俺が小学生の頃に体験した本当に本当にちょっと不思議な話


小学6年生の頃、俺は飼育委員の委員長を勤めていました。
俺以外のメンバーは、割といい加減な
「ほかの委員会よりは仕事少なそう」的な
不純な動機で入ってきた子達が多かったので、
ちゃんとやる人が少なかったんですよね。
(実際は生き物の面倒を見る訳で、一番大変な委員会だと思うんですけども。)
ある程度は一緒にやる人がいて、仕事を分担していたのですが
ほとんどは俺が仕事をしていました。

小学校の休み時間は今思えばすごく短くて
その動物の世話をしているだけですぐに終わってしまう程です。
校庭で遊ぶ子達を尻目に動物小屋の掃除をし、
餌や飲み水を補充して
職員室に動物小屋の鍵を返しに行く。
それがいつもの流れでした。

俺が通っていた小学校は、春に運動会があります。
少し暖かくなったきた頃、動物たちも心做しか活発で
動物小屋にも虫が沢山いました。
飼育委員会のメンバーは男子が多く、
その殆どが「体育祭準備委員会」の方に
流れていきました。

そのせいか、委員会のメンバーは誰一人居なく
共同でやっている係の人も居ませんでした。
動物小屋でのいつものルーティーンを終え、
休み時間終了のチャイムが鳴った途端
みんな一斉に昇降口へ向かいます。
俺もそれに続き、靴を脱ごうとした時

「あれっ??なっちゃん?」

<なっちゃん>とは、俺の小学生の頃のあだ名です。
先生や同級生はみんな俺の事をこのあだ名で呼んでいました。

今話しかけられたのは全く見ず知らずの女の子。
うちの学校では生徒間の交流が多く、イベント等も頻繁に行っていましたが
この女の子は見たことがありません。
人違いかと思い、俺はキョロキョロと辺りを見渡したのですがその子は
「君の事だよ!」と俺を指さしました。

誰だろう。見た感じ小学2,3年生くらい?
幼稚園時代の子かな?いや、それだと年齢が合わない。
「なっちゃん、6年生になったんだ?」
「…うん。そうだけど…」応えると
「へぇ〜!ばいばい!」
特に会話をするでも無く、その子は雑踏に紛れ
どこかへ行ってしまいました。

その当時は「俺が覚えてないだけかな?」
と思っていたんですが
成長するにつれ、
この出来事に違和感を覚えます。
名前も顔も知らない女の子に、
一方的に話しかけられ
「6年生になったんだ?」
大抵の場合久しぶりに会った親戚や
祖父母等に言われる言葉を
歳下の女の子に言われ
それ以来その子に会うことも、
話しかけられる事もありません。
あの時、昇降口には人が沢山居たにも関わらず、
その女の子を気にしている人が全く居ませんでした。
ただの「少しマセた女の子」なのかと、
特に気にもとめてなかったのですが…。

学校に座敷わらしの噂があると知ったのは
また別のお話。


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