見出し画像

■春季西表島活動「2日目」

 2日目は前日の天気とはうって変わり、風が強く雨も若干降っていました。この日は、西表島西部の崎山半島にある「舟浮」集落へと向かいます。この地域は陸路が通じていないため、白浜港からフェリーに乗る必要があります。

note素材(西表島)_210410_3

 舟浮に着いたら、まず、これから3日間お世話になる民宿「かまどま壮」を探しました。すると、ガン黒でいかにも”海の男”みたいな、いかついおじさんが港に立っていました。その方が、今回お世話になる民宿のオーナーで、見た目とは裏腹にとても優しく、このご時世にも関わらず我々のような他所者を快く受け入れてくれました。

note素材(西表島)_210410_4

 このかまどま壮は海上タクシーをやっており、料金を支払えば、好きな場所へフェリーで連れて行ってくれます。予定では、3日目の朝ここからさらに西の「崎山湾」まで連れて行ってもらう予定でしたが、悪天候によって波が高くなり、行けそうにないと言われてしまいました。
 
 そこで、崎山湾手前の「網取湾」にある「ウダラ川」まで、日帰りで行くプランに変更。この日は、とりあえずイダの浜から網取湾手前までを偵察してみることにしました。宿に荷物を置き、昼食と身支度を済ましたらいざ出発!

 まずはイダの浜まで向かい、そこから西へ、向かい側にある砂浜まで移動します。海沿いは潮が高く進めないため、その間にある山を越える必要がありました。

画像7

 標高は約50m、距離も1kmないかなり小さな山でしたが、これがかなりしんどい!先ず、道やふみ跡が存在しません。そのため、GPSで現在地を確認しながら、地形図とコンパスで道を探しました。まずは、傾斜のある谷を登っていき、途中何度か立ち止まりながら慎重に進むと、次第に空の光が見え始め、なんとか稜線まで登りきることができました。

 登ったら、今度は向かいの谷を下っていきます。途中崖になっていたり、足を滑らせたり、「アダン」のトゲが突き刺さったりなど、中々ハードな道のりでした。

 アダンとはヤシガニの好物とされる実のこと。見た目はパイナップルですが、食べてもあまり美味くないとか。

画像1

 このアダンの木は、ヤシガニの強靭なハサミから身を守るためか、木と葉がやたらトゲトゲしており、またその実もすごく硬いです。西表島のジャングルには必ず出てくる、すんげぇ厄介者です(笑)

 そんな感じで谷を降りきり、平地に着くと海が見えてきました。しかし、海へ出るには、この憎きアダンの藪を抜けなくてはなりません。すると、OBが先にその藪の中をどんどん進み、そして「行けるぞー!」という声が聞こえたので、我々も、しぶしぶその藪へ突っ込み、ジャングルを抜け、ようやく海へ出ることができました・

 標高もない小さな山でしたが、抜けるまでに1時間を要し、西表島のジャングルの凄まじさを思い知りました。よく報告書で見た、1時間に100mしか進まない、の意味がやっとわかった気がします。知らない道に険しい道、一同疲れてしまったのと、これ以上進むと時間的に厳しそうだったので、帰りは来た道を戻らず、干潮を狙って海岸沿いを渡り、イダの浜まで戻りました。

 宿へ戻り、おじさんに話を伺ったところ、あのルートにも、かつては道があり、さらに、その先の森全ても元々は畑だったそうで、人が住まなくなったことから、再びジャングルに戻ったたらしいです。自然の力恐るべし!

 ちなみに舟浮も、かつては120人あまりが住む、そこそこ栄えた地域でしたが、陸路がない不便さ人口流出が原因で、現在は人口が30人あまりまで減少。子供も2人しかおらず(たしか)、廃校の危機にさらされているとか。

note素材(西表島)_210410_2

 他にも、日露戦争中に傷を負った東郷平八郎が立ち寄ったことでも有名で、港からすぐ歩いたところに、その石碑が置かれています。

note素材(西表島)_210410_0

 あとはこんな看板?もありました。イリオモテヤマネコは、世界でもこの西表島にしか生息しておらず、現在はわずか100匹前後しかいないとか。地元の方でも見たことない人がほとんどだそうで、その希少性と生態系から、きわめて深刻な絶滅危惧種に指定されています。

note素材(西表島)_210410_1

 ちなみに、去年西表島に訪れた際、南部にある「南風見田キャンプ場」近くにも、ヤマネコ発見の石碑がありました。どっちが先に見つけけたんでしょうかね。 

 活動を終えたらミーティング。翌日のウダラ川までの道のりを地形図で確認。また明日も、あのルートを抜けなきゃあかんのかぁ、なんて萎えながらも、未だ見ぬその先の景色に、期待している我々でした。もちろんフラグです(笑)

※活動の写真を誰も撮ってませんでした!

▼次回予告

 3日目は、舟浮からウダラ川までを目指します。距離は往復10km弱で、基本的に海に沿って進めるので楽勝だ、なんて思っていたら、潮の関係で気づいたら藪の中に!立ちはだかるアダンと、それに挑む我々4人。果たして、無事目的地にたどり着くことはできるだろうか。

 乞うご期待!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?