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高一の秋の帰り道【耳管開放症】

これは高校一年生の秋に書いた文です。ちょうど耳管開放症だと確信を持ち、対処法を模索している時期に当たります。

ここからは当時の暗く、重苦しい気持ちが綴ってあります。心の弱い方、影響を受けやすい方はブラウザバック推奨です


⚠️ネガティブ注意⚠️





メキメキッバチッ
駅から家に向かう、学校の帰り道。木の枝を折る音を凝縮したような音が耳の奥の方から鳴る。同時に、鼓膜の辺りにバルーンを入れて膨らませたような膨張感、不快感が襲ってくる

「ああまたか。」
諦めたようにため息をつく。
ゴオオオオオオオオオオオ
自分の耳の中に、さっきのため息が響いた。これはもうほぼ風の音だろう。耳の奥が膨張して、不快感はMAXに近い。息をするのがどうしようもなく嫌になって、それからは極力息をしないようにした。
スポーツドリンクや、お茶を飲んだり、何かを食べたりすればこの耳の不快感は治る場合がある。だが、お茶はさっき飲みきったし、外で食べられるようなものも持っていない。500メートルの道のりを徒歩で帰るしかないのだ。

今のミッションは浅い呼吸でなんとか家までたどりつくことだ。


家まであと400メートル。
メリ……バチッ
耳の中のバルーンが、さらに酷く膨張したような感覚がした。
前は耳元で囁く程度の声量で話すくらいの響き方だったけれど、今は耳元で少し大きめの声で話すくらいの響き方になった。自分の呼吸音がより一層響く。気持ち悪くて仕方がない。呼吸が浅いことも相まって意識が朦朧とする。
そして、歩く音が耳に響く。
歩く度に耳のバルーンが上下に揺さぶられる感覚、足が地面に着地した時に聞こえる「ぶよん」とか、「もよん」とか、オノマトペでも表しづらい気持ち悪い音。



不快

気持ち悪い

泣きたい

もう無理

嫌い

嫌い

嫌い、大っ嫌い


この耳はこの世のものではないのでは無いかと感じるほど気色悪くてたまらない。


なんで私だけ?

なんで普通になれない?

なんで?

なんで?

なんで?

一生続くかもしれないのが怖い。
いっそ全て終わらすことができたらどれだけ楽だろうか

今から、全部全部終わらせたい






無謀なことを考えながら無心で家のドアを開けた。
不快な耳は続く。気持ち悪くて、吐きそうで、今にも泣きそうだ
倒れ込むようにうつ伏せに寝転んだ。私の耳はうつ伏せになっている間だけは耳が良くなる。

10分寝転んで、ゆっくり立ち上がる。やはり1番の特効薬はご飯だ。こうなることを予想して、コンビニでおにぎりを買ってきた。ご飯を作らなくていいのはありがたい。
ご飯を食べたらかなり良くなって、普通に過ごせるようになった。

毎日続くこの症状を。有効な治療法がないこの病気を。私の心ごと蝕んでいく耳管開放症を。
私はどう対処すればいいのだろうか。

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