見出し画像

バレエ感想⑩新国立劇場バレエ「白鳥の湖」小野・奥村ペア

仕事が忙しくなってしまい、バレエにもなかなか行けず、もちろんnoteも更新できずにいましたが、やっと、バレエを見にいくことができました。ロシアのバレエ団が来日しなくなったからか、白鳥の湖を見るのは久々で、ピーター・ライト版は初めてなので、ワクワクしていました。

さて、肝心の舞台ですが、最初から葬式でビックリ!なんて暗い白鳥の湖だ…🥲

舞台は一転し、明るい素敵な王子が出てきた!わぁ!なんてチャーミングな王子なんだと思いましたが、あれ、奥村康祐さんってこんな顔だっけ?と我に返り、よく見てみると最初に出てくるのが王子じゃなくて木下嘉人さん演じるベンノだったんですね。明るいしハンサムだし、華やかだしで、てっきり王子かと思ってしまいました。ハンサムでテクニシャンの木下さん、木下さんの名前どっかで聞き覚えがあるぞと思ったら、まさかの前回の「真夏の夜の夢」でロバをやってた人!こんな華やかで上手い人がなんでキャラクテールなのか謎。本当に謎。

奥村さんは演技なのでしょうが、ずっと沈んで悲しそうな少年という雰囲気でした。そこに木下ベンノのカラッとした明るさが対照的でした。あまりにも木下ベンノの存在感が強すぎて、1幕は間違いなくベンノが主役でした。しかし、パドカトルやコーダで、ベンノに呼ばれて一緒に踊り出すと、奥村王子がスッと場を支配するのは流石プリンシパル。奥村さんの動きは滑らかで、踊り出すと一気に引き込まれます。暗い演技をしていたので、存在感は抑えめでしたが、明るい表情だと凄いんだろうなと思います。

2幕に入る前にビックリしたのですが、1幕が終わったら普通はそのまま2幕に行きますが、なんと客席の照明が点灯。休憩かと思いきや、しばらくして暗転し、2幕が始まったのですが、客席はザワザワしちゃうし、ムードが台無し。なぜ照明を点灯するのか謎だし、最悪の演出。

さて、2幕ですが小野絢子さん手足長い!出てきた瞬間から美しく、客席の観客が一気に双眼鏡を覗いてました。スタイルも素晴らしいですが、お顔も美しく、マイムも力強い。さすが日本が誇るトップバレリーナです。

コールドはみんな機械仕掛けみたいだなあと思いながら見てましたが、1人だけ、ものすごく上半身が柔らかで体全体で踊っている白鳥を発見。3-4人目あたりに出てきた方ですが、1人だけ胴体や胸の動きがものすごく柔らかく、集団の中でひときわ美しい。出てきた瞬間からオーラが違いました。コールド最前列の真ん中で踊っており、誰かと思ったらやっぱり直塚美穂さん。ああ、やっぱりなと納得。
コールドは統一感が命なので、直塚さんの足の高さや腕の高さは周りと一緒です。それでも、アチチュードするときや、体の向きを変える時など、胸から指先までが伸びやかで、1人だけ風をまとっているかのような優雅さでした。
なんでこの方がコールド!?と思いますが、まあ内部事情が色々あるのでしょう。コールドでもこれだけ目を引く直塚さんのオデットをいつか見たいです。

3幕に登場する花嫁候補は3人いて、それぞれ国の舞踊団を率いてる設定です。わたしが見た回は、廣川みくりハンガリー王女、直塚美穂ポーランド王女、赤井綾乃イタリア王女でした。直塚さん、登場の瞬間から周りと体格が違うように見えましたが、他の方と並ぶと身長は一緒。あの大きく見えるオーラはやはり凄い。廣川さんが花嫁候補として最初に登場し、次に直塚さんが来て廣川さんの隣に並ぶのですが、直塚さんはジーッと隣の姫を睨んでフンっと一瞥。ライバル心ギラギラなのがよく伝わってきて、客席でも笑いが起きてました。視線でキャットファイトしているのがよく伝わってきました。そして次の赤井さんには一瞥もしないと言う。この気の強さがとても王女らしかったです。

