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「5年生存率」は55%

「食道がんステージⅢ」を診断され、5月から休職し治療を始めました。がんの治療は、がんの種類にもよるので僕が掛かった食道がんの場合で話を進めます。

治療は、ステージ(病期)や患者の健康状態、患者の希望等によって変わりますが、一般的には、

①内視鏡的切除
②手術
③放射線治療
④化学療法(抗がん剤治療)

の、4つがあります。①の内視鏡的切除は、「0期(ステージ0)」(がんが食道の粘膜内にとどまっている状態)の場合のみ適用可能(0期でも広範囲に広がっている場合は不可の場合もあるようです)なので、僕の場合は当てはまりません。内視鏡的切除だと食道を温存できるので、以前と変わらぬ食生活を送れるようです。この段階で見つかっていればと思います。担当医からも「5年早かったら内視鏡で取れた」と言われましたが、後の祭りですね。早期発見、重要です。

僕の場合は、「3期」でしたが「切れるがん」だったので「手術」が第一選択です。

「標準治療」というものがあって、手術の場合は、まず「化学療法」を行った後に手術を行います。「標準治療」では、抗がん剤として「シスプラチン」と「5Fu(フルオロウラシル)」の2剤併用を2クール行った後に効果判定をして、効果が認められれば手術という流れになります。僕が治療を受けた大学病院の、

標準治療を行った食道がんの「5年生存率」は「55%」だそうです。

但し、2期と3期の平均値です。某国立大学病院の直近のデータでは、2期で約70%、3期で30%でした。これでも、平均値は約50%になるので55%と言うのは、信じても良い値だと思いました。

それでも、二人に一人は5年生きられないのです。「死」というものを身近に考えざるを得ません。

ただ、Wikipediaによると、1970年代では食道がん全体の5年生存率は4%、現在では14%程度に改善されているらしいです。全体なので、末期がんも含まれているのでしょうが、数字だけ見ると将来に絶望してしまいます。

僕が治療を受けた病院は大学病院なので「臨床」「研究」「教育」が業務の三本柱です。ここでは、標準治療に抗がん剤を1剤加えた臨床研究を行っています(患者への負担が大きいため適応できる場合に限って行われます)。この大学病院だけではなく、全国の多くの病院でも実施されている治療方法ですが、予後の経過は標準治療よりも良い結果が出ているという事でした。

主治医から僕の食道がんの状態や健康状態などから、この病院でできる最も効果的だと思われる治療方法の説明を受け、その治療によるリスクや予後に予想されるリスク等を説明されました。

それで、治療を行うかセカンドオピニオンを検討するか、或いは治療をしないかの選択肢を選ぶことになります。

正直に言って、ここでもう少し考えた方が良かったと思っています。がんを「完治」するには、手術か放射線治療が必要なので、僕が受診した「消化器外科」では、治療方法に挙げられていなかった放射線療法を専門に行っている病院(例えば東大病院の放射線治療チーム等)へのセカンドオピニオンは有益だったかも知れません。

ただ、食事を取れない状態であり、CTなどの画像診断では食道外壁まで浸潤していてリンパ節への転移もあるステージⅢとは言ってもステージⅣギリギリの状態だったこともあり、なるべく早く治療を受けたいという思いもありました(ステージⅣだと1年以内に死亡する可能性が非常に高い)。

これから、セカンドオピニオンのための病院を探して、診察を受ける時間的余裕があるのか無いのか、誰にも分かりません。後から、「あの時、直ぐに治療をしていたら・・・」と後悔はしたくありません。

今回、ステージⅣギリギリの状態でがんを発見できたことを僥倖だと思い、紹介された大学病院は食道がんの専門医のいる所でもありました。幸い体力は十分あるので、臨床研究している3剤を使った抗がん剤治療の適応症例になり得ます。

あれやこれやを考えて、この病院で治療を受けることを決めました。



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