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PET検査 受けてきました

食道がん手術後3カ月の定期健診で甲状腺とリンパ節に転移が疑われたのでPET検査を受けてきました。

がん細胞は活発に活動しているので、グルコース(ブドウ糖)を多量に取り込んで栄養源にしているらしいです。この性質を利用してトレーサー(標識)を付けたグルコースを体内に注射して、グルコースが集中して溜まる部位(がん細胞だけではありません)を測定する検査です。

使用するトレーサーは、放射性同位元素の18F(フッ素)です。

本来のフッ素は、原子核に陽子9個に中性子10個を持って安定していますが、18Fは原子核に陽子9個と中性子9個で不安定な状態です。そのため、陽子から陽電子(positron)が1個飛び出ます。そうすると、陽子が中性子になるため、陽子8個に中性子10個の安定した物質の18O(酸素)に壊変します。

これを、β+(ベータプラス)壊変と言います。

飛び出た陽電子は陰電子(electron)と速やかに反応して電気的に中性になって消滅します。消滅する時に持っていたエネルギーを電磁波として放出します。この電磁波を消滅放射線と言い、透過性が高いため人体の中の18Fから出た消滅放射線は人体を通過して直進します。この放射線を体外の機器で測定するのがPET検査の概要です。

つまり、PET検査を受けると必然的に放射線に「被曝」します。

どのくらいの量の放射性同位元素の18Fを注射するのか気になりますよね?

僕が受けた病院では、体重1㎏当たり3.7MBq(ベクレル)の18Fを投与するそうです。

60㎏の人で222MBqを投与されます。「M」は「メガ=10^6=1,000,000」です。つまり、「222,000,000Bq」です。ちなみに、「3.7」という中途半端な数値は、昔使っていた放射能の単位「Ci(キュリー)」に由来します。つまり、1Ci=3.7×10^10Bqです。それで、医療用に使用される放射性物質は、1.85Bqとか3.7Bqを基本単位にしているものが多いそうです。

福島原発事故で「ベクレル」や「シーベルト」という単位はお茶の間でもお馴染みになりましたけど、覚えていますか?

事故当時、ワイドショーでは武田先生などの“専門家”の先生達が連日、「福島の農作物」の”危険性”を吹聴していました。国の暫定基準は、1㎏当たり「500Bq」でした。この基準値でも「危険」だとして批判していたのを覚えています。

今回、僕に注射された18Fは、それを遥かに上回る量です。ざっと40万倍ですから、武田先生なんて言うだろう(笑)

体重によって変わるので正確な被曝量は分かりませんが、おおよその数値は病院のインフォメーションによると約4.0mSVだそうです。どういう計算なのか分かりませんが、この程度の被曝量らしいです(理系バカの習性で色々と計算したのですが、この数値にはなりませんでした)。

僕が受けた検査機器はCTも同時に撮れるので、CTのエックス線の被曝量が約8.0mSVあるらしく、合計で約12.0mSVくらいの被曝量になるようです。前回の記事で書いたWikipediaの数値の半分ですね。

普通に生活していて受ける自然界からの被曝量が全世界平均で年間2.4mSVですから、5年分を被曝したことになります。それでも、病院の説明では「人体に影響が出る量ではありません」だそうです。福島原発事故の時に500Bqで大騒ぎしていた先生方は、何を根拠に恐怖を煽っていたのでしょうね? 今更ながら、憤りを感じます。

まぁ、核種も違いますし医療目的と食品を同列には論じられませんけど、500Bqで大騒ぎしていたらPET検査なんて受けられません。

付け加えると、18Fの半減期は約110分です。2時間程度で半分に減ります。8時間後には1/16、24時間後には1/4000になります。さらに尿と一緒に排出されますから、生理的な半減期はもっと短いです。1日たてば、残留している放射性物質は殆ど「0」といって良いと思います。

ただ、検査後数時間は体内から放射線が出ている状態ですから、乳幼児や妊婦さんには近寄らない方が良いそうです。帰りの電車が空いている時間帯で良かったです。なるべく、人には近寄らないようにして帰宅しました。

検査から数日経ちましたけど、言うまでもなく健康被害は起きていません。

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