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二回目の食道がん手術(リンパ節郭清)

PET検査の結果、リンパ節の腫瘍は「がん転移」と診断されたため、二回目の手術(リンパ節郭清)を受けることにしました。

他臓器への転移は認められていなかったので、「放射線治療+化学療法」(いわゆる「ケモラジ」)を選択することも出来ました。

手術とケモラジ、どちらにもメリット、デメリットはあります。

手術の場合、メリットは腫瘍が7mmくらいと小さく、場所が特定できているので取り切れる可能性が高い。取り切れれば、他への転移はないので術後に抗がん剤治療を行えば、検査に引っかからない微小な「がん細胞」を叩き潰すことが出来るかも知れない。

デメリットは、リンパ節領域の102番は太い血管が2本あり、また迷走神経が近くを通っているので血管や神経を傷つけた場合、重大な後遺症(声が出ないとか自発呼吸が出来ないとか)が起こる可能性があること。また、腫瘍がこれらに余りにも近かった場合は、取れない可能性もあります。

ケモラジの場合のメリットは、切らなくて済むので上記のデメリットがなくなること。デメリットは、がん細胞がタフだった場合に腫瘍が小さくならないこと。この場合は、手術をすることになるのですが、放射線を当てると組織が固くなるそうで、手術がやりにくくなり上記のデメリットのリスクが高くなります。

これらのトレードオフで手術を選択しました。

手術の際のデメリットですが、最初の手術の際に同じようなリスクの場所を郭清していて何も問題が起こっていません。主治医の手技が上手なのかどうかは分かりませんが、人柄から判断して丁寧に慎重に行うことが想像できます。

まぁ、主治医を信頼したという事ですね。

手術自体も前回の12時間を超えるような大手術ではなく、3時間で終わる予定の手術でしたから、あまり不安もなく手術当日を迎えました。

それでも、妻や担当の看護師と分かれて手術室へと向かう前にはナーバスになりました。やはり、手術は手術です。身体を切る訳ですから、平静では居られません。

手術台に横になり、左手に麻酔注射のルートを作られ鎮静剤が入れられる間、別の看護師が反対の手を握り、さすっていてくれました。手袋越しに温もりが伝わります。

たった、これだけのことでも心が安らぐものなのですね。いつの間にか意識を失い、記憶が途切れます。

手術時間は2時間くらいでした。

リンパ節は取り切れたようです(病理検査の結果待ちですけど)。また、食道の原発巣からリンパ節に至るルート上の脂肪も取ったようです。転移の道筋にがん細胞が残っているリスク回避のためです。

前回とは異なりICUに入れられることもなく、元の病室に戻り翌日の昼から普通に食事も出ました。ドレーンも入っていません。経過は順調で、手術から5日目に退院しました。

手術を終えた実感として、何となく体から悪いものが消えたような感覚があります。浄化されたような気分です。理系バカとしては極めて非科学的ですけど、「がん細胞」は一欠片もないような感覚があります。

などと書いておきながら、再発したら洒落になりませんけど。でも、ポジティブな患者の方が再発率が低いというデータもあるらしいです。なので、「がん」は取り切ったと信じたいと思います。

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