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「オレが肌キレイになって誰が喜ぶの?」──スキンケアの疑問にがんばって答えます

いろんな疑問にがんばってお答えします

老若男女問わず、誰にとっても楽しいスキンケア。お肌の手入れにハマって毎日が楽しくなった私は、ぜひ男性にもスキンケアを経験してもらいたいと願っているのですが、こうしたお話をすると、いろいろな質問をされます。スキンケアについて、これまで多くの男性から寄せられた質問、疑問をまとめました。身も蓋もなさすぎて、答える人がいなかった疑問の数々に、私ががんばって答えてみようと思います。

◆「オレが肌キレイになって誰が喜ぶの?」

はい、最初の質問です。なるほど。これはよく言われます。誰も喜ばないことをして何の意味があるのか、ということですね。経験上、周囲が肌質の変化に気づくことは意外に多くありますが、「変化に気づく=喜ぶ」とは言えないですし、実際、スキンケアをしても「誰も喜ばない」可能性は大いにあると思います。私自身、スキンケアで肌がキレイになって、結果的に誰かが喜んだか? と問われると、誰も喜んではいないです。それでも、私はスキンケアには意味があると思っています。たとえば新しい靴を買って、初めてそれをおろして外に出たときの気持ちを思い出してみてほしいのです。足下にはぴかぴかの、カッコいいお気に入りの靴。鏡に映った自分の足下を、つい何度も眺めてしまいます。歩いているだけで気分が弾んでくる、あの感じ。たとえ他人が見てなくても、「誰も喜ばない」としても、新しくキレイな靴を履いて歩くことは、それじたいが気分がよく楽しいものです。これを「お肌バージョン」に置き換えたものが、スキンケアではないでしょうか。キレイな肌は気分がいい。お肌の手入れが行き届いた状態は、それだけで楽しいので、「誰が喜ぶか」はあまり考えなくても大丈夫なのです。自分自身が喜んでいるのです。

◆「スキンケアって要するに何なの? 何をすること?」

2番目の質問です。「スキンケアとかいって顔に何か塗ってる人、あの人たちは何をしたいと思っているのか?」。はい、もっともな疑問です。スキンケアをがんばってる人たちは何が目的か。それはまあ、キレイになろうとしているんだろうけど、「キレイになる」ってちょっと抽象的ですよね。もっと具体的に、あの人たちは何をしているのか。これの答えは実にかんたんで、「保湿」です。スキンケアの目的は「お肌のうるおいを保つこと」、これに尽きます。お肌が乾燥していないこと、しっとりと水分が補給されていることが大事なのです。それこそが、スキンケア究極のゴールであるといえます。もちろん「まずは皮膚の汚れをあらかじめキレイに落としておく必要がある」とか、「うるおいを補給しても時間が経つと乾燥しちゃうから、うるおいが長持ちするように上からバリアを張っておく」とか、そうした細かい補足はあります。ただし、そういった前置きを省いてシンプルに説明するなら「うるおいを保つ」こと、「保湿」がすべてです。

◆「途中でイヤにならない?」

これもよく訊かれますね。実際、イヤになるというより、スキンケアをする気力が出ない日というのはあります。スキンケアを大事にしている女性ですら、そう思う日があります。何かダルくなっちゃう。私の場合、冬の寒さが苦手なのですが、冬場は手に取ったスキンケア製品(液体やクリーム)が冷たくて、顔に塗るとひやっとするし、ケアするのが億劫になってしまうことがあります。ですが、やめようとは思わないです。なぜならスキンケア製品はいい香りのものが多いので、使っていて気持ちいいし、一度「肌がしっとりとうるおった理想の肌コンディション」を経験してしまうと、それをあきらめてしまうのはもったいなさすぎるためです。たとえばコーヒーが好きな人であっても、台所でコーヒーを淹れる作業がダルくなることはありますが、だからといってコーヒーを飲むことそのものを止めようとは思わないはずです。コーヒーおいしいから。それに似ています。億劫になっても、止めたくはならないです。世の中には、ラクをしてコーヒーが飲める、インスタントコーヒーや缶コーヒーがあるように、インスタントスキンケア製品(ラクなやつ)があります。それを使えばいいのです。

◆「何日くらいで効果出るの?」

これですが、自分自身の肌実感という観点でいえば、翌日から効果は出ます。びっくりですよね。前の晩にしっかりスキンケアをして寝れば、翌朝に頬を触ってみると、「えっ?」と驚くくらいにふっくらとしている。これはもう、瞬時に効果てきめんです。これまでケアをしていなかった方であればなおさらで、翌朝には変化が感じられるはずです。しかし、周囲から見てどう見えるかはまた別で、「客観的に見て肌質に変化があった」ことを「効果が出た」と呼ぶのであれば、それがどのくらいの時間なのかは不明です。人にもよりますし、使う製品にもよるかとは思います。そこは気長にやる必要がありますね。

