![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/12789707/rectangle_large_type_2_477b565b0d444d248a580ccc5072c984.jpeg?width=800)
往き止まり
乞ひ上手なんて云わないで、だって毀れ落ちていくの、
幸せとか全部、お芝居みたいなものね。
聞き飽きたの、愛してるとか馬鹿だとか、
嘘だとか本当だとか、屑籠行きね。
奪って欲しい、なんて心は仕舞ってしまって、
厭になるほど好きなあなた、癖になるほど強いお酒〈せじ〉を頂戴な。
そろそろしゃんとしないと、往き止まっちゃいそうね、
生き苦しい世の中、猫になって歩きましょ。
鈴なら鳴らしてあげる、可愛いでしょあなたのものよ、
なのに釣れない、だから意地悪、あたしの紅〈いろ〉付けちゃって。
少しずつ染め上げていく、ねえ、心地よく酔い痴れて、
分からなくなって仕舞いには、一緒に溺れ死んでくれない?
なんて冗談、真に受けちゃって可愛いひとね、
噛み殺したくなっちゃうわ。甘く蕩けるみたいにね、
口移しでサクランボの種あげる、飲んじゃってよ、
致死量にはならないほどの毒だから。ほんの一寸のお遊びよ。
分かって欲しいなんて嘘、信じちゃったの?
傍にいて欲しいなんて本当、如何かしちゃったの?
何処へいこうか、悩める仔羊、憐れみたまへ。
何処へもいけない、哀れな鳥よ。首を絞めてあげる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?