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往き止まり


乞ひ上手なんて云わないで、だって毀れ落ちていくの、
幸せとか全部、お芝居みたいなものね。

聞き飽きたの、愛してるとか馬鹿だとか、
嘘だとか本当だとか、屑籠行きね。

奪って欲しい、なんて心は仕舞ってしまって、
厭になるほど好きなあなた、癖になるほど強いお酒〈せじ〉を頂戴な。

そろそろしゃんとしないと、往き止まっちゃいそうね、
生き苦しい世の中、猫になって歩きましょ。

鈴なら鳴らしてあげる、可愛いでしょあなたのものよ、
なのに釣れない、だから意地悪、あたしの紅〈いろ〉付けちゃって。

少しずつ染め上げていく、ねえ、心地よく酔い痴れて、
分からなくなって仕舞いには、一緒に溺れ死んでくれない?

なんて冗談、真に受けちゃって可愛いひとね、
噛み殺したくなっちゃうわ。甘く蕩けるみたいにね、

口移しでサクランボの種あげる、飲んじゃってよ、
致死量にはならないほどの毒だから。ほんの一寸のお遊びよ。

分かって欲しいなんて嘘、信じちゃったの?
傍にいて欲しいなんて本当、如何かしちゃったの?

何処へいこうか、悩める仔羊、憐れみたまへ。
何処へもいけない、哀れな鳥よ。首を絞めてあげる。

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