◆「お金いくらかかるの?」

化粧水と乳液を使った基本ケアをすると考えますと、どちらのアイテムも、ドラッグストアで買うとひとつ千円くらいです。化粧水と乳液をひとつずつ買って、2千円。どちらの製品も、毎日使っても1ヶ月半くらいは持つ量が入っているので、1ヶ月換算でいうと、だいたい1300円くらいになるかな? と思います。このふたつのアイテムだけでも充分に効果があります。男性ですと、この作業でひげ剃りの痛みをやわらげる効果もついてきますので、かなりオトクと言えます。それですら高い、と思う場合「乳液だけをつける」という手もあります。これでも一定の効果は見込めます。この場合のコストは月に650円となります。

◆「高い製品と安い製品ってどう違うの?」

スキンケア製品の価格による性能の違いですが、安い製品は「とてもよく効く」のですが、高い製品は「爆発的に効く」という感じです。そこには確かに値段の差があります。とはいえ、そこまで高い製品を買わなくても、手頃な価格で「とてもよく効く」のですから、ムリをせずに安い製品を使いましょう。ちゃんと効果があります。まずは安価な製品を試してみて、もし気になったら高い製品を使ってみてもいいと思います。爆発的に効きます。

◆「やると何が楽しい? 何がトクする?」

スキンケアには、先ほど言った「新しい靴を履いて歩いているときのような楽しさ」があるのですが、もうひとつのプラス面は「肌のお手入れをすると自分のコンディションがわかる」ということです。いま自分は元気なのか、弱っているのか。たとえば私はこの冬、目のまわりの皮膚のかゆみで大いに悩まされました。化粧水をつけたとき、少しぴりっとする。普段、化粧水をつけてぴりっとすることなどなかったのです。かゆくて、きっと寝ている途中なんかに無意識で目のまわりをかいてしまって、肌が傷ついていたのでしょう。それで、こまめに加湿器を使うようにしたりと対策して、多少は改善しました。冬は身体が弱くなるのだと痛感した経験でした。このように、日々のスキンケアをしていると、自分の体調が刻一刻と変化していくのがわかります。目のまわりのかゆみがようやく止まったかと思いきや、今度は頭皮のかゆみがやってきたりする。もう〜。冬ってやはり乾燥していて気温も低く、うるおいがないから、いろいろな不調がやってくるんだな、とスキンケアをしながら実感しました。「あー、自分の体調って日々よくなったり、悪くなったりしてるんだな」とよくわかります。そういう身体のチェック時間が持てることが、トクといえばトクかなと思います。

◆「スキンケアすると、どんな風に変化する?」

スキンケアの結果がどんな風に容姿に影響するか。肌質は変化しても、顔の形や目鼻立ちが変わるわけではないので、劇的にカッコよくなるというわけにはいきません。しかし、日々スキンケアで自分自身の手入れを続けていると、変わってくることがあります。私自身も覚えがあるのですが、自分自身を普段から雑に扱っていると、全身から「もう、どうにでもなるようになれ」という投げやりな自暴自棄のオーラが出てしまうものです。私もかなり出ていたと思います。これは不思議なもので、何か出ちゃうんですよね。逆に、ちゃんと洗濯した服を着たり、充分な睡眠をとったり、美容室で髪を切ったりすることで、投げやりなオーラが減少していき、「自分の身体を大切にしている人」らしい雰囲気に変化していきます。この変化は軽視できないと思います。スキンケアもそのひとつ考えると、日々スキンケアをすることで、放っておくとひとりでに身にまとってしまいがちな「自暴自棄なオーラ」を減少させることに役立つ可能性はあると考えます。

◆「メンドくさいんだけど?」

たしかに、スキンケアってメンドくさそうですよね。毎日やるにも気力が要りそうです。でも考えてみてください。みなさんは、わざわざ7千円とかのお金を払ってビデオゲームを購入して、それをPS5(何回も抽選に申し込んでやっとの思いで買ったやつ)にダウンロードして、そこから70時間くらいかけて遊んだりしますよね。それだって、部外者からすればかなり「メンドくさそう」に見えますけど、本人としては楽しいから平気なわけじゃないですか。それを考えると「何がメンドくさくて、何が楽しいか」って、そうかんたんには決められないと思うんですよ。意外に楽しいかもしれないですよ、スキンケア。私は楽しかったです。それに何より、皮膚は死ぬまで同じものを使うしかない。いま顔についている皮膚は、もうそれしかないんです。替えが利かない、大事なものです。現代医学はまだ「いまある皮膚がくたびれてシワだらけになってきたから、新しくてハリのある若い皮膚に取り換える」技術を開発できていないので、なるべく大切にしてあげた方がいい。そう考えると、1日10分(朝2分、夜8分)くらいは、スキンケアに使ってあげてもいいんじゃないかな〜と思いますね。

こんな話がたくさん書いてある本が出ます

2月24日に発売する私の本『電車の窓に映った自分が死んだ父に見えた日、スキンケアはじめました。』(平凡社)は、完全にスキンケア素人だった私が、肌のお手入れを勉強していくなかで出会った人びと、感じた変化、価値観の揺さぶりなどを描いたライトエッセイです。自分でいうのもアレですが、これまでの人類史で書かれたすべての本のなかでいちばんおもしろいです。ぜひ手に取っていただきたく、お願いいたします。Amazonの予約も始まっております。

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