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バレエ感想「人魚姫」新国立劇場バレエ団


新国立劇場バレエ団「人魚姫」を見に行ってきましたが、とにかく照明が本当に綺麗な作品でした✨
海がゆらめく様子、深海の女王のキャバレーみたいな部屋、2色を使って海と砂浜を表現していたり、結婚式では海辺の石畳を表現していたり、とても綺麗で楽しかったです!

個人的に後悔してるのはスミルノワを見る前に見れば良かったということと、ノイマイヤーの人魚姫を見た後だとどうしても比べてしまうということ。正直足元にも及びません。感想はTwitterに長々と書いたのですが、せっかくなのでnoteにもまとめておきます。

7/30「人魚姫」で印象に残ったダンサー達

人魚姫役の木村優里さんは本物のリカちゃん人形みたいに可愛かったです。この日のロビーには人魚姫の服装をした実際のリカちゃん人形がありましたが、まさに優里さんがモデルになったかのような可愛さでした。

渡邊峻郁さんは誰が見ても格好いい王子で、目を瞑りながら海に漂っているシーンですらハンサムさが伝わってきて、「彼は格好良すぎてアラジンみたいな小僧の役は絶対無理!ハンサムすぎ!」という知り合いのコメントを思い出しました😂

今回のキャスティングで嬉しかったのは、どの演目でもいつもニコニコ楽しそうでずっと応援していた木村優子さんが婚約者役で、ちょっとしたソロもあったことです。ようやく真ん中で踊っている優子さんを見れて嬉しかったですし、結婚の喜びいっぱいの様子が印象的でした。

深海のシーンは海の中のようなゆらめく照明がとても素敵で、女王のお付きの菊岡優舞さんは口をすぼめるようなメイクをしてるのに表情がくるくる変わって百面相のようで面白く、原健太さんはいつも堺雅人みたいにずっと笑顔なのに今日は困り顔とか慌て顔とか、笑顔以外の表情になるシーンも多くて素敵でした。

深海魚はデイダラボッチみたいな衣装と唇を青く塗る化粧のせいで誰が誰だか分からなかったですが、西川慶さんだけはすぐ分かりました!西川さんはどこにいても毎回パッと分かる舞台映えする顔立ちで、本当に毎回西川さんはすぐ見つけられます。他にもアニソンの西一義さんは青いメイクでだいぶ違った顔立ちに見え、深海魚全員で横に向かいながら客席に顔を向けるシーンなどでは石山蓮さんがキリッと顔を正面に向けていて格好良かったです。
ちなみに2幕の街のシーンで、今度は街の人々に扮した石山さんや西川さんら男性陣があぐらで左右に体を振るシーンがあるのですが、笑顔で全力で首を振る石山蓮さんと樋口響さんはノリノリで目が行きました。全然関係ないですが、石山/樋口の2人はもしカラオケ行ったら、自分が歌っていない時も全力でマラカス振って盛り上げてくれそうなノリの良い人たちだろうなと思いました。あと毎回体が90°近く曲がる軟体の方がいて、よく見たら西川慶さん!起き上がりこぼしみたいにグワングワン曲がってました。胴体柔らかいんだなぁ。

街でレモン売りのリーダーを演じていた森本亮介さんは、黄色い膝丈タイツや両手に物を持って朗らかに踊る様子がまさにアシュトン「ラ・フィーユ・マル・ガルデ」のコーラスみたいでした。この日は超朗らかな笑顔で、きっと何かいいことがあったんだろうな。
同じく街の人々を演じていた森本晃介さんは1列目で新聞を持ちながらブンブン頭を上下に振っていて楽しそうで、福岡雄大さんのアラジンを思い出しました。晃介さんと雄大さんは仲良しだと聞くので、もしかして雄大さんから踊りや立ち振る舞いの特訓を受けたのかなと思いながら見てました。森本兄弟は「宝くじでも当たったのかな?」と思わせてくれる様な、とにかくすごく嬉しいことがあったんだろうなと思わせてくれるくらいニッコニコだったことが印象に残っています。

