペッと、コップと2リットルの水が投げられてくる。お!今日はファミマの水か〜。毎日、セブン、ローソン、ファミマをローテーションしてるのだ。まじでなんで?
「月が出てるわなー」
 ジャンプしても俺の背丈じゃ届かない位置に付いたガラスの窓が星を映す。綺麗ー、とはならない。そんな余裕ないだろ、監禁中なんだから。
「はよ出せー」
 俺は膝をついて、星に向かって祈った。手と手を合わせ、首を少しもたげる。口を真一文字に締め、目を軽くつむる。俺は色んなことを思い出す。恋人のほっぺたの匂いとか、目頭切開をしたいなーと言っていた友人のまつ毛とか、コスモス畑とか、スイカ食べた後の手のベタつきとか、そういう取り止めのないことを。
 俺はちょっと泣いちゃった。
「まじでおもろないからー。はよ出してー」
 何の音もしない。真っ白な部屋で、何の息遣いもない。命がみんな死んでいる。
 でも俺は何かのために祈りたくなる。別の何かのために。7日間、ずっと自分が出たいよーってことだけ祈ってたけど。8日目にして思い出とかについて祈るかー、って思う。俺って時々イイ発想するよネ。
 再度、俺は色んなことを思い出す。カチコチと秒針が鳴るタイプの時計とか、まだお母さんとお風呂に入っていた頃のこととか、新しいトイレットペーパーの最初の部分をめくる時の微妙な力加減とか、つくしとか、海とか、ご当地のキティーちゃんのシャーペンとか、友達にお前はすごいよって言ってもらった時の気持ちとか、秋の匂いとか。
 思い出したそれら全てが、優しく扱われますように、と祈る。適切な世界が、適切に動きますように。
 俺はちょっと壁を触る。フワッ、と壁の中に手が入り込む。
「こんなにも俺は自由だったのか」
 外は雨が降っていた。街灯もタイルもない。文明を感じられない野原に俺はいる。花が雨に濡れて輝いている。月の光だ。月の光を反射しているのだ。
「綺麗だー」
 雲の狭間に覗いた星が、月が、俺のことを歓迎していた。これハッピーエンドじゃんー。前へ、と踏み締めた草の柔らかさが、気持ちよかったです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?