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超小規模校ならではの取り組み

超小規模校ならではの葛藤と挑戦

超小規模校である和合小学校は一学年が1~3人。クラスは2学年の複式学級ですが、それでも一クラス2~4名。先生一人に対して子どもは最大4名。なんと贅沢な環境。お休みの子が出ればマンツーマンなんてざら。だから良い。とも単純には言えなくて。先生も子どもも気が抜けない環境にいるわけです。

小学校は担任の先生がほぼすべての教科を教えます。だからクラスは担任の先生と生徒たちだけの時間が多く、担任の先生との相性は学校生活を左右する重要なポイント。大人数だと先生対生徒の数が圧倒的に多いので先生の目線も分散されますが、超小規模校だとそうはいかない。一年間みっちり担任の先生と二人っきりという状況も珍しくありません。するとやっぱりお互いに気づまりすることもあるみたいですね。大人も同じ。それで今年度は先生方が一考して新しい取り組みを始めてくださいました。

それは〝教科担任制”。小学校の先生はどの教科も教えられるといっても、それぞれ得意分野、専門分野があります。担任の先生のバックグラウンドによって力が入る教科とそうでない教科が出てしまうことは想像に難くありません。実際私が小学校の時に5、6年生で担任してくれた先生は体育が専門で、体育の授業は本当に面白くとても楽しい2年間を送ることができた思い出があります。中学校では専門の先生に学ぶのだから、小学校からでもいいですよね。和合小学校では小規模校ならではのフットワークの軽さで、実験的にできる範囲での教科担任制に挑戦しています。

例えば、3、4年生の担任の先生の専門は「家庭科」。5、6年生の家庭科の時間は3、4年生が5、6年の担任の先生から「理科」を学びます。1、2年生の担任の先生は「社会」。3、4年生は1、2年生の担任の先生から社会を学びます。その間、1、2年生は他の先生に授業を見てもらいます。体育、音楽、図工の一部は全校みんなで授業するので、子どもたち、先生たち、いい具合にシャッフルされて、授業が受けられて、みなそれぞれに刺激しあっているように思えます。

何よりこのやり方は、先生たちが授業を組み立てるのが楽しいのではないでしょうか。私だったら、専門分野のことなら、もう何時間でも話せちゃうので、それを授業で発揮できるとなったら張り切ってしまいます。子どもたちにとって一番の学びは、大人が生き生きと好きなことを語り、子どもの知らない世界を見せることだと思っています。それが先生であったり、保護者であったり、地域の人であったり、この学校は地域みんなの関わりが深いので余計にそのチャンスに恵まれていると感じています。

実際、保護者が先生になることもあります。田んぼの授業では有機農家の保護者が、音楽の授業の中で和太鼓の指導は実際に和太鼓の経験がある保護者が教えに来ています。地域の行事の学びの時には、地域の人々が入れ替わり立ち代わり学校に教えに来てくれます。そして先生方もとてもオープン。開かれた学校として、地域の方々を講師として招いてキャリア教育の取り組みも始めようとしています。私も自分の職業や専門に学んできたことを学校で活かせないかとワクワクしながら妄想しています。

PDCAサイクルを実行する

こんな柔軟な対応ができるのも小規模校だからこそだと思います。先生も少人数で決定も早い。やってみて不具合があればどんどん改善していこう!という雰囲気も出来上がっています。授業内容よりもこんな大人たちの姿から子どもたちはたくさんのことを学んでいるのではないでしょうか。問題を見つけ、解決策を練り、それを実行して、振り返り改善する。社会に入ったときに一番に求められる力。そのPDCAサイクルとは、「Plan=計画」「Do=実行」「Check=評価」「Action=改善」の4つの英単語の頭文字であらわされる社会人に求められる力です。それを先生方は子どもたちの目の前で実行し手本として示してくださっています。ほんとうに有難い環境だなぁと保護者として実感しています。問題解決能力とは、こうやって問題を解決しなさいと大人が差し出すことで身につくものではなく、大人が身をもって体験し実行する姿を子どもたちと共有することで、子どもたちに自然と身についていくものだと思っています。先生方にはどんどん挑戦してほしいし、子どもたちもどんどん巻き込んでほしいと願っています。今の先生方はそれが自然とできる素晴らしい先生たちばかりなので、本当に恵まれた環境だなぁと思っています。保護者もがんばらねば!こうやって一緒に学校を作っていく経験ができるのも小規模校ならではなのかもしれませんね。

こんな貴重な環境にある和合小学校ですが、今年度は主力の6年生が3人卒業してしまいます。新入生の予定はありません。まだまだ学校を支える子どもの数は心もとない状況です。親子山村留学の取り組みも関心を寄せてくださる方が増え、見学者や転入生も増えてきています。ぜひこの環境を一度見ていただき、お仲間になってくれる方に届けばと願っています。いつでも見学、体験を受け入れています。小規模校での取り組みは、子どもや保護者でだけでなく、大規模校に勤める現役の学校の先生にも刺激になるのではないでしょうか。小さい小さい学校ですが、こうした取り組みを発信して、子どもたちの学びが深まる楽しい学校も増えていったらいいなぁと夢がふくらみます。ぜひ和合小学校に一度訪れてみてください。

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親子で山村留学

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