包絡分析法(DEA)1章
要約
・包絡分析法の成り立ち
・包絡分析法の応用例
包絡分析法(データ包絡分析法)(Data Envelopment Analysis; DEA)の歴史は、Edwardo Rhodesの博士論文の研究から始まったものである。
Edwardo Rhodesは、W.W.Cooper教授のもとで米国の効率学校で行われていたProgram Follow Throughと呼ばれる不遇児童(主に黒人やヒスパニック系)のための教育プログラムの評価を行っていた。
Program Follow Throughでは「不遇児童における自尊心の高まり」のような出力と「母親と共に本を読んで過ごした時間」のような入力を使って(心理テストで測られるような)学校教育の成果を記録した。
それは「価格」というよく使われる情報は含まずに、複数の出入力のもとで学校の相対的「技術効率性」を推定しようという試みである。
こうしてDEAのCCR(Charns, Cooper and Rhodes)比率形式の定式化という結果を生み、
1978年、Europian Journal of Operational ResearchでDEAを始めて紹介する論文の発表につながった。
CCRモデルでは数理計画の最適化手法を用いて、Farrell(1957)の単一出入力時の技術的効率性尺度を一般化して、単一の「実測的な入力」に対する単一の「実測的な出力」という相対的効率性尺度を構成して複数の出入力も扱えるようにした。
そもそも、DEAはOR/MS(オペレーションズリサーチ/経営科学)において従来から使われた手法の拡張であり、資源配分問題に対する発見的手法と最適化手法の応用である。
多入力・多出力系のシステム効率性を「公平」に相対評価を行うために線形計画法を用いる。
以下にこの手法の適用対象の一例を述べる。
・事業体の効率性の相対評価と改善案の作成
・生産や販売の最適なプロダクトミックス問題の検討
・事業体やその支店規模の効率性の検討
【包絡分析法と回帰分析法の違い】
包絡分析法は、平均的なものの見方を基礎とする回帰分析の考え方とは異なり、優れものをスタンドポイントとする見方への転回
例えば、高校や大学の入試での偏差値という考え方は平均を基に考えられており、中心(平均値)からの乖離の程度を図る(平均より良いか悪いか)。
これを包絡分析法の概念を用いると、ベストスコアを基準に乖離の程度を図る。
【引用・参考文献】
刀根薫(1993)経営効率性の測定と改善―包絡分析法DEAによる、日科技連出版社
刀根薫、上田徹(2000)経営効率評価ハンドブック―包絡分析法の理論と応用、朝倉書店