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WCW2023 【CancerX 食と栄養】~食が育むコミュニケーションの可能性~


登壇者の皆さん

■セッション概要

2021年、2022年のセッションでは、がんと食と栄養に関しての因果関係を証明することが難しいという結論が得られ、がんの食事に関して禁止するものはないという医師からの視点も得られた。
さらに、科学的根拠に基づいた正しい情報も大事であるが、その人がどう生きたいかを考えることが重要であり、その人の正しさを知るためには、治療と向き合いながら、対話を繰り返していくことが必要であるという話題になった。
そこで、今年のセッションでは医療者と患者や家族のコミュニケーションのツールとして食を考えるという視点で話を展開し、「生きるための食」や「楽しむための食」とは何だろうかを、登壇者や参加者同士で対話できる場にし、皆さんが考えるがんと食と栄養の境界線上にある価値を受け容れ合えるセッションを企画した。

セッションより


■セッションサマリー

テーマ①『がんに対しての食や栄養における予防や備えを考える』

犬飼道雄さんからは、体重が減少するとQOL低下、薬の副作用が出やすいというデータがある。したがって体重減少を可能な範囲で出来ることから予防することが大切。特定の栄養素が治療に与える影響は少ない。
武田絵里子さんからは、医療職として、当事者として、家族の視点から自分の身体に「私のからだ機嫌良い?」って聴いてみることも大切と話がでる。藤岡聡子さんからは、“生きるため”にストイックになり過ぎない。あらゆる全体性のバランスをみることの大切とのお話がありました。

テーマ②『食が育むコミュニケーションの可能性について』

藤岡聡子さんは「食べる」が目的ではない場合もある。食は、人と会うため、話のきっかけ、機嫌よく生きていくための手段にすぎない。「食」が真ん中にあるわけではなく「暮らし」がど真ん中にあると話し、暮らしの中でその方が「どう生きたいか?」を対話しながら探ることが大切と話しました。
犬飼道雄さんは、「食べれるときには、食べたいものを食べたいだけ食べることも良い。食べる力『食力』をアップする必要がある」と話されました。また、医療職とおしゃべり出来る時間を確保し、質の向上に努めることも大切と指摘をされました。例えば、補助栄養剤は甘いものが多いが、すっきりとした味のものもある、という情報を患者さんとの対話で共有することが出来れば、質の向上を図ることが可能と話されました。

「食」は誰と?どのように?を考えることが「生きる」を楽しむことにつながるのかもしれません。

グラフィックレコーディングより

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