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リンパ節転移の疑いでPET検査へ

術後三カ月の造影CT検査で甲状腺に腫瘍が見つかり、エコーで検査したところ、今度はリンパ節転移の疑いが発見されました。

主治医の言うには「術後1年以内の再発が多い」とのことで、まだ再発確定ではないものの、今度はPET検査(Positron Emission Tomography)をやることになりました。

転移が疑われているリンパ節は首筋で咽喉仏の横の辺りです。この近辺の内側のリンパ節は、手術の時に郭清しているのですが、外側は手を着けていないところで、血管と血管の間にあるリンパ節らしいです。

風邪とかでも腫れるリンパ節で場所的にも転移しにくい所らしく、がん再発の可能性は低いらしいのですが、前述のように1年以内に再発が多いので検査することにしました。

残念ながら、PET検査の設備がないため少し遠い病院に行かなくてはならないのが面倒ですが、予約は直ぐに取れたので来週行ってきます。

PET検査は以前は保険適用外で約10万円くらい自己負担だったようですが、10年くらい前から保険適用(一部適用外)になり受けやすくなりました。とは言え、3割負担で3万円は覚悟しなくてはなりません(※健康診断目的では保険適用外)。

また、PCR検査と同じで偽陽性や偽陰性の可能性もありますし、検査しても分かりにくい種類のがんもあります。それと被曝も気になるところです。

PET検査は、がん細胞がブドウ糖(グルコース)を大量に消費することを利用しています。グルコースによく似た物質にフッ素(F)の同位体を付けた放射性物質18F-FDGをトレーサーとして静脈注射して検査するため全身が被曝します。検査後8時間は乳幼児と接触できないのは、このためです。

日本アイソトープ協会のパンフレットによると、18F-FDGによる被曝量は3.5mSvだそうです。同パンフレットでは一年間に被曝する自然界からの放射線の世界標準は約2.4mSv、医療検査の放射線診療のX線では、胸部で0.06mSv、体幹部のCTで5~14mSvとなっています。

検査薬だけで、年間被曝量の約1.5倍の被曝量です。僕が受ける病院では、検査精度の高いPETーCT(PETとCTを同時に撮影できる装置)を導入しています。そのため、CTによるX線の被曝も加わります。Wikipediaでは、PET-CTの場合は23-26mSvになるとされています。

この数値を信じれば、一回の検査で約10年分を一度に被曝することになります。それでなくても、ここ半年でCT4回、レントゲン10回くらい撮影しています。けっこうな被曝量です。

さきほどのパンフレットでは、1mSvの被曝で2万人に1人が将来的に「がん」で亡くなるというデータを紹介しています。その20倍以上の放射線を浴びる訳です、それも内部被曝と外部被曝の挟み撃ちです。がん検査で発がんリスクが高くなりはしないか不安になります。

福島原発事故の時に被曝量と発がんリスクについては、理系バカの習性で調べました。上記の1mSvで2万人云々は、線形(直線閾値無し)モデルでのデータです。簡単に説明すると、少ない被曝量(大体100mSv以下)での発がんリスクは良く分かっていません。正確に言うと、統計学的に十分なデータがないため有意な関連性が付けられていません。それで、1000mSvのリスクが仮に100だとして、100mSvは1/10、10mSvは1/100、1mSvは1/1000にリスクが比例するという仮説に基づいています。

この線形仮説に基づいて「放射線は出来る限り浴びない方が良い」、という国際放射線防護委員会(ICRP)のガイドラインはあります。とは言え、低線量の放射線による発がんリスクが科学的に証明されていないのも事実です。

そのため、医療被曝に関しては被曝線量限度は「なし」という事になっています。これは、トレードオフの考えに基づくもので、「放射線治療による有意性と被曝リスク」を天秤にかけて、利益(治療効果)が勝っていると判断されているためです。

今回の検査で僕が浴びるであろう20mSv以上の放射線のリスクがどのくらいのものかは分かりません。僕は線形仮説を信じていなくて、閾値があると思っているので、「がん」に罹患する前であれば何の不安も感じなかったと思います。

しかし、現状は「がんキャリア」です。「がん」に罹患した状態で自然放射線の10年分を一度に浴びることのリスクは、やっぱり考えてしまいます。それでも、「リスクより利益」が上回ると判断したのでPET検査を受けることにしました。

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