子宮

現実が壊れて幻想になる。見えるようになってもまだ見えていないものがあって、マトリョーシカみたいに包まれて生きているんだね。死んだら真実に辿り着けるかな。

あなたを見つめるとき、わたしが映し出されて、あなたが見えないことがある。作品が鑑賞されることで完成するのなら、あなたはみんなの中にひとりずついるんだろう。真実はひとの数だけあるんだろう。発表しなかったから価値のある詩があって。無観客で上演される舞台があって。鑑賞されなくても、作者にとって意味があれば作品なんだね。

誰でもない、あなたが望んでいるなら、生きてていいんじゃない。大きなひとりだけの神様もいいけど、小さなたくさんの神様もいいんじゃない。鏡が御神体ってイケてる。合わせ鏡、映っているのはなあに?

花吹雪、ただひたすらに見つめていたかった。でもわたしが咳をしてしまったから、一瞬で。なんにも聞こえなかったよ、と春は笑った。なんにも見えなかったし、なんにも知らなかったし、問題ないよ。なんて、眩い。

月が翳る演出は好きだけど何度も見ると醒めちゃうね。叫び出しそうなシーンでただ見つめるってシビれるね。血を流すことなくその痛みが伝わればいいのに。約束だよ、なんて聞きたくもない。ってなワケで、大人になったなーとか思うんだけど、死んでも立派な大人になれる気がしないや。


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