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キャンサーギフトって何?

TwitterのTLで流れて来た単語、

「キャンサーギフト(Cancer gift)」

がん情報センター「オンコロ」のメルマガによると、

がんになって、新たに気付かされたことを得たり、新たな出会いがあったり、感謝する出来事が起きたりすることを、“がんからの贈り物”の意味で、『キャンサーギフト』という言葉が存在します。
https://oncolo.jp/backnumber/mailmagazine_vol145

調べられた範囲では、元日本テレビのアナウンサーの鈴木美穂さんが、自らの乳がん治療の様子を撮影したものを編集し、同局のドキュメンタリー番組「リアリTV」で放送した「Cancer gift(キャンサーギフト)がんって、不幸ですか?」(2015年7月4日放送)が出所のようです(間違っていたら申し訳ない)。

番組を観ていないので無責任な発言になるけど、「がんって、不幸ですか?」の問いかけには、

不幸に決まってんじゃん!

ファイナルアンサーです。

ここで、終わっても良いのだけど、さすがに無責任すぎるかと思うので、補足します。

番組は見ていないけど、番組の趣旨は想像できます。がん患者は病気と向き合う過程で自問自答する訳です(言い切って良いのかな?)。

曰く「何でがんになんかなったかな?」、曰く「何で俺なんだ?」、曰く「俺まだ○○歳だよ、死んじゃうのかな、ふざけるな!」と無性に腹が立つこともあります。

それから反省して、曰く「家族にも迷惑かけてるな、申し訳ない」、曰く「会社にも迷惑かけてるな、申し訳ない」、曰く「先生や看護師さんにも申し訳ないな」とネガティブな思考の沼にズブズブと沈んでいきます。

ここから悲しい事に負の連鎖が始まる方もいるでしょう。でも、多くの人は、「これからの人生を実りあるものにしなければ」とポジティブ思考にシフトします(と、信じたい)。

そう思えるきっかけとして、家族との絆であったり、医療従事者の方々の献身的なケアであったり、自然の美しさに触れたり、音楽に元気づけられたり、これまで気づけなかった世界に「希望」を見出す訳ですよ(と、信じたい)。

この人と人との繋がりや新たな気付きを「キャンサーギフト」と名付けたのだと想像します。

まぁ、理解はできます。でも、この言葉は「がん経験者」が自らを鼓舞するための呪文みたいなもので、周りの人が「がん経験者」を元気づけるために使う言葉では断じてないと思うのです。

だって、「がん」にならなければ気づけなかったことでもないし、もともと自分の周りにあった(気づかなかったけど)ものであったりする訳です。「青い鳥」のメルヘンと同じですね。それよりも「失った」ものは、もの凄く大きいんです(これは言い切って良いと思う)。

番組を観ていないので無責任な発言ですけど、この手のドキュメンタリー番組って総じて「感動的」に作られますよね。日本テレビ放送網と言えば、あの恒例の長時間番組(僕は「感動の押し売り」と呼んでいます)の放送局ですから、よりその傾向が強いのではないかと想像(邪推?)します。

テレビを観た方々が、「キャンサーギフト=がんからの贈り物」にどんなイメージを持つかを想像すると・・・言葉の一人歩きって怖いですよ。

がんキャリアの僕としては、

「がんなんて、この世から無くなれば良い」

心の底から、こう思います。なんだったら、世界の中心で大声で叫びたいくらい。「がん」撲滅したいな。

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