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バレエ公演感想㉕ 「ジゼル」田北志のぶ The Ballet Tradition

4月に見に行って投稿し忘れていた感想です。

よく見たらサイン入り💕

まず初めに田北さん、このご時世でよくこんな素晴らしい公演をやってくださった!ゲストのチョイスが流石すぎて本当に素晴らしかった!

元プリンシパルというと、知名度だけはあってもお腹が出て体型変化していたり、全然動けなかったりすることが多いが、コルプとヴォルチコフは流石。全盛期のようなジャンプや大技は出来ないものの、立っているだけで気品があり、プリンシパルのオーラがすごかったです。体型もまあまあキープしてます。(出てきて許せるレベル)
ヴォルチコフに比べるとコルプは小柄だと思っていましたが、正直他のゲストが全員子供に見えるレベルでスタイルが良いです。そんな2人と並んでも見劣りしない田北さん、流石。50近いと思いますが、この体型と体力をキープされているのはさすがです。

田北さんはおそらく年齢は50近くでしょうか…。
日本のバレエダンサーは年をとってもジュリエットなどの若々しい役を演じたがる人が多く、通常は痛々しすぎて見ていられません。田北さんのジゼルもどんな風になるのか恐る恐る劇場に向かいましたが、若々しさをアピールするのではなく、病弱さや弱々しさなどを表現していて、この方向からジゼルのキャラクター性を伝えてくるその技量に驚きました。
ポールドブラがフワッとして重力を感じさせず、ジゼルの弱々しい感じがとでもよく出ていました。ですが、ヴァリエーションのバロネはキチッと決め、ピルエットもぶれず、5番もきちんと入っていて本当に綺麗。さすがウクライナでトップとして活躍していただけあります。

ロシアからのゲスト2人は立ってるだけでかっこいいです。スタイル良すぎて格好良すぎて、周りが全員小学生に見えました。
特にコルプはすごかった!最初はジゼルに執着してるかのような、狂気じみた愛を表現しており、若干ストーカーっぽかったです。しかし、アルブレヒトの正体をバラして、ジゼルがおかしくなってしまったときは、深い後悔、「俺はなんてことをしてしまったんだ!?」という、焦燥感、絶望感、後悔が伝わって来ました。表現力が凄まじいです。

ジゼルが狂乱してるとき、アルブレヒトは気にするそぶりは見せつつも、従者と共にいて、基本的に動かない。ヒラリオンは最初からジゼルの母を支え、その後もジゼルと母を心配してずっとそばにいるのにです。ヒラリオンの深い後悔だけでなく、ジゼル親子に対する愛や気遣いなどもすごいです。ジゼル、コルプヒラリオンと一緒になったら間違いなく良い結果になって、幸せな人生を送れただろうな・・・。

2幕のシーンでは殺されてしまう恐ろしさと、生きようともがくヒラリオンの葛藤が全身から滲み出ていました。全盛期のようにポーンとジュテを決められなくても、迫力がすごかったです。1幕も2幕もコルプほどの迫力を出すダンサーはおらず、凄まじかったです。

ですがボリショイでトップとして長年活躍してきたヴォルチコフも負けてはいません。コルプのような激しい感情表現はなくとも、立っているだけで香り立つような気品とオーラが伝わってきます。本物の貴族の王子様のようで、そりゃこんなに素敵な人がいたら惚れてしまうのも納得です。動きも柔らかく、何をしても素敵でした。
2幕のバリエーションやコーダではステージが狭いということもあり、全盛期のようなダンスではなかったですが、それでも観客を魅せてくれました。立ってるだけで観客をウットリさせる、生まれながらのダンスールノーブルって存在するんだなと思いました。

時世的にロシアのバレエ団が来日できず、招待するのも大変だったと思います。世間の目や田北さんの経歴を考えると、ウクライナからダンサーを呼んだ方がスムーズに進んだかもしれません。しかし、そんな中でも「ロシアバレエの素晴らしさを伝える」という強い決意と共に、世界のトップダンサーである、コルプとヴォルチコフを呼んでくださったのは観客として本当に感謝・感動です。

観客は一流の、上手なダンサーを見たいのです。そのために高いチケット代を払い、夢のような時間を買うのです。パンフレットにもありましたが、本当に大変な中、よく招待して下さいました。コルプとヴォルチコフという一流のバレエダンサーを、このタイミングで日本で見ることが出来、本当に嬉しいです。2人ともマリインスキー、ボリショイのプリンシパルは退いていますが、2人が一流であることは変わりません。いつか見たいと思ってた2人を見れ、本当に嬉しいです。正直田北さんとゲスト2人以外は酷すぎて見ていられないレベルでしたが、田北さん、素晴らしい公演をありがとうございました。次の公演も期待しています!

※2023年8月に行われた次の公演も行ってきました。感想はこちら


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