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しあわせって何だろう

しあわせって何だろう。
年配の知人、Sさんと窓際で道行く人を眺めながら話した。
良く晴れた気持ちの良い昼間。
『若い人が歩いてきたわねえ、あたしにもあんなときがあったのよ、そのときはそんなこと思わなかったけど、自分で好きなとこにいって色んなことしてね、そういう平凡で普通のことが幸せだったのよねえ』
『でも、今もね、こうやって人に手伝ってもらわなきゃなんないけど何もしなくても暖かいとこでのんびりできるんだもの、しあわせって思わなきゃあねえ』
まるで、自分に言い聞かせるように話すSさんの横顔は、何かを受け入れてしっかりと前をみていかなきゃという感じでとても力強かった。
あれがない、これが足りない、もっとこうだったら、、と考えたらもうきりがなく、そして、満たされない心はしあわせからずっと遠くにある感じがする。
足るを知る者になりたいとは思うが、それは
簡単のようで案外難しいことではないだろうか。
Sさんは最近認知症が進んでいて
それがもとでパニックになったり混乱することもある。
でも、そんなSさんの心は時にとても深く、澄んでいる。
Sさんのような人が、穏やかに、安全に暮らしていける世の中であってほしい。
世界を見渡せば争い事は絶えなくて、その原因はどれもが、何かが足りない、もっと沢山あったらいいのに、というところではないだろうか。
それは本来誰かから奪うものではなく、自ら作り出すもの、折り合いをつけるべきものであって欲しい。

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