見出し画像

不動産仲介業界の現状と課題:身近な「部屋探し〜引っ越し」の裏側で起こっていること

※元々の公開日:2023/4/13

こんにちは。カナリー 営業本部 営業企画部長の森田と申します。
カナリーは、【もっといい「当たり前」をつくる】をミッションとしているスタートアップです。

日々の暮らしには、不便・非効率がありながらも、過去の延長で「当たり前」と受け入れてしまっていることが溢れていますが、我々は、デジタルの力でこの「当たり前」をアップデートし、もっといい未来をつくっていくことを目指しています。

カナリーのミッション

ミッションにある「当たり前」には「業界における慣習」も含まれています。

私自身、不動産仲介会社でのバックグラウンドがあり、不便・非効率に感じた部分が多くありました。
今回は、そういった私の経験も踏まえた不動産仲介業界の現状と課題についてお話します!

不動産仲介における業務は上記のようなフローとなるのですが、このなかでも「ユーザー集客」「来店・内見」「申込・契約」の3つに焦点を当てます。


1. ユーザー集客

過去の部屋探しは、ユーザーが直接近隣の店舗に来店してからスタートするスタイルが一般的でした。
近年ではテクノロジーの発展により、インターネットでの集客が主要となってきています。
具体的には、皆さんも聞いたことがあるであろう、「SUUMO(スーモ)」「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ」「at home(アットホーム)」のような部屋探しの情報媒体、いわゆる「ポータルサイト」に物件を掲載し、部屋探し中のユーザーがそれを見て不動産仲介会社にお問い合わせをするという流れです。
そのため現在は、ユーザーの集客フェーズにおいては「ポータルサイトへの掲載業務」が不動産仲介会社のメインの業務となります。

しかし実は、ポータルサイトにある物件のほとんどは「REINS(レインズ)」を始めとした「業者間流通サイト」と呼ばれるサイトに載っている情報を基に掲載されています。
不動産仲介会社は、業者間流通サイトにて新着物件を検索し、それを目視でポータルサイトへ手打ちで入稿するというフローを経ているのです。
この業務が原因で情報更新にタイムラグが発生してしまいますし、掲載する側も非常に大きな手間を要しています。

それにより、既に契約済みで募集が終了してしまっていたり、募集状況に変更があったりした場合などに、情報の更新や掲載停止が遅れてしまうことによって、いわゆる「おとり物件」の発生に繋がってしまうリスクもあります。

「おとり物件」とは、「存在しない物件」「存在するが、取引対象にならない、あるいは取引の意思がない物件」の広告宣伝のことです。なぜこのような物件のインターネット広告が存在するのでしょうか。 おとり広告とは、悪意を持って行われるものばかりでなく、不注意から生まれるものも多いのです。適切な情報の更新や管理が出来ていなければ、おとり物件を生んでしまう可能性が高まります。

LIFULL HOME'S 「賃貸の“おとり物件”って知ってる?見極め方と対処法」より https://www.homes.co.jp/cont/rent/rent_00200/

不動産テック領域では、これらの問題を解決するために、「コンバーター」と呼ばれるシステムの開発が進んでおり、複数ポータルサイトに同時に入稿作業を行ったり、管理会社の提供する物件を直接自動取り込みしたりできるようになってきています。

ちなみに、当社の運営する不動産情報アプリ「カナリー(CANARY)」では、業者間流通サイトの1つである「リアプロ」と連動し、管理会社が提供する物件情報を直接カナリー上に掲載・タイムリーに更新するという取り組みを行っています。
今後もユーザーに透明性の高い物件情報プラットフォームを提供するとともに、不動産会社にとって生産性向上につながるよう努めていきます。


2. 来店・内見

ポータルサイトなどでユーザーが物件に対して問い合わせを行うと、問い合わせ内容は不動産仲介会社にメールで送信されます。
不動産仲介会社はその内容(問い合わせ物件や具体的に知りたい点、連絡先など)を確認のうえ、募集状況・問い合わせへの回答について、ユーザーに連絡をします。

※ちなみに、連絡してからすぐに来店・内見に繋がらないケースも多いです。返信がないユーザーに「追客(ついきゃく)」のメール・電話を行ったり、来店前に条件をヒアリングしていくつか内見候補物件を紹介するなど、やりとりが多く発生します。
ユーザーに合わせて、電話・メール・LINE・SMSといった多くの媒体を使用するため、顧客の管理が非常に煩雑になります。

カナリーが運営する不動産仲介会社向け顧客管理システムSaaS「カナリークラウド(CANARY Cloud)」では、そういったやりとりの媒体をまとめて一元管理でき、不動産仲介会社の業務効率化・生産性向上に貢献しています。

そういったやり取りを経てユーザーが不動産仲介会社に来店し物件を内見する際、実は仲介会社側は、(ユーザーからは見えないですが)管理会社への「物件確認」と「内見予約」を行っています。

