高炉セメントB種

 突然ですが、「高炉セメントB種」というセメントをご存知ですか?

 「高炉セメントB種」とは、コンクリートを造る際に必要となる「セメント」のうち、「混合セメント」と呼ばれるものの一種です。
 長期強度の増進が大きく、耐海水性や化学抵抗性に優れているのが特徴です。このセメントはゆっくり固まるので、とくに初期の養生は入念に行う必要があります。
 主に、ダムや港湾などの大型土木工事に使用されています。

 通常ポルトランドセメントには、「クリンカー(石灰石と粘土を混ぜて焼いたもの)」が必要となりますが、これを造る際に炭酸ガス(CO2)発生してしてしまう上、このセメントの約70〜80%は石灰石なので、多くの石灰石も必要となります。
 その問題を少しでも緩和するのが高炉セメントの役割となります。

 鉄を還元する際には、鉄以外の成分を取り除くために石灰石を使用します。そして、高炉で鉄鉱石を溶融・還元する際に、鉄鉱石に含まれる鉄以外の成分や還元材として使われるコークスの灰分が副原料の「石灰石と結合」し、「高炉スラグ」と呼ばれる副産物になります。つまり、ざっくり言うとクリンカーとほぼ同じようなものが出来上がるわけです。

 普通ポルトランドセメントは主原料が石灰石なので、高炉セメントは高炉スラグを有効活用することでその負担を減らすと言う仕組みです。なので、高炉スラグの混合量の分だけ、普通ポルトランドセメントの使用量を削減することができ、天然の石灰石資源使用量および、石灰石熱分解や燃料の燃焼などに起因するCO2排出量を40%も削減できます。
 しかし上部だけを見て「環境製品」と言うのは簡単なのですが、これはただ「有効活用」をしているだけなので、結局どこかしらの工程で石灰石は必要になってしまうんですよね…。

 ちなみに、高炉セメントは混合される高炉スラグ微粉末の分量により3種類に分類されていて、それぞれ、A種 (5を超え30%以下)、B種 (30を超え60 %以下)、C種 (60を超え70%以下)となります。
 この中でもB種が最も多く生産され、 幅広い分野で使用されていたす。しかし、日本で販売されているセメントの約70%は「普通ポルトランドセメント」であり、次いで「高炉セメント」が約20%、そして「早強ポルトランドセメント」が約5%という割合です。
 この20%のうち、負担されるのは40%、しかしそれも有効活用での数字なので本当に微力です。
 そして、セメントの種類は本来適材適所を旨としていて、その他経済性や供給体制を確認してから選定することが原則です。使用する対象(構造物)や施工方法、施工条件によっても使用するセメントが異なる場合もあります。特性は、寒さに強かったり早く固まったりなどさまざまです。
 その点、普通ポルトランドセメントは用途範囲が非常に広いオールラウンドなセメントなので、やはりどうしても偏ってしまうようです。

 以上、私の好きな名前のセメント紹介でした。
 あくまでも個人調べなので、間違っていることを言っているかもしれませんが、その時は多めにみていただければと思います。

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