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『スラムダンク』をもっと知りたい! - 15

映画『THE FIRST SLAM DUNK』で初めて『スラムダンク』に触れた私が、井上雄彦氏のマンガ『スラムダンク』(ジャンプ・コミックス)を読んでいきます。全巻を読み切れるよう、がんばります。なお、読んでいる単行本は通常版です(完全版、新装版ではありません)。

15巻「天国と地獄」

◆通常版のコミックには毎回、表紙の裏に著者からのひとことがついているんだけど、15巻の内容は実によかった。あまりによすぎるので引用

たまに「こんな接戦ばかり続くわけない」とか「やっぱり漫画だから」といったお手紙をもらうことがあるけど、とんでもない! 現実の試合は時にもっとドラマチックだ。悔しいけどそうなんだ。

◆マンガというフィクション、虚構の力を使ったとしても、現実の試合のドラマティックさに勝てないと井上氏は書いている。マンガでバスケのドラマ性を伝えようとしても、伝えきれないという謙虚な気持ちで作品に取り組んでいるのだろう。なるほどそうか〜と思う内容だった
◆さて、ついに海南戦ラスト2分。映画版でも同様なのだけれど、たった数分、数十秒の試合展開がとても細かく描写され、大胆に引き伸ばされる時間感覚が、スラダンにはある。15巻は、めくるめく「ラスト2分」を描いた巻なのだ
◆三井が焦ってスリーポイントを決めようとして外す。ラインを割りそうになったボールを桜木が必死にくらいついて戻し、流川にボールが渡る。そして流川のダンク。決まったゼ

チームプレイのたまものだ

◆ここで流川が体力の限界。流川アウト、メガネ君イン
◆戦線離脱するメンバーが出るのも緊張感を高めていくぞ
◆牧のシュートが外れ、リバウンドをおさえる赤木。赤木はその瞬間、この3年間の努力がムダではなかったと感じる。兄の姿を見て涙する晴子。なんというドラマだ!! 赤木が「報われた」と感じる瞬間だった

15巻でいちばん好きなコマだ!

◆客席で見ていた陵南の魚住から「牧を倒してこい」と熱い声援。同じバスケットマンとしての気持ちが伝わる、いい展開だ
◆残り時間50秒。ここで2ゴール入れないと負けてしまう湘北

もうギリギリの展開

◆メンバーも体力の限界にきており、ボールが飛んできたが三井は反応できず。ラインを割りそうになるが、メガネ君がボールに飛びついて、どうにか湘北ボールに
◆海南のメンバーが作戦を確認しあう。桜木にも全力であたるというせりふ。これもいいなあ。読んでいて燃えてくる

敬意をもってたたかう心

◆試合再開。もうすんごい緊張感。息止めてマンガ読んじゃうよ
◆宮城のナイスプレイで相手のボールを奪い、桜木がダンク。あと1ゴール!!

思わず声出しちゃった流川

◆15巻、マジで「ラスト2分」を駆け抜ける巻だ!
◆ラストチャンスをかけて三井がスリーポイント。ボールを見つめる登場人物の表情から背景がなくなって、線画になるのがとてもドラマティック。時間の流れがスローモーションのように感じられるコマだ

時間が止まっているような感覚!

◆しかしゴールは外れる。クハーッ、どうなっちゃうの?
◆リバウンドを取った桜木。残り5秒。本当に最後のチャンス。急いで赤木にパスしたつもりが、何と誤って「海南の選手にボールを投げてしまう」という痛恨のミス

パスを受けた海南選手の「なんで俺に投げた…?」という表情

◆ここでホイッスル。海南90 - 湘北88 で湘北1敗。わーーーー!!! 勝てなかった!!!
◆いやー、ドラマティックだった。スラダンの興奮ここにあり、という試合だ。ラスト2分のたたみかけは圧倒的
◆三井のスリーポイントが入らなかったのは、ガードに入った清田が、三井の投げたボールに爪の先でさわっていて、結果的にボールの軌道が変わってしまったためであった。もし清田がガードできていなければ、三井のスリーポイントは入り、湘北は勝っていたのだ。たしかに、あの三井が入るのを確信したスリーポイントが外れてしまうのは理由がわからなかった。あれ、清田がさわってたのか

三井のスリーポイントを防いだ清田

◆自分のパスミスで負けてしまったと感じる桜木。最後の最後で相手チームにパスしちゃったのだから、それは精神的にキツすぎる。主人公にすごい試練を課してくる井上氏であった

お調子者でも落ち込む日がある

◆試合翌日の学校。部員は昨日の負けから気持ちを切り替えて、残り2試合を全勝しようと気合を入れるのだった
◆部員に「元気を出せ」と声をかける彩子。チームをひとつにまとめる役割を果たしているぞ

彩子さん好き〜

◆昨日のミスで落ち込む桜木。ひとりでたそがれていた
◆落ち込む桜木に「お前のミスは計算の内だ。たったひとりの責任で試合に負けることはない」と説明する流川。ディスっているようにみえて、桜木のせいではないと語っている。流川、実は結構優しいんじゃないか
◆カッとなって流川を殴ろうとする桜木だったが、考えを変える。ついにヤンキーマンガとの訣別宣言か。もうスラダンでいちばん苦手なケンカ場面を見なくてよくなるかもしれない

その通りだよ桜木

◆翌日。気持ちを整理するため、頭をボウズにした桜木。おおっ、ついに私の知ってる映画版の桜木になった。当初のリーゼントからの髪型変更は、こういう経緯があってのことなのか。知らなかった〜。こっちの方が似合ってるよ

スッキリしたね

◆次の試合に向けて練習を再開した湘北。桜木は絶好調。まわりの部員にも止められない動きで大暴れだ。桜木は海南戦を通じてさらに成長していたのだ
◆安西先生から三井に対して、桜木を抑えろとの指示。「やりましょう…」と不敵に答える三井もカッコいいぞ

頭にタオル巻くのが流行っていた90年代

15巻の感想

◆12巻からじっくり描いてきた海南戦、そのすべてが爆発した15巻。いままで読んだなかでも、試合の興奮度ではいちばんだった
◆12巻からの助走があってこそ、15巻が爆発したのだ。このタメと爆発がスラダンのよさだと思う!
◆赤木が「オレは間違っていなかった」と気づく瞬間。個人的にはここがいちばん刺さった。やってきたことが正しかったと気づく瞬間って誰にもあって、その発見のよろこびが描かれているのが最高だった。それを感じ取って涙する妹という次のコマも美しい
◆スラダン読んでよかったと思った。こんな感動があと16冊分残っていると思うと大興奮
◆桜木の失敗も、読者に学びのきっかけを与えてくれる。ここでちゃんと主人公にキツい経験をさせる井上氏はすばらしい
◆「気持ちを切り替えていこう」と部員を励ます彩子さん最高
◆あー、これで県大会予選勝ち抜いたら泣いちゃうかも。もちろん、映画版との整合性から言って、ここで負けちゃうと3年生は引退だろうから、勝ち抜くことはわかってるんだけど、それでもこの決勝リーグで勝ち残ったら、思わずウォーッと叫んでしまいそうだ
◆現実のバスケはマンガよりドラマティックだ。この「認めるのは悔しい事実」に精一杯立ち向かった作品が『スラムダンク』なのだ!!!

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