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意外と怖い「TS-1」

5月に撮った造影剤CTでは、再発は見つかりませんでした。ただ、黄疸の指標であるT-Bil(総ビリルビン)の数値が春先から徐々に上がっていました。

3月18日:0.9mg/dL
4月 8日:1.3mg/dL
5月27日:2.1mg/dL

T-Bilは、赤血球内のヘモグロビンから作られる色素で、肝・胆道系の疾患で高値となるそうです。基準値が0.4-1.5mg/dLで、2.0mg/dLを超えるとTS-1は服用できないそうです。

化学療法を始めて1年経ちます。抗がん剤も肝臓等で代謝されますが、多少は蓄積して行くようで肝臓に負担が掛かっていたのだと思います。数値が5mg/dLくらいあると白目が黄色く見えるようになるようですが、現状はそこまで行っていないので深刻な状態ではありません。ただ、TS-1が服用できないだけです。

抗がん剤を休むのは一抹の不安はありますが、CT画像にも異常はなかったですし、コロナワクチンの接種が今週あります。ワクチン接種の前に2週間抗がん剤を休薬した方が良いらしいので、ある意味、丁度良かったとも言えます。また、休薬したためか食欲も出てきたのも嬉しいです。

TS-1ですが、前に書いたように体内で5-FU(フルオロウラシル)になります。過去4回注射で5-FUを入院して摂取していますが、その時は1日に1300mgの摂取量でした。それを5日間連続で入れていました。

現在、処方されているTS-1の一日の摂取量は100mg(25mgの錠剤を朝2錠、夜2錠)です。入院中の十分の一以下です。量が少ないので本当に効いているのかな? と思っていました。髪の毛も生えて来ましたし、副反応も入院時とは比べ物にならないくらい楽です(入院中は、強い抗がん剤も併用していたので単純比較はできませんけど)。

それで、主治医に入院時の十分の一以下だけど、効くのですか? と、質問してみたところ、意外な答えが返ってきました。

「TS-1を1日1000mg服用したら、死んじゃうよ」

マジですか!

理由は聞かなかったのですが、調べてみると5-FUは肝臓内の酵素で分解されやすいらしく効果持続時間が短いという欠点があるようです。TS-1には、この分解を阻害する薬剤が配合されているため、効果が長く続くようです。

なので、1000mgも投与したら重大な副反応である骨髄抑制が効きすぎて好中球が激減して免疫力も限りなくゼロに近づき、そこら中にある細菌やウイルスに感染して死に至るのでしょう。

実際、悪性リンパ腫や白血病の治療では、好中球500個/μLが無菌室で治療する目安になっているようです。

投薬量が少ないので副反応が軽いと勝手に思っていましたが、TS-1は意外と怖い薬だったようです。薬の用法容量は絶対に守りましょう。

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