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「エルピス」見るの怖いんですけど - 1

昨年話題になったテレビドラマ「エルピス ─希望、あるいは災い─」を、1話ずつ見ていきます。全10話を見終えるまで、心が折れないようがんばります。

事前情報として知っていること

SNSからの情報、ラジオ番組、友人知人の話などから、およそこんなドラマらしいという知識を得ている。まだ見ていないが、意外に知っていることは多い状態だ

◆テレビ局の話である
◆現実の事件や社会状況、実在の政治家などを反映している
◆冤罪をテーマにしている
◆長澤まさみの元カレが鈴木亮平
◆鈴木亮平がエロい
◆重い展開が準備されているらしい

1話「冤罪とバラエティ」

◆映画の撮影現場を取材するテレビ番組。テレビ局アナウンサーの長澤まさみが遅刻している。役名は浅川。一方、やたら態度の悪い、テレビ局の中年男性ひとり。どうやらプロデューサーのようだ
◆「体調が……」と遅刻の理由を言った浅川に「なんだ、更年期か」「ババアはババアらしくしっかり自己管理しろよ」とメチャクチャな発言をするプロデューサー。役名は村井。何のドラマを見てるのかわからなくなって「これが『エルピス』で合ってるのかな?」と不安になる私
◆怖くて見るの止めたくなった。ヤダ味
◆本当に私は、このドラマ最後まで見るのか。こんな職場、絶対イヤなんですけど! 開始1分30秒で完全に心を折られた
◆ドラマって見る人を楽しませるものじゃないのか。シンプルにつらい
◆ディレクター役の青年。役名は岸本。「僕は自分をエリートだと思っている」。しあわせそうな子だ。思うのは自由だからね。ふふっ。母親をママと呼ぶのも印象に残った
◆場面が会社に戻り、村井に鬼パワハラされる岸本。村井の全部がキツい〜。さらにヤダ味
◆岸本がディレクターをしている番組「フライデーボンボン」。オープニングの映像からスタジオまで、妙にリアルに作り込まれている。あー、こんな感じの番組あった。「ワンダフル」思い出したぞ。また今夜〜
◆司会は海老田天丼。自己紹介の「海老田天丼です」のときに、頭の上に指を2本のせて、海老の天ぷらを表現するキメポーズあり。番組中は愛想いいが、CMに入ると急にスタッフへキレる。怖い
◆ここまで、全体がヤダ味だけで構成されている。見るのキツくて止めたくなってきた。まだ7分しか経ってない。これ1話が50分で10話あるから、トータルでだいたい500分あると思うんだけど、7分の時点でさっそくギブなんですが……
◆気が弱いので、この手の殺伐ドラマはハラハラしてしまう
◆番組は浅川のコーナーになり、エナーズアイッ! とポーズ。「働く」ってこういうことよね

がんばって労働する浅川であった

◆浅川は局内でも地味な仕事を割り当てられている存在なのだな
◆収録終わりでスナック。カラオケ。もうつらすぎて消したい
◆ゴキゲンなのは村井だけ。ボンボンガールズ(ひな壇の女の子たち)は、必死でプロデューサーに愛想よくし、場を盛り上げる。これもまた、芸能界で生き残るためのサバイバルなのだ
◆死んだ目の浅川、カラオケにつきあわされ、声は出さずマイクを持って口を小さく動かしている。もしかしたら、0.01デジベルくらいの極小音で歌っているのかもしれない

うしろの女の子の顔よ

◆ボンボンガールを前に「フライデーボンボンはパンチラだ」と言い出す村井。その心は「なくても世界は回るけど、あると嬉しい」。このスナックの空気が完全なる地獄
◆昔、新東宝の映画で『地獄』(1960)ってあったけど、このスナックの方がより地獄度高い気がするぞ
◆口を開くと100%下品になる村井。品性を実家の押し入れに置いてきちゃったのかな?
◆スナックから帰ろうとする浅川に「いじけたババアほど嫌われるものはないよ」と言い出す村井。暴言がひどすぎて、頭がクラクラしてきた
◆見ている私が怖くて泣きそうになっているなか、すべてを無言で受け流し、黙ってその場を去る浅川
◆1話脱落組を私は責めない
◆スナックを出たところで追いかけてくる若手女性社員。「あのパワハラ、セクハラに怒るのは浅川さんのような立場の人間の責任だ」と言われるも、「ハァ〜お先〜」と力ない声を出して帰る浅川
◆浅川の無力感わかるな〜。わかるぞ! たぶんこれまで、何十回もたたかおうとして、心がそのたびに折れて、折れて、潰されて、もう立ち上がる気力なんか残ってないんだよね。こうなったら「お先〜」しか言えないよ
◆スナックに残った岸本。同僚の男性から「チェリーさん」なる女性のうわさを聞く。いろんな男性を手玉に取る、魔性の女だという。無責任なうわさで盛り上がる男ふたり。こういう妙なうわさを訳知り顔で言う男いる〜。勝手に「魔性の女」呼ばわりさせられる女性の身にもなってよ
◆当のチェリーさん登場。実は岸本は、ボンボンガールのひとりを口説こうとして嫌がられ、しつこく迫る会話を録音されていた。立場的に弱い相手へ無理やり迫る岸本もダメなやつだった
◆この録音を元に、チェリーさんは岸本をゆすろうとしていた。しかしどうやら目当ては金ではないらしい
◆自宅の浅川。睡眠障害と摂食障害。普段はヘッドホンで周囲の音を遮断して暮らしている
◆私は、眠れない食べられないは経験ないけど、これは苦しいだろうな
◆岸本、浅川のもとを訪ねて、なぜか「八頭尾山連続殺人事件」の話を急にし始める。冤罪だから報道で扱おうというのだ
◆なるほど、チェリーさんが岸本に持ちかけたのは冤罪報道で、チェリーさんは冤罪で逮捕された犯人が実は無罪だと知っているから、この展開か
◆岸本のダメ人間度がさらに上がったぞ
◆自分のセクハラをもみ消すため、必死にがんばる岸本。ひどい男だ。何も知らない浅川。どうにか彼女の協力を得る

