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「食道がん」のセカンドオピニオン

2020年4月末に還暦手前で「食道がん」ステージⅢを宣告され、二回の抗がん剤治療後に胸腔鏡手術を行い、予後観察中のオッサンです(これまで、自己紹介記事がなかったので、これをプロフィール記事にしました)。

何となく予感めいたものはあったものの、近所の内科で内視鏡検査を行って直ぐに近くの基幹病院の救急外来に行くことを勧められ、その足で紹介状を持って行ったら「がん告知」されて即入院。専門的な治療の出来る大学病院を紹介されて、あれよあれよという間に抗がん剤治療⇒手術という流れに乗っかって今に至ります。その経緯は、過去記事を参考にして下さい。

告知から入院、治療までが慌ただしく、事前準備を十分にできなかった反省があり、また自分の欲しい情報がネットで余り見つからなかったこともあり忘備録を兼ねて、もしかしたら同じような境遇の方の何かの役に立つかもしれないと新たにnoteで闘病ブログを書いている次第です。

今現在、がんの治療をしていて一番の反省点はセカンドオピニオンをしなかったことです。僕の場合はステージⅢでしたが、ステージⅣギリギリの「進行がん」の診断でしたから時間的余裕と精神的余裕がなく、基幹病院から紹介された大学病院にお任せでした。

それと、治療方法のメリット、デメリットについて、特に手術後のことについてもっと詳しく質問すべきだったと思っています。僕が受けた手術は、胸腔鏡下食道切除術、リンパ節二領域郭清、胃管作成、胸骨後経路です。

この術式では、胃の上部を1/3程切り取って管状に成形した上で持ち上げて残った食道断端と吻合すると言うものです。東京慈恵医科大学附属病院のWEBサイトが分かりやすいので、図をお借りします。

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このように「胃」が「胃管」になります。そのため、胃の働きのうち食べた物をいったん貯めて胃液で溶かし消化しやすくする機能は失われます。僕は、ここのところの理解が十分ではありませんでした。胃としての機能は落ちるものの残るものだと勝手に思っていました。

食道を亜全摘した後の「代替食道」として回腸や結腸を使うという術式(胃温存回結腸間置手術)もあります。この場合は、胃は温存されます。こちらの術式をセカンドオピニオンで検討するという選択肢もありました。むろん、こちらを選択してもデメリットはあるはずです。ただ、胃を温存することとのトレードオフで決めても良かった。

また、「代替食道」を設置する位置も、もとあった食道の位置とは限りません。僕の場合は、「胸骨後経路」でした。食道は気管の後ろ(奥)にありますから、残った食道断端も当然のことで後ろ側にある訳です。この経路の場合、胸骨の後ろ側を通すためには気管の前に回さなければなりません。

その際に吻合部が捻じれたりして狭窄を起こすリスクもありますし、「代替食道」が立体的にカーブしている訳ですから食べた物の通りが悪くなることが予想されます。しかしデメリットだけでなく、胃液の逆流やダンピング症候群が起こりにくいというメリットもあります。

ただ、手術前は医師から「胸骨の後ろを通します」と説明されましたが、その「意味」を深く考えるという事はしませんでした。この経路のためかは分かりませんが、現在でも呑み込みが悪い場合があり、吐いてしまうこともあります。「経路」は何通りかありますから、比較検討すべきだったと思います。

「食道がん」の手術は、以前は(今でもかも)消化器系では最難関の手術と言われていたそうで、右胸を大きく切開し、開腹もして行われました。大きな傷が二か所できます。現在では、開胸・開腹手術よりは低侵襲で済む胸腔鏡下や腹腔鏡下で行われることも増えています。

低侵襲とは言っても、鉗子やカメラを入れる小さな穴を数か所に開けますから大小合わせて10か所くらいは傷ができます。術後は1週間くらいは、お腹の傷が凄く痛みます。でも、開胸・開腹手術のようにろっ骨を折ったり切除しなくて済みますし術後の回復も早いというメリットはあります。

ただ、鏡視下の手術は高度な技術が必要なので、誰でも彼でもできる術式ではないのが現実のようです。

僕も鏡視下で手術を行いましたが首の下に横に10㎝くらい、お臍の上部に縦に7㎝くらい切開しています。術後、2カ月経ちましたが首の下の傷はかなり目立っています。

現在、手術対応できる「食道がん」の標準治療は、「術前化学療法2クール後に手術」となっています。標準治療とは、医学の歴史からの蓄積で最も良いとされている治療方法です。予後の判断基準の「5年生存率」も標準治療を行った患者でデータを取っています。

術前の化学療法でも使用する抗がん剤は「フルオロウラシル(5FU)+シスプラチン」の2剤使用が「標準」です。ただ、現在多くの病院では、上記に「ドセタキセル」を加えた3剤併用が臨床研究されています。

先ほどの慈恵医大病院でも2008年から3剤併用の臨床研究を行っており、がんの再発に関して71%の奏効率を得ているとのことです。僕が受けた治療も3剤併用でした。それで、術前化学療法後は「cStageⅡ」になりました(ただし、術後の病理検査では「pStageⅢ」に戻りましたが)。

術前の化学療法で使う抗がん剤についても2剤なのか3剤なのか、どの抗がん剤なのかは病院によって異なっていると思います。抗がん剤は「劇薬」ですから、副作用も様々あります。また、副作用の出方(出る時期や程度)も個人差が大きいものですから、やってみなければ分からないというのが医師にしても正直なところでしょう。

ただ、化学療法にも選択肢があることは治療前に情報として知って置いた方が良いと思います。

治療を受けるのは自分です。「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、自分が納得して治療に臨んで欲しいと経験者としては思います。ただ、何が自分にとって良いのかは、人によって違います。だから、「こうした方が良いです」とは、絶対に言えません。

ただ、僕自身、判断材料が少ない中で決断したことが多いので、判断するための情報は多いほうが良いかなとは思います。今回も長文になってしまいました。ここまで読んで下さった方、ありがとうございます。

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