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雪上の死体は美しい

雪山を歩いていると動物の死体に出会うことがある。
そしてのその死体は時にとても美しく好ましくさえ思える。

こちらのナキウサギの死体はまるで生きているかのように毛のもふもふ感も保たれ今にも目をパチリと明けて動き出しそうだ。でもその時は永遠に閉じ込められてしまっている。

鳥海山の秡川で

その究極系が骨となった姿だろう。
カモシカと思われる肉体は全て剥がれ骨だけが晒されている。
もちろん中にはグジャっとなって血まみれや内臓が出てたりする生々しい死体に出会うこともあるので、全てが美しいとは言えないけれど、冷たい世界で時を経たものは、空気と時間に漂白され、最後の最後に残った命のオーラのようなものを纏っているように思う。

剱岳の剱沢で

 そして、私も雪上で死にたい。別に遭難したいわけじゃないけど、雪上で死ねたら本当に幸せだと心から思う。自然に漂白されて自然に還りたいと思う。今は雪山に行ける体ではなくなってしまったけど、また雪山で死ぬ権利を取り戻すためにも頑張って身体を治したいと、この雪上の動物死体の写真を見るたびに心が奮い立たされるのだ。

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