オレンジ売りのリーダーを演じていた上中佑樹さんは快活で楽しそうで、そして相変わらずのジャンプとの時の無重力感!スロバキアでプリンシパルまで務め、抜群のテクニックと誰もが虜になる爽やかなオーラを持つ上中さんをコールドにするとか新国は一体何を考えているのでしょうか。人材の無駄遣いにも程があります。
この3名は突出して美しくて、例えば全員で踊る時など、上中さんと森本兄弟は例えばパッセでジャンプするときの顔の位置とか、ちょっとしたポーズが本当に綺麗でつい目で追ってします。全員さっさと昇格させてもっと踊ってほしいです😊

新聞記者は奥田花純さん、五月女遥さん、直塚美穂さんが踊ってて可愛かったのですが、後ろがワチャワチャしている中で3人がバタバタと踊るので気が付いたら踊りが終わっていました。彼女達に髭をつけたのは深海の女王を男性配役にした配慮かもしれませんが、深海の女王に比べてインパクト薄すぎるので、もっと目立つようにしてほしかったなとも思います。

貴族を演じた内田美聡さんは凛としてて綺麗で、途中快活なダンサーが出てきたと思ったら中島春菜さん!春菜さんは今シーズンで退団なので見納めでした。今までありがとうございました!
貴族役の男性陣に小顔で王子みたいな見た目の方がいて誰だろうと思ったら中島駿野さん!駿野さんは最近キャラクテールが多いですが、これだけ抜群のスタイルをお持ちなので見た目は王子なんですよね。他も趙載範さん、渡邊拓朗さん、太田寛仁さんと高身長でレトロな衣装がとにかく映える!!そして私は太田さんと樋口響さんが似過ぎていていつも分からなくなります。太田さんは貴族、樋口さんはマラカス、覚えないとですね。

しかしさ今さらですけどね、言ってもしょうがないのは分かってますけど、米沢唯さんだけでなく、福田圭吾さんも清水裕三郎さんもいない舞台が寂しすぎて…。米沢さんも見たかったとチラシの写真を見て涙しました…🥲
米沢さんは先ほど心臓の疾患で眠りの降板も発表されましたが、どうかなんとか完治して戻ってきてくれますように。

シンメトリーな構成

「人魚姫」はシンメトリーな人員配置が多かった印象で、例えば深海魚のシーンではダンサー達が三角形ぽい形になって出てきてたり、円形になって走るシーンが多かったり、人魚達が右から出てきたら次は左からも出てくるなど、貝川鐵夫さんは左右の対称性にこだわって振り付けているのかなと感じました。
2幕はもっとシンメトリーが顕著で、例えばオレンジチーム、レモンチームとそれぞれ対になるチームを作って競わせるだけでなく、全員で踊るときの陣形も円や、真ん中で横一列になるなど、左右対称が好きなのかなという印象でした。

そしてシンメトリーは人が集まった時の形だけでなく、ダンサーの配置にもそれが反映されていると感じました。
例えば今回のキャストには、元スロバキア国立バレエ団プリンシパルの上中佑樹さんと、元ハンガリー国立バレエ団ソリストの森本亮介さんという突出した2人がいました。オレンジチームの上中佑樹さんとレモンチームの森本亮介さんがそれぞれチームリーダーとしてバトルするという設定で、対になるような配置になるなど同じような実力のダンサーを対に配置しているという印象を受けました。
他にも全員で踊るシーンでは森本晃介さんの対になるポジションに、見た目が似ているお兄さんの亮介さんがいたり、陣形もですが同じような実力や見た目のダンサーを対に配置していたのが印象的でした。
別回ではどうだったか分かりませんが、少なくともこの回では色々とシンメトリーが強調されていて面白かったです。

