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EAGLEからKiCadへの移行

はじめに

2026年6月7日をもってオートデスクはEAGLEの販売およびサポートを終了するとのことなので、EAGLEからKiCadに移行することにしました。ちなみに、本稿執筆時のEAGLEはバージョン9.6.2、KiCadはバージョン8.0.2です。

操作方法の習得

まずは触ってみようということで、タイマーIC NE555Nを使ったLED点滅回路をつくることにしました。いきなりKiCadで始める前に、EAGLEで回路と基板を設計してみます。慣れているEAGLEだと1日あれば設計できます。

EAGLEで作成した回路図
EAGLEで作成した基板

バイパスコンデンサをてんこ盛りにしたり、逆起電力対策のダイオードを入れたりしているのは、あえて部品を増やしてKiCadの使い勝手を確かめるためです。たぶんなくても動作すると思います。

これと同じ回路をkiCadで作成します。シンボルは標準ライブラリのものを使っています。なのでNE555NではなくICM7555になったりしてますが、外形が同じなので問題ありません。基本的には部品を並べてつなぐだけなのでおおむね直感的に操作でき、半日もかからずに作成できました。

KiCad 標準ライブラリで作成した回路図

この回路図から基板を設計します。シンボルと同様、標準ライブラリのフットプリントを使いました。あらかじめEAGLEで部品の配置を決めていたため、思ったよりも早く完成しました。半日くらいだったと思います。逆に、部品の配置から考える状況だと、慣れない操作をしながらになるので、もっと時間を必要としたかもしれません。

KiCad 標準ライブラリで作成した基板

というわけで、操作方法は難なく取得できました。乗り換えの場合、EAGLEで作成したものと同じものをつくるというやり方は有効かもしれません。

ライブラリの作成

操作方法が取得できたとはいえ、シンボルとフットプリントがいまひとつ気に入りません。特に、フットプリントは人目に触れるものですから、できるだけ自分の好みの形にしたいです。

いま使っているEAGLEの自作ライブラリを変換することも考えたのですが、かなりごちゃごちゃしてきたので、整理も兼ねて自分用のライブラリを作成することにしました。

シンボル

シンボルはそれほど違和感がなかったので、ほぼそのまま使っています。基本的には、標準ライブラリのシンボルをコピペして自分のライブラリに加えて、サイズを少し調整しました。また、標準ライブラリの555のピンの配置は回路図を作成しにくいと思ったので、位置を変えました。

フットプリント

シンボルと同様、標準ライブラリからコピペしたものに手を加えるという方法で作成していますが、フットプリントは好みに合わなかったので大幅に変えました。

自作ライブラリによる回路図と基板

自作ライブラリを適用して作成した回路図と基板が以下になります。なお、+5VとGND、マウンティングホールは標準ライブラリのものを使っています。

KiCad 自作ライブラリで作成した回路図
KiCad 自作ライブラリで作成した基板

ついでにGerberViewerでガーバーデータを読み込んでみます。シルク印刷の仕上がりを確認したいので表面だけ可視化し、裏面は不可視化しています。

KiCad 自作ライブラリで作成した基板
(GerberViewerで表面だけ表示)

こうして見るぶんには問題はなさそうです。私がつくる回路の規模はこの程度ですので、これをもって無事に移行できたということにします。今後は、必要に応じてライブラリを少しずつ増やしていくことになると思います。

感想

KiCadのほうがよいと感じた箇所

  • mil-mmの切り替えが容易

  • 部品の配置の微調整が容易

  • GerberViewerでガーバーデータを読み込む際、xxx.TXTを右クリック -> Edit File Format -> autodetectのチェックを外してdigitsを4から5に変更するという操作が不要(つまりなにもしなくてよい)

EAGLEのほうがよかったと感じた箇所

  • 回路図エディターでどの部品にフットプリントを割り付けたかわからない。EAGLEはシンボルとフットプリントが1対1対応なのでこのような現象は起きなかった。なにか知る術はあると思うのですが…

  • 回路図エディターで変更した部品がPCBエディターには自動で反映されない

  • PCBエディターで配線済みの部品を動かしても配線がついてこない

こうして並べるとどっこいどっこいに見えますが、細かいところはKiCadのほうが優れていると思います。特に部品の配置の微調整が容易という点はありがたいです。回路図エディターではそれほど微調整をしませんが、PCBエディターではあちこち微調整をするのでとても助かります。

おわりに

なかなか面倒で手を付けていなかったEAGLEからKiCadへの移行ですが、覚悟して始めてみたら思ったより簡単に移行できました。ライブラリの作成に少し時間がかかりましたが、移行に要した時間は1日5時間程度の作業を数日くらいだったと思います。

今回は技術的な情報はほとんどなく感想文みたいな内容です。それでも最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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