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内林武史さんの個展

不思議なあかりの灯る作品をTwtterで見かけ、心惹かれた。

内林武史さん個展DM

まさに宮沢賢治のこの世界だと思った。

わたくしというふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといつしよに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の
ひとつの青い照明です
(ひかりはたもち その電燈は失はれ)
宮沢賢治 心象スケッチ 春と修羅 序 より

この他にも、月をモチーフにした印象的な作品などを含む個展が開催されるということで楽しみに出かけた。

会場に足を踏み入れた時、少し戸惑いがあった。
オブジェ作品の難しいところだと思う。事前に見ていた写真と実物では結構印象が違うのだ。
ご本人も在廊されていて、常に数人の観客が観に来ていた。

静かで、冷たさと温かさを同時に持つような光を見つめる。
作品に手を触れて変化を楽しめる仕掛けのものもあった。
写真撮影、SNS可ということでスマホで撮るも、実物の光の色は写らない。
しかし家に帰って撮った写真を見てみると、これはこれで雰囲気があって良いものに見える。実物と写真、それぞれの鑑賞ができるとも言える。
小さな宇宙を閉じ込めたような、物語の一部のような作品たちだった。
インスタレーションではなくあくまでオブジェの展示販売だから、部屋を完全に暗くすることはできないだろうが、真っ暗な中に置いたらどんなだろう。
それに何より、ここにある光が、明滅していたら素敵だろうなと思った。それを作家に伝えたら「買ってくれたら作りますよ」とキレ気味に返されてしまった。
明滅のイメージは宮沢賢治に引っ張られたせいもあるだろう。
光が灯りっぱなしか明滅しているかの違いは大きい。
今にも消えそうに儚く瞬く光、ゆらめくけれど灯り続ける光、大気の影響でチラチラ光る星、明滅は命のあかし。
妄想が膨らみ過ぎたのかもしれない。

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