まさか木村優里さんと木村優子さんも名前が似てるから左右対称の一環として配役していたりして…。まさかね…😂

子どもの感性へのアプローチについて

今回は「子どものためのバレエ」ですが、私は子どもの感性をナメた内容だなと思いました。
既視感があるという声は聞いていましたが、まずはラ・フィユ・マル・ガルデにそっくりで驚きました。 膝丈まで黄色いタイツを履いた森本亮介さんには両手にレモンを持って朗らかに踊る振付がされており、その様子がコーラスの酒瓶ダンスみたいに見えました。全員を円形で踊らせるシーンなどもあり、リボンが無いだけで雰囲気や構成がアシュトンそっくり!
子どもの感性ってバカにできないと思ってて、もしラ・フィユ・マル・ガルデを知ってる子どもが見たらあの黄色い膝丈タイツと言い、円形になってグルグル踊るシーンと言い、絶対アシュトンのパクリと思うだろうな…。海中のシーンははデイダラボッチとディズニーそっくりで、プティ作品や眠れる森の美女の2幕っぽかったり、あまりにもそっくりすぎて既視感が凄かったです。子供なら分からないと思ってナメたのかなと思いました。

「深海の女王」を男性に配役したことについて

大評判の深海の女王はインパクト大でしたが、新国を普段から見てる人は爆笑出来ると思うけど、それはよく知っている男友達を女装させてみんなで笑うような、身内ノリで身内がウケている以外の何物でもないと感じました。
女王役を男性に割り当てたことにより新国ファン(身内)の注目を集めることは成功したと思いますが、それに比べ女性ダンサー達の見せ場が全くと言っていいほど無かったことが非常に気になりました。

男性がポワントで踊る演目はヌレエフ版シンデレラやアシュトンの夏の夜の夢などもあります。でもそこには義姉や妖精/ハーミア達など、ポワントの男性に負けないくらい強烈な女性の存在があります。
今回男性が演じた深海の女王はインパクト大でしたが、残念ながら同じくらい強烈な女性の役柄が無い上に、ポワントでないと出来ない技や、男性でないと表現できない様なアクロバティックな技も特に無く、「笑える」以外に何の理由で男性を配役したのか分からないと思いました。 結婚式の余興とかで友達の誰かを女装させて身内でゲラゲラ笑うみたいな「女装すれば話題になる」以外の理由が感じられませんでした。

また、本来の対象の子ども達、特に女の子は綺麗な衣装を着てトゥシューズで踊る女性ダンサーを沢山見たかったのではないかと思うのです。この舞台を見にくる子ども達は女の子が多いですし、なんでもっと女性ダンサーに沢山踊らせてあげないんだろうと思いました。子供が憧れるような綺麗なバレリーナ達の、例えば直塚美穂さんなど技術力の高い女性ダンサーの見せ場をもっと作って欲しかったです。

なぜこんなことを言うかというと、バレエ界は女性が圧倒的に不利で仕事が少ないからです。 バレエ団での出演回数以外にも、ダンサーの大きな収入源と言われる発表会の出演依頼なども、男性は沢山あっても女性にはほぼありません。だから本来女性が演じる役を男性に与えるなら、女性にもそれなりの機会を与えてあげて欲しかったと思うのです。

振付の貝川鐵夫さんは新国の元プリンシパルであり、長期間バレエ界にいたなら日本の女性ダンサーの競争率の高さや経済的な大変さは絶対知っているはずです。
「笑える、話題になる」以外になぜ男性に女王を踊らせたのか思いつかず、女性が輝けるような役柄も無く、女性ダンサーへの思いやりが無いと感じました。
長らくバレエ界にいて女性ダンサーの大変さを知っているからこそ、もっと女性のことを考えて役を作ってあげて欲しかったですし、女性ダンサー達が多くの出演料を得られ、観客へのアピールも出来るようなシーンを沢山作ってあげてほしかったと思います。

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