「どうにかあの録音を闇に葬りたい」という一心でのプレゼン

◆ここで鈴木亮平登場。役名は斎藤。彼は局内で出世し、「官邸キャップ」なる要職に就いていた
◆仕立てのいいスーツを着ている斎藤。ネクタイの色もいい。頼れる先輩って感じでカッコいい
◆斎藤に冤罪報道の相談をすることになった岸本。彼は、斎藤と浅川がかつて恋愛関係にあったことを知らなかった
◆この岸本の無神経さは、ドラマ的にはおもしろい。何も考えずに三人で会う場面をセッティングして、また斎藤と浅川が同じ場に集まったりするのも、この無自覚さならでは
◆かつて自分が、事件の報道をしていたことを知る浅川。ニュースを読んだことすら覚えていなかった自分に驚き、情けなくなる

実は自分が報道していたニュース

◆あっ、何か話が転がり出してきたぞ
◆もし、最初のままパワハラ上司にずっと罵詈雑言を浴びせかけられ続けるドラマだったら、確実に具合悪くなっちゃうと思っていたところだった
◆斎藤、岸本、浅川が会う。斎藤からのアドバイス。ひとつは、新たなアリバイなり証拠なりを見つけて、冤罪を証明する。もうひとつは真犯人を見つける
◆冤罪とは、警察や司法のたくさんの人が関わって決定した判断をくつがえすことだから、容易ではないという斎藤の説明
◆たしかに「これをくつがえしたら、決定した人のメンツが立たない」という状況はよく見かける! いかにも日本っぽい理由。発案者のメンツを保つためだけに、無意味な法案とか施策、イベント、キャンペーンが強引に押し進められるパターン、日本あるあるだよ
◆斎藤と会ったあと、食べたものをもどしてしまう浅川
◆またしても地獄のカラオケ。もうこのスナックだけはイヤ〜〜!!
◆スナックに連れて行かないで
◆村井の選曲が、とんねるず「ガラガラヘビがやってくる」
◆カラオケの場面、1話でいちばんイヤだった。ヤダ味の結晶
◆スナックから抜け出した浅川と岸本。冤罪報道の企画を出してみようと話し合う
◆「とりあえずやるしかないっす」という岸本。浅川はそんな岸本の正義感に感心するが、違うんだ、コイツは自分のセクハラをもみ消したいだけの男なんだ
◆がんばって企画書を作成し、プロデューサーに提出するも、怒られるふたり。プロデューサーから「冤罪を暴くことは、国家権力を敵に回すことだとわかれ」と叱責される
◆「私はもうわかりたくありません」と声を上げる浅川。迫真の場面。これまで防戦一方だった浅川、ついに反撃。行けっ浅川、と思った
◆しかし、浅川は具合が悪くなりトイレへ
◆浅川と岸本、ふたりで屋上へ。ここでついに岸本が、行動の動機として、チェリーさんに弱みを握られて仕方なくやっているだけと告白。しかし浅川は止まらない

渾身の独白だ

「私はもう飲み込めない、これ以上。飲み込みたくないもの、飲み込まない。でないともう、死ぬし、私」
◆ものすごいせりふだった。浅川の「もう死ぬし、私」という言葉に、1話の短い描写だけで説得力が生まれている
◆実はほとんど生死の境を彷徨っているような状態だった浅川
◆このどん底から浅川は這い上がっていくのか。クゥーー!
◆テレビ局にやって来る、どこをどう見ても麻生太郎な政治家。調子よく応対する斎藤
◆斎藤は権力と結託しつつ、みずからの地位を盤石にしていた
◆チェリーさんと会う岸本。そこでチェリーさんから聞かされる、虐待の過去。家出して逃げた先で知り合ったおじさんに助けてもらったこと。そのおじさんが殺人事件の犯人として逮捕されてしまったこと
◆真犯人は、また別の被害者を襲っているかもしれない
◆岸本が、手のケガに関する妙な前振りをして1話終了

1話の感想

◆スナックのくだりが本当に嫌だった。2話以降で同じスナックがまた出てきたら、見るのを止めるかもしれない
◆あのプロデューサーは何なのか。息を吸うようにパワハラする恐怖の男。あんな人近くにいたら病気になっちゃうな
◆岸本自身に動機がない、というのは意外におもしろいモチーフかもしれない
◆「飲み込めない」のせりふが、摂食障害や嘔吐のモチーフとかかってるのも深い
◆今後の展開はまったく読めないけど、1話だけで、浅川がいろいろなものをがまんして、飲み込んできたのだろう、ということが想像できた
◆期待感もあるけど、やっぱり見るの怖いな。ハラスメント描写はイヤなのよ
◆浅川にはぜひブチかましてほしい。パンクであれ

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