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久しぶりに休日を楽しみました

食道がんの治療を始めてから約1年経ちました。まだまだ、治療は続きますが、職場復帰も一応出来て徐々に闘病前の生活を取り戻しつつあります。

今日は、お休みだったので久しぶりに映画館で映画を観てきました。

「Je t'aime moi non plus(ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ)」は、セルジュ・ゲンズブールが当時のパートナーだったジェーン・バーキンを主演にして撮った1975年公開のフランス映画です。

12時半からの上映だったので、軽く何かお腹に入れておこうと思っていたら、新宿ルミネのディーン&デルーカで、今年話題のスイーツらしいマリトッツォを見かけたので試しに食べてみました。

マリトッツォ

ピスタチオのクリームです。ローマの伝統的なお菓子とのことですけど、ブリオッシュ生地にクリームを挟んだパスタなら、どこにでもあるように思います。そんなに大騒ぎするほどもないスイーツです。まぁ、そんなに高くない価格ですし、話のタネに一度くらい食べても良いでしょう、くらいの推薦度です。

映画ですが、日本での最初の公開は1983年で全編に性行為があるので、当時は映倫さんのご指示でカットされまくって公開されました。その後、1995年に再上映されています。この時も、修正されています。

今回は、原版を4Kでリマスターして更に完全無修正版での上映となっています。ゲンズブール没後30年という節目の年でもあり、またゲイが主人公の映画でもあり、昨今のLGBTQ+運動と絡めての公開です。

1995年に配給したのは、今は亡き洋画配給会社のデラ・コーポレーションで、僕は映画記者だったので取材する側でした。で、その後に僕は何故かデラに転職したので、懐かしい映画でもあります。

今回の配給会社のセテラ・インターナショナルも記者時代に良く取材させてもらった会社で、セテラが配給するのも何かの縁だなって思って感慨深いものがありました。

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映画の感想は、ジェーン・バーキンの愛らしさが全てって感じです。ストリーは、ジョー・ダレッサンドロ演じるゲイの男性を好きになったヘテロの女性(ジェーン・バーキン)とゲイの男性のパートナーとの三角関係を軸にした恋愛映画です。

日本でも、随分前に清水美沙主演で「おこげ」って言う同じシチュエーションの映画がありましたけど、それとはテイストが当たり前ですが随分と異なります。

正直、昨今のLGBTQ+運動とは、あまり関係のない映画です。1970年代のフランスは、「エマニエル夫人」の大ヒットの影響もあって、「ビリティス」「カリギュラ」といったポルノチックな映画が製作されていて、この映画もその流れの中の一作だと僕は思っています。

セクシャリティやジェンダーの権利を訴えるような内容ではないですし、ゲイがマイノリティとして侮蔑されているのも、当時の社会では常識でした。LGBTQ+運動を先取りした超先鋭的な映画って評する人も居るみたいだけど、今日のLGBTQ+の観点から、この作品を論じるのはどうなのかなぁ?

そんなイデオロギー的な見方よりも、音楽の素晴らしさや映像の美しさに僕は魅了されます。

バーキンとダレッサンドロのダンスシーンなんて、溜め息が出るほど美しい。映画史上に残る「明日に向かって撃て」でポール・ニューマンとキャサリン・ロスが朝日の中を自転車に乗るシーンに匹敵する美しさと音楽だと僕は思います。

このシーンもそうだけど、最初に観たときに全編にアメリカン・ニューシネマのテイストが鏤められているように感じたんだけど、久しぶりに観てやっぱり同じように思いました。

官能的で刺激的なシーンが多いですけど、観ていない方は観に行って損はしないと思います。

フランス映画の余韻に浸りながら、仏ブルターニュ地方の名物料理ガレットで遅めのランチ。

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グレープフルーツを使った季節の限定メニュらしいです。苦みの強いキャラメルソースにオレンジピールが程よいアクセントで、美味しかったです。小池の婆さんのせいで、シードルが飲めなかったのが残念でなりません(抗がん剤飲んでいるため控えているので、どのみち飲めませんでしたけど)。

美味しいものを食べ、美しい映像と音楽で感性を刺激してリフレッシュする。こんなにも充実した休日は久しぶりです。食道がんステージⅢbで手術して抗がん剤治療を続けながらでも、1年経てば、このくらいの休日は送れます。

5年後には、今夏だったか恵比寿に進出するピーター・ルーガーのステーキが食べられるようになっているかも知れません。もちろん、ナパのワインと共に。

それを楽しみに、がん治療を続けて行きます。

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