ピーター・ライト版の花嫁候補の踊りは珍しい構成になっており、まずハンガリーの踊りが繰り広げられたあと、そのメンバーが後ろで見守る中、ライモンダっぽい振り付けで廣川さんが踊ります。ただ、ハンガリー舞踊団の男性の衣装が中国の歴史映画に出てきそうな感じで、なんだかハンガリーというよりも三国志とかの歴史映画を見ている気分になりました。

ポーランドもまずは舞踊団が思いっきり踊ったあと、後ろにひかえ、その前で直塚王女が踊ります。ちなみにポーランドの舞踊団、最初に一番左にいた女性がめちゃくちゃ美人でした。衣装も素敵で文句なし。
そして満を持して気の強い直塚王女が登場。グリコローヴィチ版でロットバルトが踊る曲に合わせて、ジュテ溢れるかっこいいバリエーションでした。とにかく「選ばれるのは絶対に私よ!」と言う気の強さが人一倍伝わってきました。ボリショイの白鳥の湖に出てきそうな超・強そうな花嫁候補でした。

最後に、イタリアの舞踊団が出てくるのですが、他が4ペア出てくるのに、なぜか2ペアのみ。怪我したのかな?と思ったのですが、ナポリは少人数みたいです。赤井さんはチャイコフスキーパドドゥの曲がアサインされていました。ナポリの衣装はメキシコの楽団みたいでイタリア感は感じず。転んだ男性大丈夫だったかな。

さて、3人の王女が踊ったあと、王子が誰と結婚するか選ぶ場面ではみんな「私を選べ!」とバッチリ主張。直塚さんは「私を選べ」オーラが強く、廣川さんは彼氏からラインが来なくて拗ねた女子高生みたいなマイムで可愛いかったです。

結局王子は誰も選ばず、色気がすごい絢子オディールとラスプーチンみたいな風貌の中家ロットバルトが登場します。2幕のパンダみたいな白黒メイクからラスプーチンメイクに変え、さらに4幕でパンダメイクを再び行う中家ロットバルト、すごい。このラスプーチンから、あんな色気溢れる娘なんて考えられん。

ちなみにパドドゥの前にロットバルトの手下であるスペインの舞踊団が踊るのですが、衣装がハロウィンの魔女風。スペインの要素は何処に?なんか今回は、総じて衣装が綺麗なのですが、民族衣装だけはどれも一体何を参考にしたんだ?という疑問が残ります。

さて、黒鳥のパドドゥですが、まず小野絢子さんめっちゃ美人!全員惚れる美しさです。美人すぎる。この人が独身ってマジですか?絶対嘘ですよね?美人で色気がすごいだけでなく、チョロっと騙される王子を嘲笑っている様子も伝わってきて、すごかった。小野絢子さん、女優です。

奥村さんはソロで本領発揮。ジャンプは高く、のびのびと明るく、恋する喜びいっぱいの素敵なソロでした。無邪気なんだけど、優雅。奥村さんはラインが本当に綺麗で惚れ惚れ。奥村王子の騙されてポーッとなる演技がうますぎます。1幕は少年のようだった奥村王子が、3幕ではあっという間に恋する男性に変わっています。
小野さんはコーダを控えているからか、ものすごく慎重に踊っている印象を受けました。しかし本当に綺麗。フェッテはシングルオンリーでちょっと危なっかしかったですが、コーダの最後に王子をこちら側に手繰り寄せる動きなど、本当に悪女って感じで最後まで素敵でした。

1幕はカラッと明るかった木下ベンノはずっと王子を心配しながら見守るなど、周りの細かい演技も充実しており、最後にロットバルト退場のシーンで、入り口を爆発させるなど、演出も凄いです。

4幕は舞台に煙がモクモク。ずいぶん分厚い煙と思ったら、なんと煙の中から白鳥たちが出てくると言う凄い演出!いやー、ライト版、演出凝ってる。4幕に王子とオデットのパドドゥがあるのは見応えがありました。
結局オデットが死に、ロットバルトを殺した王子も後追い自殺、ベンノが救済に駆けつけるも間に合わずと言うバッドエンドです。木下さんが抱えてる王子の顔が伏せられていたと言うことは、幕の後ろで抱き合ってたのが本物で、木下さんに抱えられていた方は別の人なのかな?しかし木下さんめっちゃハンサムだなあ。

カーテンコールも鳴り止まず、小野奥村ペアの人気の高さはすごかったです。2回しか無いなんて、本当に勿体無い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?