【炭酸刺繍】未完のタペストリー
ひとつの泡は戸惑い
ひとつの泡は怒り
ひとつの泡は素知らぬ顔で
ひとつの泡は薄ら笑い
ひとつの泡は深刻な顔で
ひとつの泡は壁に張り付き
ひとつの泡は虚無に陥る
ひとつの泡は消えてなくなり
ひとつの泡は新たに生まれる
ひとつの泡は渦巻いて上り
ひとつの泡は隣とくっつく
ひとつの泡は涙を流し
ひとつの泡は親密に震える
ひとつの泡は静かにまどろみ
ひとつの泡は激しく咆哮する
ひとつひとつの泡の
どれもひとつの器の中の
同時に存在しているわたしの
誰にも見せない心のつぶ
時間の糸は二次元の庭に
葉を繁らせて花を散らし
こぼれた心縫い留め
いつしか未完のタペストリーが
これがあなたとはためいて
他人のように見つめるわたしを
いつか何もかも
包み込む
あなたにくるまれて
ただ眠るわたしがいることでしょう
#炭酸刺繍 最終日に参加させて頂きます。
藤家 秋さん、よろしくお願いします。
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