LNGタンカー市況はどうなる?$FLNG$GLNG ホワイトハウス EUのロシア天然ガス依存を減らすべくLNGをEUに供給する長期計画を発表 

国際的なパートナーと協力して、今年中に少なくとも150億立方メートルのLNGをヨーロッパに供給する予定だと発表した。 これらのLNGの供給量は今後増加する見込み。 ホワイトハウスは少なくとも2030年までに、年間約500億立方メートルの米国産LNGの余剰需要を確保する。

このニュースを受け$FLNG$GLNG等のLNGタンカー銘柄や$AR$EQT等の天然ガス銘柄が大きく上昇しました。

これらは昨年末に天然ガスが足りないヨーロッパへLNGタンカー船団が大挙して向かっているという@zerohedgeの記事をツイートしたものですが、zerohedgeのお陰で私もこの日から$FLNGを拾いだしたので今回の上昇に乗ることができました。そこで今後のLNGタンカー市況について$FLNGの決算プレゼンテーション資料から書いていこうと思います。この資料は2月16日のものですので、ロシアがウクライナに侵攻する前のものになります。

先ず今回のホワイトハウスの声明についてですが、今年ヨーロッパに供給する150億立方メートルのLNGは、生産量を増やして供給するというよりは国際的なパートナー(とりわけアジア地域)に協力してもらいヨーロッパへ送ると言う事です。
何故ならば、供給サイドとしても供給量を増やすにも時間がかかるからです。つまり当面は行き先が変わるだけというのが実情です。この流れは昨年からおきておりまして

図を見て頂ければアジアへの輸出が減りヨーロッパへの輸出が増えているのがお分かりになると思います。今後もこの流れが続くと考えられます。

次に2030年までに年間約500億立方メートルの米国産LNGを増産する計画についてですが、これは供給サイドとしても時間が必要ですし、受け入れ側としても液化天然ガスを再ガス化する設備(浮体式LNG貯蔵再ガス化設備)を新設する必要があり、また輸送するLNGタンカーも新造しなければなりませんので、関連銘柄への投資も短期というよりは長期的な目線が必要になってきます。

上図は2021年米国のLNG輸出が前年比+49%になったことを示しています。2月16日時点で2022年のLNG輸出は更に増加すると予測されていましたが、今回の声明をうけ2023年以降も予測よりも増加していくと考えられます。

全体として2022年のLNG輸出は6%増加すると見込まれていましたが、ロシアからの輸出が減ると思われますので、全体としてどの程度増加するかは不透明です。
以上が現在のLNGを取り巻く環境です。

この先は$FLNGについて書いていこうと思います。

自己資本比率35%
平均船齢2.2年のLNGタンカーを13隻保有
2億100万ドルのキャッシュポジション

$FLNGとしては非常に良い時期にタンカーを建造しました、コロナによりサプライチェーンの混乱がおき現在造船所はフルブッキングであり造船費が高騰しています。$FLNGは造船費が安い時期に燃費の良いタンカーを建造する事ができました。
そして今稼いだキャッシュを高い配当を払いながらも良いペースで借金を返済している最中です。個人的にはもう少し配当を抑えて借金返済に回しても良いのかなと思いますが現状では順調です。
次の決算は若干の心配があります。

2018年以降で最も低調なスタートをきっています。
これは昨年末ヨーロッパの天然ガスが足りなくなり多くのLNGタンカーがヨーロッパに向かいました。その結果輸送するLNG自体がなくなり傭船料が一時マイナスなった為です。
しかし$FLNGの70%は固定レートでの契約です。

Q1に関しては30%程の変動レートとスポット契約の部分に影響がでてくると思われます。ただこれについてはガイダンスに織り込まれていると思いますので、個人的にはそこまで心配はしていません。

2022年23年の傭船契約はほとんど埋まっており、2022年23年の通年決算に関してはほぼほぼガイダンス通りの数字(若干プラスかも)がでるのではないでしょうか。2024年以降に関しては、どれほどLNGタンカーが建造されるかにもよりますが現在の固定レートよりも良い契約内容になりそうです。

低調なスタートをきった$FLNGですが時間が経つにつれLNG市況が再び引き締まってくると予測しています。
2月16日時点の予測では2023年3月以降需給が緩むと予測していましたが、今回米国がLNGの生産を増やしヨーロッパへ供給する計画を発表しましたので、2023年以降もタイトな状況が続く可能性がでてきました。
この辺はしっかりと天然ガスの生産が増えるのかどうか、浮体式LNG貯蔵再ガス化設備が順調に建設されるかどうか、LNGタンカーがどれほど建造されるのか、をチェックしていく必要がありますね。

今回は以上になります、最後まで読んで頂きありがとうございました。
出典
https://ml-eu.globenewswire.com/Resource/Download/a0e0e0b4-2703-4d83-9ff6-20b9c4b24ea5

本noteは株式、債券、コモディティの購入売却等を勧めるものではありません、また投資アドバイスでもありません。

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