まず、業者間流通サイトなどから探した物件の管理元に電話をかけて、「物件確認」をする必要があります。この物件は空いているのか、申込が入ってしまっているのか、内見が出来る場合はどこに鍵があるのか…などの情報を一つずつ電話で聞いていくのです。

また、内見可能な物件だった場合にさらに「内見予約」を行う際は、これまではFAXによるやり取りが一般的でした。内見をしたい物件名や日時、担当者の名刺を添付した「内見依頼書」を毎回作成したうえで、管理元にFAXを送り、その到着確認の電話をすることで、初めて内見方法を教えてもらえる、という流れです。

【内見予約までの流れ】
1. 電話で「物件確認」を行う
2. 内見依頼書を作成する
3. 内見依頼書をFAXで送信する
4. 再度電話でFAX到着を確認する
5. 鍵の手配方法を教えてもらう

ご案内する物件の数だけ、この業務を繰り返し実施することになります。
これらの業務では、何度もやりとりをしなければならない手間が、大きな課題だと考えています。
物件の管理元の担当者が不在だとコミュニケーションが円滑に進みませんし、ましてや営業時間外・休日には連絡が繋がらないので、当日にご案内することさえできなくなってしまいます。

これらの課題を解決するため、最近では業者間流通サイトの「内見予約」機能の開発が進んでいて、ここ数年で多くの管理会社が一気に導入を始めています。オンラインでの内見予約が主流になり、少しずつではあるものの着実に便利になってきていると感じています。

3. 申込・契約

内見を経て良い物件が見つかったら、入居に向けて申込と契約のプロセスに進みます。

この「申込」における業務も、電話・FAXを使ったアナログなやり方が一般的でした。
「契約」においては、ビデオ通話で契約内容を説明すること(いわゆる「IT重説」)は以前から可能ではあったものの、契約書類は紙媒体での書類交付が必須でした。
その場合、結局は契約書類を紙で印刷し、直接対面で署名・捺印を行ったり、郵送でやり取りしたりする必要があります。
手間であることはもちろんですし、印紙税や、(IT重説の場合でも)書類の郵送コストといった金銭的負担も掛かってしまいます。

これらの課題についても、近年一気にDXが進み始めているところです。
2022年5月の宅建業法改正により、契約書の電子交付(= 電子契約)が可能になりましたし、内見予約同様、多くの管理会社がWebでの入居申込を受け付けるようになってきています。

これらの動きによって、不動産仲介会社が顧客情報をクラウド上で管理していく流れができ始めています。
先ほどもご紹介した不動産仲介会社向けSaaS「カナリークラウド(CANARY Cloud)」では、不動産仲介業に従事する幅広い世代の方々がどなたでも使いやすいUI/UXを強みに、不動産仲介業界のデジタル化を総合的に支援しています。

(上記は、私が導入支援を担当した不動産仲介会社様の事例です)

おわりに

不動産仲介業界ではアナログな業務が依然として多く存在しており、、労働の長時間化が課題となっていました。部屋を探すエンドユーザーとしても、不便・非効率を感じる点が多くあったと思います。

一方で、ここ数年で一気にDXが進み始めており、業界の生産性も向上してきているように感じます。このような、古くから存在し規模も非常に大きい業界の変化に立ち会い、それをスタートアップとしてリードしていくチャレンジができているのはすごいことだなと思いますし、非常にやりがいが大きいです。
そして、このやりがいを一緒に感じてくれる新しい仲間と、今後会えることを楽しみにしております!

一緒に働く仲間を募集しています!

さて、数ある不動産テック企業のなかでもカナリーは、「カナリー」や「カナリークラウド」のように自社で優れたプロダクトを開発・運用していくことはもちろん、アライアンスも活用した事業展開、大手企業のDXなど、様々な機会がある状況です。(ここではまだ書けないようなプロジェクトも多くあります)
C向けサービスとSaaSの両方を手掛けているということも非常に面白い点です。

企業としての1つの通過点である上場を見据え、既存事業の非連続的なグロースを行いつつ、常に新しい事業の種を発見し育ててゆく面白さが今のカナリーにはあると考えています。会社は70人ほどの組織のため、今後のコアメンバーとして会社の成長を牽引してくれる方を全力で探しています。

私自身も不動産仲介会社からこのカナリーに転職し、同じ不動産業界をまた違った視点で勉強することが出来ていて、刺激の多い毎日です。一般的にはまだまだ若手と呼ばれるような年齢ではありますが、様々な業務領域に携わらせてもらっています!
ご自身の年齢や経験は置いておいて、当社のミッション・バリュー・事業に魅力を感じていただけたなら、まずはカジュアル面談という形でお話してみませんか?

一緒にもっといい「当たり前」をつくっていけることを楽しみにしております!

▼カナリー 採用情報ページ

https://recruit.canary-app.jp/